不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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2012-11-30 18:04:05 | Tweet Log



Tra la mente e il cuore 30.11.2012

2012-11-30 00:19:38 | Tra la mente e il cuore

価値観は人それぞれ。
なにに重きを置くかは環境が異なる以上
個人で異なって当然だと思う。

今の仕事を始めたばかりの頃、
その頃の上司に教えられたことのひとつ。
「値段が高いかどうかはお客様が決めること。
あなたが高いと思っても
お客様には適正価格かもしれない。
それを忘れずに。」
その通りだと思った。
そしてそれは価格に関してのひとことではなく、
サービス全般に関する大きな教えでもあった。
それからずっと、
自分の価値観だけを
押し付けることはやめようと思って仕事もしているし、
それから幅が広がって、
自分とは違う価値観も存在するのだと
いつも思いながら暮らしてきた。

しかし、悟ったわけではないので
自分と違う価値観を
全て受け入れているというわけではないよ。
そこまで仙人にはなりきれてない。
ただ、自分とは違う価値観がある
という認識ができるというだけ。
だから偉そうなことがいえるわけではない(笑)。

しかし、仕事ということに限っていえば、
私の中に最初からずっと
一本筋が通っていることがあって、
それだけは譲れない。
「お客様の立場に立ったサービスを」ということ。
それは仕事上はそういうことだけれど、
日々の暮らしの中では
「相手の立場に立って考える」ということに他ならない。

自分の価値観しか認めないうちは、
この「相手の立場に立つ」
ということができないものなんだよね。

自分たちはプロとして仕事をしているわけで
業界用語もわかるし、事情も熟知している。
(逆にそうでなくちゃ困る)
でもそれを一般のお客様が
理解してくれるわけじゃないんだから、
お客様の立場に立って
わかりやすく案内する、それが基本。
案内不足でお客様が困惑したり、
後で迷惑かけるようなことになったときに
自分の力で自分の尻拭いができるだけの
スキルと要領のよさを持ち合わせているなら
勝手にやってくれてかまわないけれど。
周りに迷惑かけるくらいなら、
最初から手を抜かずに
きちんと必要な情報を
案内してあげたほうがよいと私は思う。
何かを省いたところで、
たいした合理化にはなってないことが多いのだから。

価値観は様々なので、
最終的に決めるのはお客様。
そのためには必要な情報をできるだけたくさん提示して
選択肢を増やしてあげること。
それが本当の意味でのサービスだと思う。
自分の価値観を押し付けて
何かを販売してそれがサービスだと思っているようじゃ、
いつかお客様にそっぽ向かれるよ。

いっぱい選択肢を並べた上で
最終的にお客様が一押しの最初のひとつを選んだとしても
それはそれでよいこと。
私の価値観とお客様のそれが
似通っていたんだなと思えて嬉しいし、
他に並べた選択肢は自分の肥やしにもなる、
そう考えているから
私は無駄じゃないのと
周りには思われているかもしれないけれど、
できるだけたくさんの情報を投げ続けている。

私のやり方を良しとするかどうかも
価値観の違いだから、
それは無駄な仕事じゃんと思うなら
思ってくれてもかまわない。

別にそうして選択肢を増やして情報提供することで
時間を無駄に使っているわけじゃないし
他の誰かよりも対応に
時間がかかっているわけでもないんだから。

でも
これが伝わる人には伝わるんだけれど、
一向に伝わらない人もいるわけで。
そして伝わらない人には
私は伝えるのを諦めるんだよね、最近。
価値観の違う人に
私のやり方を押し付けても仕方ないからね。


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2012-11-29 18:04:05 | Tweet Log



Tra la mente e il cuore 29.11.2012

2012-11-29 00:14:00 | Tra la mente e il cuore
火曜日の午後から大雨で
警戒態勢だったフィレンツェ。
水曜日の夕方には晴れてきて、
夕日の光で生まれた虹がとても綺麗だった。

