名前は?
細野颯太
あの子を救いたいのかい?
彼女だけが俺を見てくれたんだ
助けてあげなくちゃ このままじゃ 騙されて酷い事をされる…!
でもあんたも地獄へ落ちるんだよ
それは…それは…
はぁ………
【依頼人】細野颯太
【ターゲット】杉田宏久
凄い!
と、唸ってしまいました。
30分でよくここまで詰め込めるね。
3話,4話に引き続き作中テーマ候補の【愛の限界】も描写されましたし。
現状のミスリードから「タメ」を作っておいて、後半に核となるメインテーマをイッキに展開させようとする制作者側の意図を感じる次第。
6話感想。
◆◆何もしない自分◆◆
見てるだけじゃつまんないでしょ
良いんですよ 見てるだけで
知り合っても彼女は俺の事を嫌いになるかもしれないし
俺も彼女の事を嫌いになるかもしれないし
とにかくもう そういうのが嫌なんです だから見てるだけで良いんです
第3話の依頼人と全く同じ立場です。
「関係を深め過ぎると、その関係が壊れた時に耐えられなくなる」と。
ならば、いっその事「何もしない」で【見ているだけの関係】を保てた方が楽である、と。
しかし、最終的に今回の依頼人は第3話の依頼人よりも一歩進んだ関係を構築させる事になるのです。
それにしても、骨女…人の携帯を勝手に覗いておきながら、『何でも相談に乗る』というのは都合が良すぎるぞ。
信頼できる訳無いがな。
◆◆閻魔あいが依頼を断った理由◆◆
俺には何もできないから…
私は正義の味方じゃないわ
閻魔あいが依頼を断った理由は颯太の覚悟の無さゆえだったんじゃないかな。
颯太は「何もできない」のではなくて「何もしようとしていない」と。
確かに彼は紀和子を救いたいという気持ちはあったが、「別に俺なんかどうでも良い。地獄へ落ちようがどうとでもなれ」といった、どこか投遣りな思いがあったのでしょう。
それは、彼と紀和子の関係が【見ているだけの薄い関係】だったからに他ならないのですが。
「これで自分が地獄へ落ちる事になっても誰も悲しみはしない。紀和子も悲しまないし自分は今のまま見ているだけの関係を保てれば十分だ。どうせ俺は何もできない駄目な人間だ」と。
閻魔あいはそんな彼の投遣り的な無覚悟に共感できなかったので依頼を断ったのではないかと思う次第です。
◆◆地獄であるこの世◆◆
さっき藁人形の糸を解いたの
でも全然すっきりしなくて
地獄へ落ちるって分かってるのに
これから先どんな風に生きていけば良いんだろうとか 色々考えちゃって
私 本当にこれから先どう生きていけば良いんだろうね…?
復讐を遂げた紀和子の胸の内が晴れる事は無かった。
むしろ、この後の人生こそが地獄の日々である、と。
きっと、彼女は死の瞬間まで地獄送りの刻印に悩まされる事になるのでしょう。
しかし、これだけの深刻な悩みを颯太に打ち明けるという事は、紀和子の中での颯太の位置付けは「人間関係に苦しむという共通点を持った心許し合える仲間」なのでしょうね。
二人の距離が【見ているだけの関係】から【心を許し合える関係】に縮まったと思う次第です。
◆◆何もしなかった事に対する深い後悔◆◆
彼女だけが俺の事を笑わなかったんだ
彼女だけがまともに俺を扱ってくれたんだ…
彼女だけが…うっうぅぅぅ…!
颯太の胸に去来したのは、紀和子が襲われると知っていながら、紀和子との関係が深まる事を恐れて「何もしなかった」自分に対する深い後悔の念。
彼が涙を流し後悔したのも、紀和子との関係が【見ているだけの関係】から【心を許し合える関係】に変化した事による紀和子に対する「想い」の強さゆえなのでしょうね。
この時点で彼らの関係は第3話の多恵と啓の関係より一歩深まった事になります。
そして、颯太はある決意をするのです。
◆◆愛(絆)の限界と愛(絆)の形◆◆
自分で地獄へ落ちようってんだ…
あたしらの出る幕が無くて当然さ
できるだけの力があったにも拘らず「何もしなかった」颯太にできる事は自らの手で紀和子を襲った男へ制裁を加える事だけだった。
それが、紀和子に対する「愛」の証明である、と。
投遣りだった彼が明確なる覚悟を持ったのです。
復讐の完遂に起因する苦い後悔を抱える紀和子との関係が壊れる覚悟と生きるこの世界を地獄に変えるという覚悟を。
【心を許し合える関係】となった二人が創出した一つの【愛(絆)の限界と愛(絆)の形】を描写した今回の話。
作中で「愛は壊れる」という事を前提とした【壊れない愛の形の提示】が為される日が来る事を楽しみにする次第です。
次回はこのテーマに関して更に深く掘り下げられそうで期待大です。
以上、6話感想でした。