不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Piccolo concerto

2004-11-19 19:14:43 | 日記・エッセイ・コラム
友人がフィレンツェのドゥオーモの聖歌隊に入団した。
そんな大げさなものではないのかもしれないけれど、
機会があればあのドゥオーモで歌うなどという
光栄なこともありうる。なんて素敵。
そして私は唄わなくても、
友人の晴れ舞台を見に行くということで
なんだかちょっといい気分になったりして。

金曜日の夜にはコンサートがあるからねと
前から知らされていた。
友人デビューの日。
SS.Annunziata教会でという話で早速出向いてみたけれど
どうもコンサートをやる雰囲気ではない。

連絡がついて
普段は入れない回廊のほうの「S.Lucaの礼拝堂」が
コンサート会場になっているとか。

この「S.Lucaの礼拝堂」には普段入ることはできない。
私は数年前、居候の従姉妹の娘の洗礼式の際に
ここへ連れて行ってもらったことがある。
マニエリスムな雰囲気の漂う素敵な礼拝堂。
cantori_01
聖歌隊の皆様。
普段は大聖堂聖歌隊という名ですが、
時々フォーメーションが変わって
Cantori di San Giovanniと呼ばれることもあるようです。
今日は違ったフォーメーションでのコンサート。

cntori_02
かなりベテランの方々ばかりです。
すごい顔ぶれなのです。
50年以上は唄ってますよという
年季の入ったおばあちゃまが多いです。

cantori_03
「Chiostro dei Morti(死者の回廊)」からアクセスする
この礼拝堂は聖ルカに捧げられたものです。
S.Lucaというのは画家の守護聖人です。
この礼拝堂の中には
Cellini(チェッリーニ), Pontormo(ポントルモ),
Franciabigio(フランチャビージオ), Bartolini(バルトリーニ)など
著名な作家たちが眠っています。

immagine9.jpg
こんな素敵な場所でコンサート。
楽しみにしていたのですが、
なんと開園間際になっても誰も来ない。
まぁ待っていればそのうち始まるかなと
気楽に構えていたら
聖歌隊の隊員の一人が
私のところに古めかしいカセットレコーダーを持ってきた。
「録音してください」
私は音響さんですか…。まぁいいけど。

それにしてもなかなか始まらないし、誰も来ないし。
おかしいなと友人たちと話しているうちに
キャリアウーマン風の女性がつかつかと近づいてきた。
「本日のコンサートはプライベートコンサートなので
申し訳ないですが退出してください」
「へ??」
聖歌隊のおばちゃまたちのブーイング。
「ノォォォ。」

まぁ揉めても仕方ないので
(気持ちよく歌ってほしいですからね)
あまり駄々をこねずに
(私にしては珍しい…)退出。

ちょっと残念だったけど、
プライベートコンサートだといわれれば仕方ない。
またの機会に友人の声は聞かせていただくことに。