不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La donna allo specchio

2010-11-30 21:05:55 | アート・文化

ミラノのPalazzo Marino(マリーノ宮殿)内の
Sala Alessi(アレッシの間)は
2008年はCaravaggio(カラバッジョ)の
Conversione di Saulo「サウロの改心」、
2009年はLeonardo Da Vinci(レオナルド・ダ・ヴィンチ)の
San Giovanni Battista「洗礼者ヨハネ」という
豪華一点主義の展示を年末年始にかけて行い
無料で公開しています。
今年はTiziano(ティツィアーノ)の
La donna allo specchio「鏡の女」。

ルーブル美術館所蔵の作品で、
ティツィアーノらしい優しさと甘美さが漂います。
1400年代1500年代のヴェネツィアを中心にして広がった
女性の美しさという概念が表現されています。
鏡に姿を映す若い女性という題材は
ティツィアーノやその周辺画家によって
度々取り上げているテーマでもあります。

Giovane_donna

宮廷で寵愛をうける美しい女性のモラルや
容姿へのこだわり、
美しい女性としての振る舞いや仕草、手の込んだ服など
ティツィアーノの描く女性は
そうした特長をところどころに反映しています。

まさに豊穣そのものを象徴するようなふくよかな体躯に
やわらかく長い金髪の巻き毛。
きりっとした意志の強そうな眉毛に引き締まった口元。
当時の女性の美しさがにじみ出る作品となっています。

La donna allo specchio
会場:Palazzo Marino(マリーノ宮殿)
    Piazza della scala 2 Milano
会期:2010年12月3日から2011年1月6日まで
開館時間:11:00-19:30
入場料:無料

ルーブルに行ったけど、この作品を見た記憶がない!!
ということで、見に行かなくてはと思っているところです。
ブレラ美術館のピエロ・デッラ・フランチェスカも
一緒に見てこようかなぁ。
でもミラノ寒いんだよねぇ・・・。


il Tempio di Venere

2010-11-23 01:42:20 | アート・文化

ローマのコロッセオの向かいにある建物は
ローマ帝国時代の宗教建築物の中で
最大級のものといわれるヴィーナス宮殿は
これまで観光コースに含まれることはほとんどありませんでした。
二つのアプシスを持つこの神殿が一般公開となります。

フォロ・ロマーノ&パラティーノの丘からコロッセオに向かうと
唯一の出口となるVia Sacra
(ヴィア・サクラ/聖なる道)の終りにあり
そこからは頭上に10本の柱の列だけを見ることができます。

常に観光コースからは外され、
1935年5月21日にムッソリーニ同席で公開されたことを除いては
管轄部署が分かれていたことなどの理由で
常に閉鎖されてきました。

コロッセオの向かいにある大きな建造物で
Venerdi Santo (ヴェネルディ・サント/復活祭前の金曜日)の
夜に行われる
Via Crucis(ヴィア・クルチス)のときに練り歩く行列の
教皇の背中越しに見ることができます。
合計144本の高価な大理石柱で囲まれた
女神ヴィーナスと女神ローマをともに祭る神殿で
古代ローマで最も美しく大きな神殿として知られていました。
また大理石装飾製作技術においては
現在のプレハブ方式に繋がる技術が応用されているといわれます。

帝国内を偵察し、各地の建築物に影響を受けた
Imperatore Adriano(ローマ皇帝ハドリアヌス)の提案で
当時の有名建築家Apollodoro di Damasco
(アッポロドロ・ディ・ダマスコ)に命じたもの。
145メートル×100メートルの長方形で
神殿自体は高さ16メートルの
120本もしくは124本の白大理石柱で構成される
2重回廊で囲まれていました。
正面装飾の残骸から
幅は約48メートルほどであったと推測されています。
屋根はブロンズ葺きで、
7世紀にBasilica di Massenzio
(マッセンツィオ寺院)建立のために
柱と屋根の一部は取り外され再利用されています。

現在見ることができるヴィーナス宮殿は
307年の2度目の火事で損傷した部分の修復も含め
4世紀にMassenzio(マッセンツィオ)によって再建されたもので
ハドリアヌス帝によって提案された
2つの後陣を忠実に再現しています。

この神殿は2010年11月12日より
フォロ・ロマーノ見学コースの一部として訪問可能となっています。
(チケット売り場で入手可能な地図の15番に記載されています)


I due lottatori di Michelangelo

2010-11-16 23:00:40 | アート・文化

普段はフィレンツェの
Casa Buonarroti(ブオナロッティの家) に収蔵されている
「二人の闘士」をテーマにしたテラコッタの粗形。
ミケランジェロ作であることが
現在では多くの専門家によって認められている作品です。

いくつかの部品で残っていたものが
現在の形にまとめられたのは1926年。
12月5日までローマのカピトリーニ美術館に貸し出し中。

作品は長らく、メディチ家の要請で作成された
「Ercole e Caco(ヘラクレスとカクス) 」の
模型だといわれていました。
実際に1506年にメディチ家から正式にミケランジェロに
制作依頼が出ていることは古文書にも記録が残っています。
しかし、1525年に
本格的にプロジェクトの話がまとまったときには
ミケランジェロは断り、
彼を一方的にライバル視していた
Baccio Bandinelli(バッチョ・バンディネッリ)が
手がけることにまとまっています。
メディチ家追放後の1528年にフィレンツェ共和国政府は
ミケランジェロに改めてこの作品の製作要請を出しますが
ミケランジェロは「ヘラクレスとカクス」という主題を変更して
「Sansone e i filistei(サンソンとペリシテ人)」
の作成にかかります。
フィレンツェ共和制の崩壊とメディチ家の復帰で
最終的に「ヘラクレスとカクス」はバンディネッリに委ねられ、
1534年に出来上がったバンディネッリの作品は
チェッリーニなどから酷評されながらも
ミケランジェロのダヴィデ像と並んで
ヴェッキオ宮殿前に設置されました。

1928年には
テラコッタの粗型の比率では
作品製作のために用意された大理石の大きさと
一致しないことを理由に
ミケランジェロ研究者である
Johannes Wilde(ヨハネス・ウィルデ)によって、
ミケランジェロが残したテラコッタの粗型と
メディチ家の依頼した「ヘラクレスとカクス」は
一致しないことが提示されています。
同じくWildeは
この粗型は1527年から1530年に製作された
ユリウス二世の墓碑彫刻のための
アレゴリー群の中のひとつである可能性を提示しています。
因みにその作品は
現在ヴェッキオ宮殿の500人広間に保管されています。

荒削りのテラコッタの粗型は12月5日まで
フィレンツェのブオナロッティの家を離れ
ローマのカピトリーニ美術館で展示中です。

Michelangelo, I due lottatori
会期: 2010年12月5日まで
会場: Musei Capitolini ローマ
開館時間:9:00-20:00
休館日:月曜日
入場料: 11,00ユーロ