不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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Vanitas. Lotto, Caravaggio, Guercino nella Collezione Doria Pamphilj

2011-05-25 14:45:18 | アート・文化

ローマの中心地にあるコルソ通り(Via del Corso)の
Palazzo Doria Pamphilj (ドーリア・パンフィーリ宮殿)にある
同名の美術館は、
歴代のパンフィーリ家の美術コレクションを収蔵しています。
他の美術館と同じく、
通常展示以外にも一般公開されていない作品も多く、
そうした作品も含めた展覧会が5月21日より行われています。

展示のテーマはVanità(空虚、儚さ)で、
ドーリア・パンフィーリのプライベートコレクションの中から、
特に「儚さ」ということで、時を表す時計やろうそく、
もしくは死と直結する骸骨やどくろ、
またVanita’ のもつもう一つの意味である
「うぬぼれ」を暗示する鏡や宝飾品などが
図像学的に用いられている作品を中心に展示しています。

仏教の根本思想である諸行無常にも通じる、
地上の諸物のもろさや滅びやすさは、
西洋の歴史を飾ってきた貴族家系にも
常につきまとっているものでもあります。
そしてそれを裏付けるかのように
彼らの芸術コレクションには
著名な作家の手によって描かれた
「儚さ」をテーマにした作品も数多く残っています。

ローマ教皇インノチェンツォ10世(Innocenzo X)は
パンフィーリ家出身で、
彼の実弟がPamphilio Pamphilj(パンフィーリオ・パンフィーリ)で、
彼は50歳近くなってから
31歳も年の離れた若い未亡人を娶ります。
これがOlimpia Maidalchini(オリンピア・マイダルキー二)。
彼らの間に世継ぎとして生まれたのがCamillo(カミッロ) で、
両親は聖職者として成功することを望んでおり、
叔父である教皇の力で枢機卿になったものの
やがて還俗して膨大な財産を引き継ぎ、
Olimpia Aldobrandini
(オリンピア・アルドブランディー二)と結婚します。
彼女は未亡人で
前夫の生家であるボルゲーゼ家の財産の一部も引き継いだため、
ボルゲーゼ家の美術コレクションの一部がパンフィーリ家に移り、
1600年代後半には
パンフィーリ家の美術コレクションは
ヨーロッパでも屈指のものとなりました。

カミッロは10年間で1000作以上の芸術作品を買い漁ったともいわれ、
カラヴァッジョの作品も4点所有していましたが、
そのうちの一点は
「La Buona Ventura(未来を予言するジプシー)」で、
フランス国王ルイ14世への敬意の証としてパリに贈られ、
現在もルーブル美術館に所蔵されています。

今回展示されているカラヴァッジョ作品は
「Maddalena Penitente(改悛するマグダラのマリア)」。
Caravaggiomaddalenapenitentea
過去の豪奢な生活を捨てた
マグダラのマリアの脇に投げ捨てられた宝飾品は
今回のテーマである「Vanita’」を表すシンボルでもあります。
Caravaggiomaddalenapenitenteb

Lorenzo Lotto(ロレンツォ・ロット)、Caravaggio(カラヴァッジョ)、
Andrea Sacchi(アンドレア・サッキ)などの
作品も含まれるこの展示は9月25日まで。

“Vanitas. Lotto, Caravaggio, Guercino nella Collezione Doria Pamphilj”.
会場: Galleria Doria Pamphilj (Via del Corso 305/ Roma)
会館時間:10:00-17:00
休館日:1月1日、12月25日、復活祭
入場料:10,50ユーロ
詳細:http://www.dopart.it/roma/