万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

英EU離脱ー仕切り直しのチャンスでは?

2016-06-25 06:37:56 | 国際政治
外務次官がEU、英国訪問=離脱派勝利受け対応協議
 昨日、国民投票の結果、イギリスのEU離脱が決定されました。大方の予測が残留であっただけに、離脱ショックが全世界に広がっています。

 悲観論に覆われているかのようですが、必ずしも悲劇的な結末を迎えるとは限らないのではないかと思うのです。否、国家と市場、あるいは、政治と経済との関係については、”仕切り直し”を試みるチャンスとなる可能性さえあります。今日、イギリスのみならず、多くの諸国で移民・難民問題、所得格差、伝統や自国らしさの喪失…といった共通した問題を抱えています。イギリスの離脱派の判断は、こうした危機感が表出したものであり、他のEU加盟国もイギリスの後に続く”ドミノ現象”が懸念されているのも、この共通認識が存在しているからに他なりません。となりますと、EUが全世界に先駆けて実践しようとした”もの、人、サービス、資本”の4つの要素の全面的な自由化には、無理があると考えざるを得ないのです。そして、ここで主たる検討課題となるのは、やはり、”人”なのではないかと思うのです。人とは、経済のみで割り切ることは出来ず、政治、並びに、社会な存在でもあるからです。

 幸いにして、EUは、関税同盟(自由貿易+共通関税)、欧州市場、ユーロ圏…といった経済的枠組みの積み重ねでもありますので、イギリスの脱退については、関税同盟部分のみは維持するといった部分脱退の方法もないわけではありません。将来、イギリス脱退が”終わりよければすべてよし”となるために、双方にとって満足できる調和点こそ模索すべきと思うのです。

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英国民投票ー正反対の二つの理想

2016-06-24 10:01:02 | ヨーロッパ
英国民投票:サンダーランドは離脱派が勝利
 昨日、EUからの離脱の是非を問う国民投票がイギリスで実施され、現在、開票作業が続いています。締め切り直後の世論調査では、残留派が僅かにリードしたものの、開票速報でも、接戦状態のようです。

 離脱派と残留派とを地域的に色分けすると、中部サンダーランドで離脱票が61%に達するなど、イングランドでは離脱票が優勢であり、スコットランド等では、逆に残留票が多数を占めています(ただし、都市部の開票はまだかもしれない…)。地域差も見られるのですが、英国の国民投票は、自国に対して、国民が全く逆の異なる”理想”、あるいは、”将来像”を持つ場合の混迷をも示しています。

 離脱派にとりましては、国民投票は、いわば”独立”の問題と化しており、死活問題ですらありました。何故ならば、EUへの残留が、国境管理や移民・難民政策を含む国家の主権的な権限の喪失を意味し、近い将来、イギリスという国が移民社会に変貌する可能性があるからです。離脱派の理想とは、イギリスの歴史や伝統が息づく安定した社会なのでしょう。その一方で、残留派は、EUとの経済的関係のメリットを強調しましたが、それは、イギリスの移民社会化の容認と表裏一体でもありました。否、国境がなく、全ての人種、民族、宗教等が融合し、仲良く共存する社会こそが理想であったのです。たとえ現実においては、深刻な社会的分裂やテロ事件が起きていたとしても…。となりますと、双方とも、他方の理想実現に向けた行動は、自らにとっては”地獄”への道の強要となります。こうした場合には、”理想”への献身は、褒め言葉とはならないのです。

 コンセンサスなき”理想”の強要は、国民の反発を買う原因となります。何れの結果となったとしても、勝利した側も、国民の凡そ半数が、逆の理想を抱いていることを考慮すべきですし、その懸念を払拭する努力を怠るべきではないのでしょう。投票結果を待つばかりとなりましたが、イギリスの国民投票は、”その後”にも関心を払うべきではないかと思うのです。

