僕の勤める施設では今年度から紙漉きによるハガキ作りを、利用者の作業(仕事)として始めました。写真がそのハガキの完成品です。
材料は牛乳パックで、ビニールを剥ぎ1センチ四方未満まで細かく千切り、それをミキサーにかけます。そのミキサーにかけた状態のドロドロの原料を漉き、日光に干します。乾いたらアイロンをかけ、スタンプを押し、サイズを調整後袋詰めして完成です。この完成までの工程でいくつもの仕事があり、利用者のみなさんにそれぞれ得意な工程、その日にしたい工程に取り組んでもらっています。
作業の位置づけ、販路、製品の質等まだまだ課題は多くりますが、まずは第一段階として、利用者の皆さんが意欲的に取り組まれていることを嬉しく思います。
施設へ8月の夏休み期間中に地元の中学生が体験実習に来園され、紙漉きにも取り組んでもらいました。利用者のみなさんは得意気に中学生に教えていたのですが、その中学生が2学期に入り学校でこのハガキを先生に見せ、授業で作りたいという話になったとのことで、学校に紙漉きの講師に来てもらえないかと依頼の連絡がありました。
とても嬉しく思いました。本当に嬉しく思いました。人のお世話を受ける、人から教えてもらう、福祉の支援を受ける立場にあった障がいのある利用者が、人のお世話をし、人に教え、物作りの講師の立場になるのです。お互いにとってとても貴重な経験になるのではないかと思っています。この依頼をくれた中学生、この機会のきっかけを作った利用者のみなさん、僕はあなた達に感謝します。
障がいのある人が「人に何かを提供する喜びを感じる。」、すばらしいことです。でも、それがすばらしいで終わるのではなく、当たり前となっていけばもっとすばらしいことではないかと思います。むしろ、そうしていかなくてはいけないとも思います。
ヘルパーの資格を取り介護に携わる障がい者がいます。公務員試験に合格し公務員として働いている障がい者がいます。喫茶店やレストランで、またその他の一般企業で働いている障がい者がいます。そうしたことが特別でなく、当たり前とされる社会であって欲しいと思います。
以前の記事で紹介した名瀬市ダイエー近くの
「あしたば村」でも販売していますので、興味を持たれた方機会があれば是非一度店を覗いてみて下さい。