創世記20章14節である。「アビメレクは羊、牛、男女の奴隷などを取ってアブラハムに与え、また、妻サラを返して」という。とにかく相手の言い分はどうであれ、アビメレクは自分の得心の行くようにした。それによると先ず見える贈り物でその本心を表そうとしている。「牛、男女の奴隷などを取ってアブラハムに与え、また、妻サラを返して、」という。
9節で「あなたはしてはならないことをした」といって激怒したが、その怒りの大きさに応えるように、自分の本心、その気持ちを表し、謝罪の意味をこめて十分豊かな贈り物を用意した。6~7節の、夢の中の神の言葉に対するアビメレクの衝撃の大きさは、単なる古代の問題として済まされない。
15節である。「言った。『この辺りはすべてわたしの領土です。好きなところにお住まいください。』」ここに「お住まいください」というのは、1節のアビメレクの領土ゲラルに住んだときは、アブラハムが許可なく進入してきたのであり、一時的滞在であった。しかしここのアビメレクのいうのは、永住権を与えるという意味である。
単に、礼を尽くすというのではなく、破格の待遇である。人ではなく神に対する礼の尽くし方を教えている。あるいは、わたしたちの信仰による神の恵みへの応答に匹敵するであろう。彼がアブラハムの心の奥深くを察して、妻のゆえに殺されるとしたアブラハムの、その苦しみに応えようとしたに違いない。それは、その背後の神の怒り、裁きを恐れているといえる。
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