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英国民投票は国家対市場の構図-古くて新しい問題

2016-06-23 14:59:28 | 国際政治
EU離脱支持、1ポイントリード=世論調査
 注目を集めてきたEUからの離脱を問うイギリスの国民投票は、遂に投票日を迎えました。直近の世論調査では、離脱支持が1ポイントほど上回っていると報じられており、最後まで結果が分からない展開となっております。

 EU離脱派とEU残留派との対立軸を見ますと、終盤に至るほどに、国家対市場という古くて新しい対立構図が浮かび上がってきたように思えます。現実の世界では、通常、政治と経済とでは、異なる秩序の下にあるものです。共産主義国家では、理論上、政経は一元化されており、その硬直性(自由な経済空間の消滅)が、ソ連邦を崩壊させた要因となりました。

 その一方、自由主義国、特に第二次世界大戦後の西側諸国では、政治の分野では国民国家体系が構築される一方で、経済の分野では、個々に経済活動の自由を認める市場経済が独自の発展を遂げています。国民国家体系は、民族(nation)を基本的な枠組みとしますので、分離・独立に見られるように、政治的単位は細分化の方向へと向かいますが、市場経済では、グローバリズムと称されるように、国境を超えた拡大志向を特徴とするのです。つまり、両者は、分化と拡大という全く逆方向のベクトルを持つのです。この二つの系は、どちらか一方のベクトルが強く働く、あるいは、両者が同時に自らの目指す方向にアクセルを踏みますと、分裂や崩壊の危機に瀕します。EUが、市場経済の発展に応える形で、複数の主権国家から構築された地域機構であることを考慮しますと、EUとは、まさしく、両者のバランスの上で安定を保っていたとも言えます。

 イギリスの情勢、並びに、近年のEU懐疑主義の躍進は、EUにおいて保たれてきた国家と市場との間のバランスが崩れつつあることの現れであるかもしれません。危機に瀕するEUは、国家と市場との調和点はどこにあるのか、という根本問題を、改めて問うているように思えるです。

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EUは統合し続けるのか?-ジャック・アタリ氏への疑問

2016-06-22 15:52:28 | 国際政治
残留か離脱か、社説で舌戦=英主要紙
 EUからの離脱を問うイギリスの国民投票を明日に控え、関連の報道も過熱気味です。かつては、EU誕生、ユーロ導入、並びに、新規加盟等が華々しく報じられたものですが、最近は、ソブリン危機や難民・移民問題をはじめ、マイナス面での報道が目立っております。

 こうした中、先日の日経新聞の紙面に、フランスの知識人として知られるジャック・アタリ氏の見解が掲載されていました。混迷を深めるEU情勢について、氏は、統合のさらなる推進こそが、危機を脱出する道であると説いています。EUは、常に統合に向けて歩み続けなければ倒れてしまうと…。こうした議論は、しばしば漕ぎ続けなければ倒れてしまう二輪車に譬えられますが、氏の処方箋は、EUを救うことになるのでしょうか。

 現実には、イギリスをはじめ、EU加盟国の間でEU懐疑論が湧き出てしまった原因は、EUが、統合の深化に向けてペダルを踏み過ぎてしまった点にあるのかもしれません。EUの将来像を連邦国家や超国家に定めるとしますと、EUの統合プロセスとは、完成に至るまでの直線として描かれます。アタリ氏の見解は、この直線論です。その一方で、EUの理想像を複数の主権国家から構成される国家連合と見なす立場からしますと、EUが統合に向けてペダルを踏めば、国家主権を維持したい加盟国政府や国民の側からのブレーキがかかります。統合のレベルは直線的に上昇せず、逓減するのです。後者の見解では、EUと加盟国との間で調和点が模索されることになります。

 現在のヨーロッパを見ておりますと、後者の見解の方に説得力があるように思えます。イギリスの国民投票は、同時に、EUのあり方をも問うているのではないかと思うのです。

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中国が航行を欲する海峡が国際海峡?

