夢が、スコップでコークスをストーブの中にたしていると、周囲が光りだし、また
六小が声をかけてきました。
「ねえ夢ちゃん、わたしのこと好き?」
唐突に質問されて、夢は少し驚きながら答えました。
「え、何でそんなこと聞くの?好きに決まってるじゃない。」
「だって、いつも四小さんのこと考えてるみたいだから。」
「そんなことないよ。ただ、思い出が強烈なだけ。」
「ふーん、そう。でも、なんかっていうと四小さんのこと言うじゃない。わたしと
つきあってもう四年になるのに。去年の夏だってさ、プールでわたしがちょっと
言ったら・・・・・」
夢はそれを聞いて気づいたのです。
『そういえば、こっちに来てから六小さんと楽しくやっているけど、心の奥の方では
なんかいつも、四小さんを思っていたような・・・・・』
そして、六小に言いました。
「そう、六小さんの言うとおりかも、ごめんね。でも、わたし、絶対六小さんのこと
きらいじゃないよ。むしろ大好きだよ。」
「ふーん、でも、四小さんのことは忘れられないんだ、やっぱり・・・・・」
六小は、「ふっ」とため息をついて夢を見ました。
「う・・・ん、ごめん・・・・。でも、何?その、やっぱりって。」
六小は、夢を見ながら、ちょっと考えるような感じで言いました。
「う・・・ん、実はわたし、夢ちゃんと始めて会った時、ちょっと不安になったんだ。」
「何で。」
夢は、わけがわからない、という感じで答えました。六小が続けます。
「だって夢ちゃん、あの時から四小さんのこと、好い好いって言ってたんだもん。」
夢は、”六小は、ずっとそんな思いを抱いていたんだ”と、ちょっとびっくりした様子で
「そうだったんだ。六小さん、わたし、気づかなかった。」
と、優しく言いました。
「いいよ別に、気づかなくても。そっか、まあいいや。わたしのこと、好きでいて
くれるなら。」
「うん!六小さん大好き!四小さんの方が、六小さんよりもちょっと好きだけど。」
それを聞いた六小は、
「うん、もう夢ちゃんたら!」
と言って、大きな声で”アハハ”と笑い、体全体を震わせました。ようやく、いつもの
六小にもどったようです。夢は、ほっとしました。
「やっぱり、六小さんはこうでなくちゃ、ね。」
「何か言ったぁーー。」
「ううん、何も。」
「あははは。」
「あー、夢ちゃん、大変大変。ストーブの火、消えちゃいそう。」
「やーん、大変。うんもう、六小さんが途中で話しかけてくるから。また、コークス
たさなきゃ。」
「何よ、わたしのせいだっていうの。夢ちゃんが、ちゃんと終わらせてから
返事しないからいけないんでしょ。」
「何よ、わたしがいけないっていうの。」
「ウフ・・・アハハハ・・・・・」
さっきまでの静かな六小はどこへやら、二人は、いつものにぎやかな二人に
もどっていました。