仕事帰りにジムに行くつもりで
カメラを家においてきてしまっていたので、
iPhoneでしか撮影できず。

Img_2852
オフィスでファイル整理していてふと振り返ったら
サンロレンツォ教会の向こうに虹。
思わず、声に出して「綺麗な虹」とつぶやいて
あ、きっとジョットの鐘楼の方に
虹のアーチがかかっているだろうなと思って、
窓開けて乗り出してみた。
Img_2854_2

虹を見るとなんでこんなに嬉しくなるんだろう。

幸せな気分で仕事終えて
外に出たら満月が綺麗に上がっていた。
Img_2861

水たまりにもジョットの鐘楼と月。
Img_2862

ジムから出て帰り道。
満月は更に高くのぼっていて
クレーンとジリオのオベリスクを従えてキラキラしていた。
Img_2868

雨の被害は心配だけれど、
空気がきれいに現れて夜空はとても綺麗。

今夜はよい夢が見られそうだ。



Ariannna dormiente

2012-11-28 18:11:39 | アート・文化

ギリシャ神話の女神アリアドネ、
イタリア語名はアリアンナ(Arianna)。
クレタのミノス王(Minosse)の娘で
テセウス(Teseo)との逸話が残っています。

諸説ありますが、
有名なものは下記のようなもの。
ミノス王は息子がアッティカで殺されたことを受け、
アテネに攻め込み、
これに敗北したアテネは
9年ごとに7人の少女と7人の少年を
ミノタウロスへのいけにえとして
クレタに差し出すことが義務付けられます。
テセウスはこの7人の少年の一人として
志願してクレタに乗り込み、
ミノタウロスを退治することに。
それをみたアリアンナは彼に恋をして、
無事に戻ってこれるように手助けをするので、
戻ったら自分を娶り
アテネに連れ帰るようにと契約を交わします。
アリアンナはダイダロスに知恵を借りて
テセウスがミノタウロスを退治して
無事に戻ってこれるように
迷宮の中で帰り道を見失わないように
毛糸を辿って帰ってくるようにと
迷宮に入るときに毛糸の玉を渡したとされています。
この秘策のおかげで
無事に戻ってきたテセウスと他のいけにえと共に
アリアンナもアテネに逃げのびます。
途中ナクソス島に上陸し、
そこでテセウスはアリアンナを眠らせ
(もしくはひどい悪阻のせいで
アリアンナが眠りについてしまった)
彼女を置き去りにしてしまいます。
このあとアリアンナは
ディオニソス(Dioniso)に見初められていますが、
このことから
ディオニソスの命でテセウスがアリアンナを眠らせて
酒神に彼女を譲ったのだという説も残っています。
このディオニソスとの婚姻の際に
彼がアリアンナのために
火の神エフェストに命じて作らせた
宝石の髪飾りを空に投げ、
それによって「かんむり座」ができた
という逸話も残っています。

約220年もの間、あちこちを転々としてきた
「眠るアリアンナ」の彫刻が
5年の修復を終えて、
12月17日から正式に
ウフィツィ美術館に展示されることになりました。

現在、よくわからない計画の下に
ウフィツィ美術館の展示改装が続けられていますが、
ミケランジェロの作品(Tondo Doni)は35室に移され
この「眠るアリアンナ」も
この部屋に置かれることになるそうです。
1500年代の芸術家は古典回帰で
古代ローマやギリシャ時代の彫刻を
よく参考にしていたといわれています。
こうしたことを前提に
ウフィツィの新しい展示はまとめられていくようなのですが、
残念ながら、いまひとつ方向性が見えていません。

特に「眠る女性」というテーマは
ルネッサンス期に崇拝され、よくモデルとされ、
こよなく愛されたテーマでもあるので
ミケランジェロの部屋に置かれる理由はあるようです。

Arianna

「眠るアリアンナ(Arianna dormiente)」は
紀元前3世紀のヘレニズム期の
古代ローマ彫刻のコピーで
約2トンの大きな作品です。
この作品が11月26日に
シニョリア広場でクレーンに吊るされて
約2時間半をかけて
ランツィのロッジャの上にある
ウフィツィのテラスから廊下に搬入されました。