2016-06-21 16:57:21 | 国際政治
 今月15日、中国の軍艦が鹿児島県口永良部島沖の日本の領海を航行した件について、中国側は、トカラ海峡は国際海峡であると主張し、国際法上の合法行為であると正当化しました。しかしながら、トカラ海峡が国際海峡であるとする説は、誰も聞いたことがないはずです。

 中国の突飛な言い分に日本国民の多くは唖然とさせられたのですが、国際法における国際海峡とは、特定の国の領海の下におかれ、海洋の二つの部分を結ぶ国際航行の要路であり、かつ、軍事上、及び、通商上極めて重要な地理的位置にある海峡を意味します。国際海峡の通過通航権は、通常の領海内の無害通航よりも自由度が高く、潜水艦を含め、軍事目的の航行も許されます。因みに、国連海洋法条約の第37条では、国際海峡の通過通航権は、「公海又は排他的経済水域の一部分と公海又は排他的経済水域の他の部分との間にある国際航行に使用されている海峡」と規定されています。

 ここで注目すべきは、トカラ海峡は”国際海峡”に当たるのか、という問題です。トカラ海峡が国際航行に使用されているわけではありませんので、日本国では、トカラ海峡は国際海峡としては認定されていません。しかも、トカラ海峡は、航行の難所ということもあり、通商航路として国際的に使用されているわけでもないのです。中国は、トカラ海峡を国際海峡と見なす根拠を全く示しておりませんが、おそらく、トカラ海峡が中国=外国の軍事戦略において航行を要する海峡であることが、唯一の理由であると推察されます。この理屈が通用するならば、中国が航行を欲する海峡は、全て”国際海峡”ということになりましょう。他の諸国も、”中国に倣え”で真似を始めますと、国際海洋秩序は混乱を来し、世界各地で軍事的な緊張も高まります。

 中国が、軍事的にトカラ海峡の国際海峡としての通過通航権を主張する背景には、当然に、太平洋への進出を目指す海洋覇権の追求があります。トカラ海峡を国際海峡と言い張るならば、中国は、国際海洋法条約の規定に従い、国際司法機関への解決の付託を日本国側に提案すべきと思うのです。

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女性初のローマ市長-広がる既成政治への不満

2016-06-20 15:39:52 | ヨーロッパ
伊地方選決選投票、ローマ市長選は五つ星運動が勝利 首相に痛手
 アメリカでは、共和党の指名候補の座を手にしたトランプ氏に対して、しばしば”大衆迎合”とする批判の声が寄せられています。一方、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票でも、残留派は、離脱派を”大衆迎合”として罵っています。

 こうした中、イタリアの首都ローマでは、初の女性市長が誕生したと報じられています。新興政党である五つ星運動のビルジニア・ラッジ候補が67%もの票を獲得したというのですから圧勝です。五つ星運動とは、左右両派の既成政党に対する批判から7年前に誕生した政党であり、公約としては、腐敗撲滅や公共サービスの向上などを掲げ、EUに対しても批判的な立場とされています。既成政党の立場からすれば、五つ星運動も”大衆迎合”なのでしょうが、果たして、世界各地、しかも、先進国で散見される反既成政治の動きは、”大衆迎合”という否定的表現、批判の一言で済まされるのでしょうか。

 少なくとも民主主義国家では、”大衆迎合”を否定することは、民主主義の否定をも意味しかねません。”大衆迎合”と民意は、表裏一体であるからです。逆から見ますと、既成政治側の主張は、大衆無視の’既得権益政治’、あるいは、少数エリート支配の容認となり、既成政治側が”大衆迎合”として批判すればするほど、言われた側は見下された感覚を抱くと共に、反発を感じます。しかも、移民・難民問題の深刻化、政治腐敗、劣悪な公共サービスといった問題への対応は、一般の国民にとりましては、常識的な政治に対する要求です。”大衆”は、必ずしも、無知で野蛮な存在ではありません。”大衆迎合”は、意見を同じくする人々が多い、ということだけであり、必ずしも反知性的で反道徳的でもないのです(もちろん、実現不可能な解決方法を示すことで、国民を騙すケースもありますが…)。

