今年の日本は台風が連続的に発生しているが、この影響は内モンゴルも例外ではない。これまで揚子江付近までは雲が来ていたが、台風の威力により台風が発生すると、揚子江付近に停滞していた雲を押し上げて内モンゴル付近まで雲を運んでくれる。そのため、こちらにいると日本が台風の時期に、こちらでも雨が降ることが多い。このデーターの相関関係については、まだ詳細に調べた訳ではないが、今後の内モンゴルの内陸砂漠の環境にも影響があると考える。今年は最近の台風のおかげで春先から少なかった降雨量が回復している。こうした台風と雲の影響を調べてみると面白い。
センターのマスコット犬だったファーファ(犬、メス)が亡くなった。センターが出来てからすぐに野良犬としてやってきて、懐くまでに時間が掛かったが、いつのまにか住み着いた。このファーファは普通の犬と違ってとても賢く、外部から人が入ればわんわんと鳴いて知らせてくれた。また他の野良犬が来ると自分のエサをあげて食べさせる優しさも持っていた。三本足になってしまったのも放牧をしている羊がセンターに入らないように番をしていた際に、入れようとした牧民と戦い、棒で叩かれて3本足になってしまった。それからも3本足で懸命に生きようと歩く姿に皆感動した。犬としての誇り、一生懸命に番をすることに生き甲斐を持っていた。そのファーファが亡くなる前に乳が張り、子供ができたようだった。そして出産時は人間の年齢でいえば60歳くらいの高齢出産になる。「大丈夫だろうか?」そのうち、居なくなった。探すと、ひっそりと木陰に隠れ、やすらかに亡くなっていた。この犬からはいろいろな人生観を教わった。エミューが移転し、これまではセンターに戻ると全力と笑顔で迎えてくれたファーファがいなくなり、何だろうか、この無力感。寂しくなった。
阿拉善まで大阪大学の宇山先生と京都大学農場の北島先生が来てくれたのでちょうどブラザー中国が行なっている植林地を案内した。生育はとてもいいようで7割くらいの活着率でした。阿拉善のゴビ灘を回っていると、北島先生が「この場所はこれからの食糧問題解決に重要な場所だ」ということで、地下水のくみ上げを降雨量に限定し、ソーラー電源を使い点滴灌漑で施設園芸ができるのではないかという話でした。ただ人材が追いついていません。このような乾燥地をうまく使えば、大豆輸入国である中国もアマゾンから大豆を買わなくていいようになるかもしれません。いや、そうしなければ、アマゾンが将来、砂漠化してしまいます。
今年の春に収穫したコウバクニクジュヨウを天日乾燥させていましたが、ようやく金山来福酒(http://platec.biz/kinzanraifukusyu/)の原料ができてきました!今年の販売分は不妊の方や強力な強精、肝臓と腎臓を良くして元気になる用の30°の強い方のお酒は2箱あまりとなり、14°の健康酒もあとわずかとなりました。不妊治療で10年ほど悩んでいた方がたった数本でポンと子供が出来た方、更年期の症状が軽くなった方など嬉しいお知らせも次々と届きました(ただ毎晩、食前や就寝前にきちんと20ml〜30mlの量を飲んでいないとダメです)。まだ通販と一部、大学病院などにパンフを置いて紹介している程度なので認知度が低く、これからの課題です。今後は金山来福酒の製造が薩摩金山蔵から濱田酒造になり販売が産学で開発したプラントテクノロジーに一括されます。植林をしてから漢方薬を付けて生育するまでに最低6年掛かるため、これまでは原料があまりできなかったのですが、原料もだんだんと増えてきたので、今後は家庭で自分で漬けて作るものも製品化したいと考えております。今後はこうした循環のしくみ作りに力を入れ、売り上げを植林に回す仕組みを作って行きたいと考えております。どうぞご協力のほどよろしくお願い致します。
センターに新しい犬をスタッフが連れて来た。どうもパグ犬のようだ。マンションに引っ越して飼うことが出来なくなったのでとお願いされてきたのだが、可哀想とはいえ飼う方も捨てるよりはいいと思ったのだろう。町にはこのような犬がたくさん徘徊している。ほとんどがおとなしい犬だが、なかには凶暴化した犬もいるので注意だ。
