(原 光訳 2000年、沖積舎) ダンテの「神曲 地獄」編 第17歌(カッコ内は筆子、その2)
◯尾鋭いこの獣を見ろ、山山を横切り、城壁と武器を破壊し、世界ぢうを悪臭で満たすこいつを!」
先達はまづわたしにさう言つて、獣に合図した、わたしらの通つてきた石堤の端に近く、崖つ縁に来るやう
に、と。
するとこの不潔な欺瞞の化身は近づいて、頭と胸を緑に載せたが、尾は緑に引上げずにゐた。
(前回ここまで)
◯その顔は正義面(づら)で、実に慈悲深い上つ面だつたが、外(ほか)はすつかり蛇体だつた。
二本の鉤爪ある前肢(あし)は腋の下まで毛深く、背と胸と脇腹は描かれた結び目と小さい輪でギッシリだつ
た。
これよりも多彩な下地と浮出し模様の織物は、タタール人とトルコ人もかつて作つたことがない、アラニェもこ
んな布は織り上げたことがない。 (つづく)
◯本日、5月28日の日本聖書協会の、「聖書愛読こよみ」の主題は「この世の権威と神の主権」という。聖書は
マルコ12章13~17節である。ユダヤの民はローマの支配下にあってその皇帝への納税は神の律法に適っ
ているか、どうか、神の言葉を重んじるイエスを試みるためであった。イエスはその下心を見抜いて適切に答え
られた。まず、彼らの持っていた銅貨を見て、「これはだれの肖像と銘か、」と、彼らは、「皇帝のもの」と。それ
なら「皇帝のものは皇帝に」と。実に見事な答えであった。
◯写真は、教会堂の美術館側ブロック塀の青々とした緑の蔦と琉球朝顔(5月26日朝、撮影).
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