 一般の国民の常識的な要求を”大衆迎合”という言葉で冷たくあしらってきた既成政党の高慢な態度、あるいは、その背後にある既得権への執着こそが、今般の地殻変動を生んでいるのではないでしょうか。既成政治であれ、何であれ、独断や独善に陥らず、政治家である限り、国民の声に真摯に耳を傾けるべきなのではないかと思うのです。

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英国民投票はEUとの合意案の是非を問うべきだった

2016-06-19 15:00:34 | ヨーロッパ
英首相「不寛容排除」訴え=野党党首と議員殺害現場訪問―国民投票、残留派同情論も
 EUからの離脱を問う国民投票の投票日を23日に控え、イギリス国内では離脱派と残留派の間の対立が激化し、下院議員殺害事件も発生しました。投票結果に拘わらず、双方の間の感情的なしこりは長期的に残ると予測され、国民投票の実施は、国民の間の溝を深めています。

 悲劇的な展開とも言えますが、両派による対立の激化は、当国民投票が表面的にはEUからの離脱を問うていながら、その実、イギリスという国家の将来像を問うものであったからに他なりません。双方ともに譲れない問題であり、かつ、選択肢は”Yes”か”No”の何れしかないのです。およそ最終決定を意味し、かつ、二者択一化された状況では、両派の間で妥協点を見出すことも不可能となりますので、対立の先鋭化は必至であったとも言えます。それでは、こうした事態を避ける方法はあったのでしょうか。

 仮に方法があったとしますと、その一つは、国民投票のテーマを、2月に成立したEUとの妥協案に対する受入の是非に設定することではなかったかと思うのです。このテーマであれば、EU離脱を問う前に、もう一度、EU側と再交渉を行うチャンスが確保できます。国民投票で国民多数が受け入れを拒否すれば、イギリス政府は、その拒絶の投票結果をバックに、EUに対してさらなる譲歩を要求することができるのです。EU離脱の国民投票は、再交渉においてEU側が対英譲歩を拒絶した後でも遅くはなかったはずです。

 今般の国民投票におけるイギリスの状況を見ておりますと、より丁寧な手続きを踏んだ方が、国内の混乱は避けることができたかもしれません。国民投票を四日後に控え、もはや、”時すでに遅し”の状況ではありますが、今からでも国民投票のテーマを変更することはできないものか、と思案するところです。テーマが変更されれば、国内の緊張が緩和され、国民の心にも余裕が生まれるのではないかと思うのです。

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移民への質問-”あなたの祖国が移民に占められてもよいですか?”

2016-06-18 14:17:31 | 国際政治
英首相「不寛容排除」訴え=野党党首と議員殺害現場訪問―国民投票、残留派同情論も
 EU離脱の是非を問う国民投票を間近にして、イギリスでは、女性議員の殺害という忌まわしい事件が発生しました。犯人の背景が取り沙汰されおりますように、同国での離脱派と残留派の論争を見ておりますと、移民問題が主要軸となっているように思えます。

 残留派の人々は、EU加盟国であることの経済的メリットを訴えておりますが、その努力もむなしく、なかなか残留派の人々を説得するには至っていないようです。何故ならば、離脱派の人々にとりましては、移民によって自国が奪われてしまうという危機感こそ、離脱を選択する理由であるからです。特に、移民人口が過半数を超えたロンドンでは、史上初のイスラム系市長が誕生しており、一般のイギリス人にとりましては、移民の増加は、英国という国名は残っても実質的に祖国が喪失する、という切実、且つ、現実的な問題なのです。

