1833年、ドイツのハンブルクの貧民窮の一角に生まれたブラームス
は、シューマンの熱烈な賛辞によって一躍有名になり、ドイツ音楽の
巨匠として、名声を得て、64年の生涯をウイーンで終えました。
ブラームスは、不思議な作曲家です。
彼の同時代人のワーグナーが、その絶大な影響力で、それまでの音楽
形式を強引に変貌させた19世紀後半に、ブラームスは、ベートーヴェン・
メンデルスゾーン・シューマンと引き継がれた伝統的な形式にこだわり続
けました。
夢・あこがれ・絶望・・・人間が自然に表に出す言葉、ブラームスは、
それらをはっきりと音として、残しました。
若きブラームスが激しい愛情をささげたシューマン夫人のクララにさえ、
心のうちをあかさず、内気でデリケートだったブラームス。でもそうした彼
の性格が、創作活動のすみずみにまで浸透し、その作品は、慎重な計画
と入念な仕上げと叙情性を生み、すばらしい世界を築きました。
このお墓は、前回のベートーヴェンと同じ、ウイーンの中央墓地にあります。
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