受験日の朝晴れて風なし

ついにその時がやってきた。
長男にとって今までの人生の中で最大のイベントが始まる。

それでなくとも長男は「俺はいつでも冷静だぁー」の言葉とはうらはらに
しょっちゅうプチパニックに陥る体質である。
その根拠のないプライドを守らんとする哀れな意地のせいで
自分のマイナス面を隠そうとみっともなくあわてふためくのだ。

そんな長男は昨日の時点ですでにプチパニックをおこしていた。
終始落ち着かず、やけにハイテンションなのである。
で、「リンゴ食べていい？」とか平静を装いつつ取りに行くと
うわっ・・ドスン・・ゴロゴロ・・いてっ
という具合なのだ。
「今の、受験生にはまずくない？」とつっこむと
「うん、今リンゴが滑って落ちた」と顔をひきつらせながら
それでも冷静なふりを死守しようと悪あがきを続ける。

結局何度か“滑って落ちた”を繰り返し
居間と自分の部屋を１０往復ほどし
「柔道の大会よりは緊張しない」と思いっきり強がってやっと眠りについた。

受験生は親も大変と言うが、あの醜態をみてしまうと
ハラハラを通り越し哀れに思えてくる。
こうなると親としての望みは一つだ。
とにかく早く楽にさせてあげたい。

そして２年後は緊張すると笑顔になる次男坊の番だ。
親の苦労は果てしなく続くのである。