 残留派が、たとえ”恐怖プログラム”と称される”脅し”をかけても、離脱派にとりましては、自国喪失の恐怖の方が遥かに上回るのです。イギリスに限らず、移民問題を抱えていない国は殆どなく、今や、世界共通の課題と化していますが、この問題に関して常々疑問に感じるのは、移民の人々の”移民という行動”に対する理解です。人間とは、立場によって意見が変わることがありますが、移民する側の人々は、”あたなの祖国が移民に占められてもよいのですか?”という質問を受けた場合、何と答えるのでしょうか。おそらく、自己矛盾を避けるために表面上は肯定的な意見を述べたとしても、大半の人々は、本音では、”No”なのではないでしょうか。移民の人々も、出身国に居住していた時には、移民反対であったかもしれないのです。

 移民する人々には、”自分はよくでも、他者はだめ”というダブルスタンダードが見受けられます。例えば、イスラム諸国にとりましては、キリスト教徒や仏教徒など、異民族によって自国人口が占められてしまうことは、悪夢以外の何ものでもないことでしょう。移民問題の解決に際して多面的な見方が必要であるならば、移民する側にも、他の諸国や人々を思いやる気持ちを求めるべきなのではないでしょうか。”他人の嫌がることはしない”は、普遍的な道徳律であると思うのです。

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イギリス女性議員暗殺事件-何故現地は冷静なのか?

2016-06-17 10:06:22 | ヨーロッパ
残留派女性議員、撃たれ死亡=国民投票に影響の可能性―英中部
 今朝方、EUからの離脱を問う国民投票を前にしたイギリスから、労働党に所属し、EU残留派であったジョー・コックス議員の暗殺を伝える衝撃的なニュースが飛び込んできました。ネット上では、第一次世界大戦の引き金となった”サラエボの一発の銃声”に譬える意見が見られる一方で、BBCの報道を見る限り、現地は予想外に冷静さを保っているようです。

 それでは、何故、歴史的国民投票を控えた時期に、政治的暗殺という忌まわしい事件が発生しながら、現地はかくも落ち着いているのでしょうか。犯人は既に逮捕されていますが、居合わせた目撃者の証言によりますと、暗殺に際してこの犯人は、”ブリテン・ファースト”と叫んだそうです。”ブリテン・ファースト”とは、EU離脱を主張するイギリスの”極右団体”の名称ですが、同団体は、早々に犯行を否認しています。表面的には残留派が離脱派に対して政治的テロを仕掛けた構図となりますので、一昔前であるならば、国民世論は離脱派批判で激高したことでしょう。しかしながら、この事件は、国民投票の行方にも影響を与えるとされながら、今のところ、イギリスにおいて感情的な反応は見られないのです。その理由として推測されることは、国民の多くが、表面的な構図を素直には信じなくなってきていることです。例えば、離脱派が優勢にある中、犯人が”ブリテン・ファースト”と叫んだ点も疑問の一つです。優勢にある側が、敢えて自らに不利になるような行動をとるとは思えないからです。イギリスは、シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロなど、名探偵が数多く誕生した国でもありますが、推理小説好きのイギリス人の多くは、事件の裏には別の思惑が働いている可能性を敏感に感じ取っているのかもしれません。

 情報に乏しく、事件の真相が不明な段階では、国民としても、判断のしようがないのでしょう。もっとも、こうした国民の警戒心と用心深さこそ、国民が”政治的テクニック”のリスクを熟知した民主主義国家の姿であるのかもしれません。

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”中国包囲網”を自ら構築する中国

2016-06-16 15:08:34 | 国際政治
また中国軍艦、政府危機感 抗議6日後、鹿児島沖領海に
 今月9日、インドと中国との間の係争地であり、現在、インドの実効支配の下にある印北東部アルナチャルプラデシュ州に、人民解放軍が侵入したと報じられておりました。中国の積極的な軍事行動への警戒感が強まる中、昨日は、中国軍艦が日本国の鹿児島県沖の領海に侵入しております。