今年は現地の雨がタイミング良く降り、梭梭の活着率も7割以上で推移根している。ただ暑さが異常に暑くて、日中は外に出るとすぐにバテテしまう。写真は3年目の梭梭林。ゴビ砂漠に緑の灌木林が急速に増えてきている。それに比例して雨も増えてきている。
センターのエミュー80羽は狭いセンターから引っ越しすることになりました。引っ越し先は陜西省神木県で車で7時間あまりの場所になります。ここには3000haもの広い植林放牧地があり、将来的に中国科学院の砂漠研究センターの予定地になるために研究棟も現在、建設中です。アラシャンセンターも研究地を13haほど借り受けることになりました。この一角に移し、地元のNPOが協力して本格的にエミュー産業を推進させることになりました。ここでエミューの肉・油・皮革などの製品化も行ないます。しかしながら、80羽のエミューの引っ越しとなると、そう簡単ではありません。まずトラックに積み込むまでが一苦労です。そこで、当初考えたのが、エミューに白酒を飲まして眠らせてから運ぶという方法でした。最初は40°の白酒を飼料に混ぜてみました。しかし反応せず。そこで70°の白酒を水に混ぜてみましたが、あまり効果はありませんでした。ついに直接飲ますという強硬手段を採ることにしました。この強行策により1羽が犠牲になりました。やはり白酒の70°は人間並みに強すぎたようでした。次に人夫を7人雇い、トラックに誘導して載せるという手段で行ないました。この作戦で数羽が犠牲となり、現地につくまでに合計10羽が犠牲となりました。エミューを満載したトラックが現地に着くと、エミュー達は新しく駆け回ることが出来る広い森の間をのびのびと走り回っていました。今回の引っ越し大作戦では、犠牲がおおきかったのですが、エミュー産業が発展するためにも移して良かったと思う時が来ることを信じています。
乾燥地でマスコビーやニワトリの混合飼育を試しているが、キツネや犬、イタチに食べられてしまう。どうしたらいいか?羊やヤギは外敵が少ない。乾燥地では一番飼育しやすい家畜だからこそ普及したのだ。この問題に2年あまり悩み続けてきた。その解決策の一つは「ガチョウ」であった。ガチョウは外敵が来ると「ガーガー」と威嚇する。その間にニワトリやアヒルなどが小屋に逃げる時間を作る。小屋に入ってきたとしてもガチョウは勇敢に戦いを挑み、仲間を助けようとする。何とえらいのだろう。砂漠の救世主になるかもしれない。もしキツネなどにやられていて困っている人はぜひ「ガチョウ」を飼育してみてください。
乾燥地での植林の鍵は水であるのは一番であるが、その次は土壌である。そして苗木になる。いつも自然の循環を考えている。循環をうまくできれば、持続可能な地球を存続させることが出来る。この途切れている循環を繋ぐことができれば、自然は見事に回復してくれる。糞尿利用はセンターでも行なっているが、乾式と湿式という2つの方法がある。そのどちらでも良いのであるが、簡単なのは湿式だ。いわゆる肥だめ。乾式の場合は好気性菌と嫌気性菌を混ぜるものが多いが、好気性菌の方が一般的に悪さをしない。日本では江戸時代に盛んに行なわれていたが、肥だめは臭いし嫌気性菌も発生する。そのため現在では、ばっ気させて好気性菌により発酵させてから肥料にする。湿式の利点は水洗トイレにできることである。水洗トイレは水を使うため、乾燥地には適さないが、流す程度の水をうまく利用していけば、そのまま水をあげるよりも効率的でかつ臭くなく衛生的だ。乾式のように炭素分を投入しなくてもいい。入れるとしても液体ですむため、管理も楽だ。この方法はもっと乾燥地で利用されてもいい。
今日は車検を行なった。こちらでは購入後、5年後から毎年車検をしなければならないのだが、日本の車検と違い、自分で町の車検場に車を持って行って検査を行なう。そこで排気のテストやブレーキ、ライトなど10分ほどのいろいろな試験を行い、合格すれば晴れて車が運転できることになる。17万キロを走り不安であったが、洗車後、そのまま車検場に車を持ち込む。そこで車検費用など180元(3000円)を支払う。検査官が車に乗り込み、エンジンの回転数を上げたり下げたりしてモニターを見ながら厳しい表情をしていたが、OKになった。