10日から13日までブラザー中国一行の北京、上海、西安の各地から18名と陜西師範大学学生6名が5回目の植林に来てくれました。1日目は風が強く、日差しもきつかったのですが3800本の梭梭、2日目はセンターにて蒙古族実験小学校の子供達25名と一緒に2000本の梭梭を植えて汗を流ししてもらいました。ありがとうございました。一人一人の力は小さいですが、現在はたくさんの人達が来て植えてくれます。それをまたウェイボーでたくさんの方に伝えてくれるので一瞬でたくさんの人に情報を伝えることができます。便利な時代になったのですが、逆に不便な所を避けても行きて行くことができる現在、こうして地球を少しでも良くするために進んで来て頂けることに感謝致します。今日は砂嵐の天気です。この砂嵐が少しでも少なくなりますように。
アラシャンはラクダの故郷といわれている。ここでラクダ産業を興そうと農牧局のモンコさんや右旗地区の人達が頑張っている。センターの脇でもラクダの搾乳を行なっている。10頭の母ラクダと10頭の子ラクダを飼育し、母ラクダが放牧に出る朝と戻ってくる夕方に搾乳を行なう。この搾乳を手伝ったのだが、楽ではなかった。まずはパドックにラクダを入れてから後足を縛る。そうしないとラクダに蹴られるからだ。蹴られて当たるととても痛い。下手なボクサーよりもきついケリが飛んでくる。恐る恐る縛るとバシッとケリが入る。度々蹴られながらも何とか縛り終えると、子ラクダを引っぱって母ラクダの所まで連れて行く。子ラクダも侮っていると痛いケリが飛んでくる。連れて行くと喜んで乳を吸いながら母ラクダとしばらくの幸福の時間を楽しんでいる。こうして授乳を慣らしてから搾乳に移るのだが、この作業は牛よりも大変で、搾乳量も少ない。慣れるまでは命がけの搾乳。ラクダ乳が高い理由が良くわかった。
今日はセンターのエミューからのヒナが2羽産まれた。50日間飲まず食わずでオスが卵を温めていた。エミューの子供を孵すための忍耐力はすごい。エミューが残りの卵をコロコロと転がしながらいつもよりも笑っているような気がした。そして初めて水も飲んだ。私たちも見習わなければ。
春の植林がほぼ終わり漢方薬の栽培をスタートした。こちらは植林よりも大変だ。ただ汗をかきながらも宝探しの宝を埋めていくようなアドベンチャーの楽しさがある。そのため農牧民の研修の需要が高い。この種子代などの研修費用を捻出するため北京に出て来た。これから中央政府を回り支援をお願いしにいこうと考えている。貧困県で年収が9683元(16万円あまり)なので支援を貰える可能性がある。もし貰えれば、こちらで400人あまりの牧民へ栽培を一気に広げて行こうと考えている。牧民も収入が入ることにより積極的に植林を行なうことになり、結果として黄砂を止める一助になる。木が生えることにより牧民の人たちの環境意識も高まる。
センターには22年前の1994年製の冷蔵庫がある。スタッフが家から持って来たものだ。中国の冷蔵庫は壊れるというが、それは最近のものであって、昔の冷蔵庫やテレビなどまだ現役のものが多い。驚くのはその価格だ。1994年当時、この冷蔵庫は2000元だったという。その当時の年収が3500元だったというから、年収の半分以上の値段で購入したということになる。それだけきっと高価なものだったのだろう。とても大事にされている。その当時のレートは1元=12円くらいなので2万4000円の冷蔵庫ということになるため、失礼ながら安いなあと思ってしまったが、当時の年収はたったの4万2000円ということになる。その間、失われた20年などといわれるが、その当時の日本の年収は今の年収とあまり変わっていない。変化がほとんどなかったことになる。日本が変化なく安穏としている間にこちらの経済は急激に変化してきた。その当時は松下のテレビなどは高値の花だったという。2006年当初からも毎月上昇する時代の急激な変化を感じてはいたが、時代は本当に変わった。かつては北京空港に行く途中の大きな松下のブラウン管工場もついに撤退した。最近はまだ海外の方が安いと思っている人も多いが、高すぎてついて行けない。こうして途上国が先進国に近づき差がなくなってくると貿易や商社などは利益の幅が取れなくなって来る。白物家電などの不振といわれるが、以前はそれだけ高かったものが誰でも手に入るようになれば自然と薄利の競争になってしまう。それだけハード産業はうまみの少ない時代になったため、変化をしてこなかったツケが今に来ている。アメリカなどはそれを見越してソフト産業、ITへ急激に切り替えた。そして世界は迫り来るTPPの時代へと進んで来ている。昨今、世界中の人たちが円安もあったが垣根の低くなった日本へ雪崩のように来るようになった。あと数年もすれば、海外と日本の人が普通に一緒に働く時代になるだろう。植林活動も10年前と比べ10倍の価格差がある。10年前は40万円で緑化できる面積も400万円かかるという時代、逆に支援は減り、どのNGOも生き残りを掛けている。そういう意味で小渕基金(日中緑化基金)も提唱された当時は良かったが、環境のためにやるのはいいとしても、やり方を変えて行かなければならない。同じやり方は時代遅れだ。外側がものすごい勢いで変化している中、この冷蔵庫が変化しなさいと訴えてきているような気がした。