 中国は、東西においてほぼ同時に軍事的な行動を起こしたわけですが、両者の間には繋がりがあるのでしょうか。中国軍艦による日本国領海の侵犯については、日米印合同演習に参加していた航行中のインド艦隊を追尾、あるいは、監視するためであったとの指摘があります。中国軍艦はドンディアオ級情報収集艦であることも確認されており、何らかの軍事活動を行っていたものと推測されます。日本国から抗議を受けた中国側は、”法的に問題はない”と主張していますが、他国の領海で軍事的な情報収集活動を行っていたとしますと、国際法において認められている無害通航には当たりません。中国の行動は、明らかに国際法違反なのです。中国は、国際法上の違法行為を承知で領海侵犯を行ったとなりますと、東西を隔てた二つの中国の軍事行動は、日米印に対する牽制であったと考えざるを得ません。おそらく、その背景には、近年、中国が、印パ関係においてはパキスタンへの肩入れを強めてきたこともあるのでしょう。中国は、日米のみならず、インドに対する”敵視”を、最早隠そうとはしていないのです。

 中国の周辺国に対する軍事的な敵対行為は、国際社会に対して、これらの周辺諸国によって中国包囲網が形成されることの正当性を、中国自らが印象付ける行為でもあります。行動によって自らの危険性、あるいは、侵略性を露わにしているのですから。そして今後、軍事行動をエスカレートさせ、本格的に侵略を開始するとしますと、中国は、二正面戦争、あるいは、全方位戦争を自ら招くことになるのではないでしょうか。

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中国の三次元思考の欠如は共産主義の”神の否定”が原因か

2016-06-15 15:19:31 | 国際政治
南シナ海「深刻な懸念」=ASEANが中国批判―外相会合
 国家レベルと同様に、国際社会における法の支配の基本構図とは、共通のルールの下における全ての諸国の権利保障にあります。この構図では、全ての諸国は法の前に平等であり、国際法を順守する義務を等しく負います。

 全ての人や国の上に共通ルールを設けることにおいて三次元思考-立体思考-を要するのですが、中国など一部の諸国では、この構図を全く理解しようとはしません。何としても二国間対話に持ち込むことで、三次元の問題を二次元に引き下ろそうとするのです。この三次元思考の欠如の主要要因は、共産主義にあると想定されますが、その一つがプロレタリアート独裁、即ち、共産党一党独裁の容認です。階級闘争史観に基づく歴史の法則的展開によって最後の勝者となった共産党より上位のものは一切否定するわけですから、二次元思考-平面思考-に辿りつかざるを得ないのです。そして、想定され得るもう一つの要因は、共産主義による”神の否定”です。法の支配の基本構図が、法の前の平等とセットになることは上述しましたが、この構図は、神の前の平等に類似しています。超越的な存在である神が全ての人々を守護する構図は、ルールが全ての人々や国の権利を護る構図と重なるのです。もっとも、人間は、神の如く全知全能ではありませんので、完璧に公平で正義に適うルールを造るのは難しいのですが、それでも、全ての人や国に適用される共通ルールをつくろうと努力するわけです。

 共産主義は、”宗教は麻薬”と称して平然と切り捨てましたが、同時にそれは三次元思考を捨て去り、二次元思考に自らを閉じ込めることにもなりました。そして、二次元思考が動物と変わらないとしますと、やはり、共産主義は、人類の精神性にはそぐわないのではないかと思うのです。

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英EU離脱の行方-EU側の大幅譲歩が必要では?

