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映画「飢餓海峡」原作:水上勉 監督:内田吐夢 1965年1月公開

2021年03月20日 | 映画

NHKbsシネマ 2/8(月)午後1時00分から4時04分
を録画して観た。(netflixでは、現在みられない)

邦画・名作中の名作と言われるだけあって、
映像的にも物語的にも、また見たくなるような濃い内容だった。

上映時間 3時間 3分のうち
物語上10年たった後半には、主演者も入れかわり、
さらに映像そのものも明瞭度が増す感じだ。
(それはそれでいいが、前半のかすれた感じの白黒もよい 特に海、山の映像は臨場感がある)

被疑者(犬飼多吉)三国連太郎を追う刑事、伴淳三郎に替わり若い高倉健が登場。
左幸子を含めこの4人が代わったら、別の物語になってしまう
と思うほどの強い印象だ。(カラーにしてもいけないW)

ストリーとは、直接関係のない画面の背景のに映る細部を
意識的にぼんやり?眺めるのが好きだ。
街中の電柱の広告や、生活標語、通行人の服装、室内の調度品など。

この作品には、そうしたものが、意図的と思えるほどたくさんあって、たのしい。
もう一度見返してみると、重要な伏線となっている映像や仕掛けを見落としていることがいろいろありそうだな、と思わされる。

あと、
沖縄奄美でもそうだが、北海道からみると、下北や東京は、「内地」とよばれていることに少し驚いた。

内地と外地を隔てる「飢餓海峡」(津軽海峡)で物語は始まり、終わる。
ラストシーンは海峡の黒い海原に描かれた船の真っ白な波の航跡で終わる。

内地と北海道の間に、どこまでもつづく白い線は、
樽見京一郎(三國連太郎)と杉戸八重(左幸子)の過去と現在を結んでいるのだろう。

(それだけでもよいのだが、それではもったいない)

それだけではなく、東京オリンピックを成功させ、
豊かになって自信をつけた日本人(樽見 三國に象徴される)。

その反面、いやそのために、
なにかを隠ぺいし、何かを置き忘れた、戦前戦中の日本人全体の(消してしまいたい)過去の記憶に繋がってはいないだろうか。

そしてそれの思いは現在にも続いているとみることもできる。
もちろん、船の航路は、北海道と内地(下北や東京)と繋がるわけだが、
 
さらに拡大解釈すれば、
遠きににありて故郷を思う人々の心にもなぞらえて見ることも可能だ。
 
1964年10月東京オリンピックの熱気もさめやなない3か月後の1965年1月公開を思うと、
この映画はタイトルもそうだが、一度見ただけでは気づきにくい、暗喩や隠喩、
類推などが盛り込まれている。
・・・

うろ覚えの石川さゆりの「飢餓海峡」を思い出して聴いてみた。
1から3番までの歌詞に「漕いでも漕いでも・・・岸ない飢餓海峡」などとあった。


【キャスト】
三国連太郎、高倉健、伴淳三郎、左幸子

【スタッフ】
原作:水上勉
脚本:鈴木尚之
監督:内田吐夢

1965年1月公開 上映時間 3時間 3分

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飢餓海峡 / 石川さゆり 1994年
4月21日 飢餓海峡 曲:吉岡治 詞 弦哲也


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