昨日、センターに子供達が遊びに来たのでエミューの卵を見せてあげた。エメラルドグリーンの卵を見て、皆一様に驚く。そのような中で「なぜエミューの卵は緑色なんですか?」と聞かれた。子供の質問というのは時にストレートに来るので大変参考になったりする。「元々は草原にいる鳥でね、保護色として緑色だと見えないでしょう?」と言うと、まだ分からない顔をしている。なぜ緑色になるのか?このメカニズムを聞いているのではないか?と思った。同じヒクイドリ科のダチョウは白い卵を産むのにエミューはなぜ緑なのだろう?確かに不思議だ。卵には元々、黄身に鉄分、白身に硫黄分が含まれているため、熱をかければ緑色になるかもしれない。ただ熱をかけるのは難しいので、もしかしたら嫌気性の硫酸還元菌か酵素のようなものが住み着いているのかもしれない。それか、エミューは昔からの原始的な動物なので牛のようにメタン菌のような古細菌を飼っているのか?だとしたら、それをニワトリに移してやったらニワトリも緑の卵を産むのだろうか?などと考えてみると面白い。エミューは元々個体が少ないので、こうした研究は進める意味がないのかもしれないが、緑色のニワトリ卵などができたら面白いかもしれない。
アラシャンは年間降雨量が200mm前後、北部へ行くにつれて降雨量が下がり50mmほどになる。この少ない降雨量で緑化なぞできる訳がないというのがこれまでの解釈だった。また植林することは環境破壊だということをいう人まで出て来た。両極端の意見が出てくるというくらいにこの地域の環境は脆弱だということである。この地下水問題について、ここ数年検証をしてきた。果たして植林のくみ上げにより環境悪化につながるのだろうか。結論からいえばNOだ。こうした問題について、間違った認識が現地のトップもそうだが日本でも広がっているので、ぜひ修正頂きたい。まず植林で地下水が下がるのは喬木である。ポプラや柳などの喬木は大量の水を消費するために面で植えることは難しい。ただ、灌木の場合は別である。このあたりが混合認識されていることが、そもそもの間違いの原因だ。他には植林を植える場所が砂漠という認識のために、砂地の砂漠に水を撒いても木は育たないために土壌の原因が考慮されていなかった。実際に植林が進んでいるのは砂の場所よりも多少粘土が入っているゴビなどの方が多い。ここに植える梭梭などは年間、3回程しか水まきをしていない。それも地下水ではなく大体50m以上にある地表水である(牧民の住む場所は20m~30mくらいが多い)。地表水を調べると、その年により井戸水の増減があるが、これは降雨量の理由の方が大きい。そして、植林よりもくみ上げの影響が大きいのは農業区の方であり、このあたりも調査ポイントによって、農業区あたりの地下水を調べてしまうと誤差が出てしまう。私も同じ間違いをしてしまい、さらに調べた所、近くに農業区があったために下がっていたことがあった。20mや30mの井戸でたくさん水を使えば下がるのは当然だが、それが拡大して、植林は良くない、環境破壊だという認識まで行ってしまうのもどうかと思う。結論としては、太陽からのアルベド(地球表面の反射率)の影響の方が大きく、植生が地表を覆うことにより、アルベドが小さくなり降雨量が増えるため利益の方が大きい。実際に植林が行なわれて地表が覆われたバインホトなどでは雨がここ数年増えて来ていて、植林の行なわれていない地域では降雨量が変わっていないのである。この間違った認識のおかげで地表水の井戸までもが政府の許認可制の管理下になってしまい、一番不便をしいられるのは水の不便のない町の役人ではなく、いつも必要としている農牧民になるのだ。影響力のある専門家の一言がどれだけ現地の人たちの生活を損ねているか、たぶん分からないだろう。それよりも単一樹種の影響の方が大きくなるかもしれない。
村に行く途中の道。砂丘に入ると道が分からなくなる。4駆のパジェロなので何とか通ることが出来るが、オートマチックから手動に切り替えなければスタックしてしまうくらいの砂丘に出くわすこともある。そして暗くなると道が分からなくなり帰ることができないので村に泊まってきた。夜、羊の骨付き干し肉を齧って外で星を見ていると「なーんにもない、なんにもない、まったく何にもない」という歌がとてもよくあう。寒い寒いと家に戻ると「星がきれいだろう」と強靭な白い歯を見せて「ガハハ」と笑いながら「実は詩を書いているんだ」と話した。聞くと地域でも有名な詩人らしい。毎日、このような所にいれば詩歌がうまくなるかもしれないなあ。
高級漢方薬であるニクジュヨウの接種は難しく時間が掛かる。また植林が増えているため種子も高騰している。このような中で現在の生育への問題点は3つある。1つは砂漠ネズミが食べに来ること。2つは金亀子という虫が食べに来ること。そして3つめが接種率を上げることだ。ニクジュヨウが育つのは少なくても3年かかる。ただでさえ時間の掛かるのに、この間にこうした害を防ぎながら生育の確率をあげて行かなければならない。育てるのに骨をおり、ようやく収穫という時の前に食べられてしまったりする。だから自然は厳しい。接種率は9割まで上がったが、さらに種子を少なくして接種率をあげて行くかが普及への鍵になる。将来はきっとこのあたりは一大産地になるだろう。