2016-06-14 16:55:28 | ヨーロッパ
英国がEU離脱なら「世界恐慌」の引き金に? 勢い増す「離脱派」、日本企業にとっても脅威
 EUからの離脱を問う国民投票を今月23日に控え、イギリスでは離脱派の勢いが増しており、各社による世論調査の結果も、軒並み離脱派が残留派を上回っております。イギリスのEU離脱は、いよいよ現実味を帯びてきました。

 イギリス国内の残留派が焦りを募らせる一方で、EU内でも、イギリスの離脱派はEUの弱体化を意味するため、懸念が広がっております。こうした中、一つだけイギリスに残留を思い止まらせる方法があるとしますと、それは、EUによる大幅譲歩なのではないかと思うのです。事の発端は、今年2月のキャメロン首相とEUとの最終交渉にあり、イギリス側が折れたため、EUに移民政策等に関する権限を認める形で妥協案が成立してしまいました。言い換えますと、EUへの残留は、事実上、国境管理や難民・移民等に関する主権的な権限のEUへの委譲を意味してしまうのです。離脱派が優勢な理由は、近年の急激な移民増加と相まって、英国の国家主権へのEU側によるに浸食への抵抗感にあり、一般のイギリス国民をして国家消滅の危機感を抱かせているのです。このまま投票日を迎えれば、イギリス国民は離脱を選択することでしょう。

 となりますと、唯一、23日の国民投票を中止(過去にも状況の変化により国民投票中止の前例あり…)、あるいは、離脱の決定を防ぐチャンスがあるとすれば、それは、EU側がイギリスに対して、国境管理や難民・移民政策に関する主権的な権限の全面的な返還を申し出ることです。あらゆる犠牲を払ってでも離脱を決意したイギリス人の心情を、EU側も、汲むべきではないかと思うのです。

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フロリダ銃乱射事件-ヘイトされる側によるヘイトクライム

2016-06-13 15:12:11 | アメリカ
フロリダで米史上最悪の無差別乱射 根深い銃問題とヘイトクライムの懸念
 昨日、アメリカのフロリダ州オーランドにおいて、忌まわしい銃乱射事件が発生しました。銃撃による死亡者は50名にも上り、犠牲者の数からしますと、アメリカ史上、最大の銃乱射事件ともなりました。

 事件の現場が性的少数者の人々が集まるナイトクラブであったことから、犠牲者の大半も、性的少数者であったものと推測されます。この情報から、マイノリティーに対するヘイトクライムとして批判されておりますが、その一方で、特殊部隊に射殺されたマティーン容疑者もまた、マイノリティーであるイスラム教徒であったと報じられております。事件発生後、ISもすかさず犯行声明を公表しており、イスラム過激派のメンバーであった可能性は濃厚です。つまり、犯人もまたイスラム教徒というマイノリティーであるため、事件後の”ヘイト批判”は、どちらに向いているのか曖昧な様相を呈しています。批判の対象が、性的少数者に対するイスラム過激派のヘイトに向けられているのか、それとも、事件後の影響として、今後、強まるであろうイスラム教徒に対する一般の人々のヘイトに向けられているのか、判然としないのです。

 この事件、あたかも混沌とする現代社会の縮図のようです。何故ならば、イスラム過激派、テロ、移民問題、性的少数者問題、銃規制、ヘイトクライム…などなど、現代社会が抱えるありとあらゆる不安定要因が、この事件には内包されているからです。とは言うものの、この事件で一つだけはっきりした点があるとすれば、それは、ヘイトされる側であっても、ヘイトクライムを犯し得るというものです(否、自身のヘイトクライムが自らのヘイトに跳ね返っている側面も…)。それ程に、今日の人間社会は複雑なのであり、ヘイトされる側=保護されるべき弱者とする構図は、今や、説得力を失っているのです。フロリダ銃乱射事件は、否が応にも、現代という時代の現実を人々に突き付けているように思えるのです。

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日銀の脱デフレ政策の失敗-タックスヘイブンも一因では?

2016-06-12 14:01:58 | 日本経済
 パナマの法律事務所、モサック・フォンセカから流出した『パナマ文書』は、世界各国で様々な波紋を広げ、アイスランドでは早々首相が辞任する事態に至りました。その一方で、日本国のマスメディアは、腰が引けた報道が多く、国民の多くは釈然としない感情を抱いております。

 ネット上に公開された『パナマ文書』には、富裕層の個人名のみならず、大企業や宗教法人も名を連ね、タックスヘイブンの利用は明らかです。日本国からタックスヘイブンへの流出した金額は、ケイマン諸島だけで50兆円を超えると推計されており、全世界のタックスヘイブンを含めれば100兆円を超えるかもしれません。安倍政権誕生以来、日銀の”異次元緩和”により超円高が収まり、日本企業は増益を記録しています。昨今は、円高に振れてはいますが、超円高是正による日本企業の競争力回復は、アベノミクスの最も成功した一面とも言えます。ところが、財務相の統計によりますと、法人税収入は、2015年に法人税率を29%に引き下げたこともあってか、それ程には伸びておりません。この法人税収の低い伸び率は、おそらく、富裕層、企業、並びに、宗教法人等による租税回避行動と関係しているのでしょう。そして、こうした企業の租税回避行動は、超円高が是正されながら、何故、日銀の脱デフレ政策が失敗したのかを説明しているように思えます。たとえ企業等が収益を挙げたとしても、日本国内に資金が留まらず、常に海外に流出している状態では、インフレに転じるはずもありません。

 もっとも、莫大な資金がタックスヘイブンから日本国に還流することで、特定市場でのバブルや過度なインフレが発生しても問題ではありますが、内部留保や余剰資金を賃上げや国内投資に向けたならば(現状では外国企業のM&A資金とも…)、個人消費の伸びによる内需拡大によるGDPの押し上げ効果も期待できたはずです。今からでも遅くはありませんので、デフレ脱却、歳入増、経済成長、国民所得の上昇などの側面から、法規制の強化などを通して、タックスヘイブンに逃避している資金の国内還流を促進すべきと思うのです。

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英EU離脱問題-ロンドン独立論の驚愕

2016-06-11 12:49:59 | 国際政治
英国以外のEU離脱、可能性排除すべきでない=ショイブレ独財務相
 EU離脱を問う国民投票を23日に控え、イギリスでは、離脱派と反離脱派との間で激しい舌戦が続いているようです。こうした中、直近の世論調査では、離脱派が10ポイントもリードしているとの報道もあります。

 接戦が続いていたものの反離脱派が優勢に推移していただけに、、離脱派の10ポイント・リードは驚きです。イギリス世論は離脱に向けて大きく傾いたことになりますが、一体、何を転機として形勢が逆転したのではないでしょうか。イギリス人の心境の変化には、どうやら首都ロンドンの動向が関係しているように思えます。先日、ロンドンでは、史上初のイスラム教徒の市長が誕生しています。カーン市長は、融和を訴えていますが、ロンドンは首都なわけですから、地方に居住する一般の国民が、移民パワーに脅威を感じたとしてもおかしくはありません(カーン市長は離脱反対派…)。加えて、イギリスの有力経済紙に掲載されたロンドン独立論も、一般のイギリス人にしてみれば、反離脱派からの脅迫と映ったかもしれません。ロンドン独立論とは、時期尚早と断りながらも、仮にイギリスがEUから離脱した場合、将来的には、ロンドンも独立する可能性があるというものです。しかも、移民が多数となった現在のロンドンでは、高度な技能を有する移民を制限するよりも、一般のイギリス人が地方から移入することに制限を加えるであろう、とも言い放っているのです。この言い様では、一般のイギリス人の多くが”けんかを売られた”と感じるはずです。離脱反対派を増やすために書かれたのでしょうが、この論説は、明らかに逆効果です。

 離脱派のリードは、国民の懸念に対する反離脱派の無神経、かつ、無理解な態度にも一因がありそうです。23日の国民投票の行方については、いよいよ視界が不透明となってきたように思えるのです。

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