いよいよ今秋に続編が放送される『地獄少女』ですが、ここで若干、作品のおさらいをしておこうと思う。
この作品自体、当初は必殺仕事人風の勧善懲悪のノリかと思っていたが、実は単なるヒーローものではなかった。
その事が端的に分かったのが第12話『零れたカケラ達』における閻魔あいとターゲットの会話です。
この回では孤独を抱える教師(ターゲット♂)と生徒(依頼人♀)が他者との一体感を得る為にバーチャルなネット世界にのめりこむ様を描いているのですが、実は2人がメル友だった事が明らかになり、最終的には教師(♂)が生徒(♀)に地獄流しを依頼するといったオチになります。
この2人は生きている世界とは別の世界に行く事によって孤独と絶望にあえぐ自身の心に一筋の希望の光を灯したかったのではないかと思う次第。
そして、その理想郷である別世界が地獄だったのでしょう。
ここではない別世界に行けば希望が見つかるはずだ、と。
この回の最大のポイントはターゲットを地獄に流す時のあいの台詞です。
先生…自分が何をやったか分かってるの…?
復讐の赤い糸を解いてしまえば解いた側も死の恐怖に怯える一生を送らなければならなくなる。
その事は(私的にこのシリーズ最高の出来だと思う)第13話『煉獄少女』でも丹念に描かれる事になるのですが。
決して感情を表に出さず淡々と語るあいですが、その心の奥底は己の行為に対する疑念で溢れ返っているのでしょう。
その証拠にターゲットを地獄に流した後、あいは『本当にこれで良いの?地獄が極楽になって良いの?』と呟いているのです。
正に彼女が自身の行為に疑問を感じながらも地獄流しを続けている状態である事が端的に分かりましたね。
しかし、このあいの独り言を聞いたあいの祖母は『良いんだよ、あい。本人達がそれで良ければ何の問題も無いんだよ』と、あいを慰めているかの様に思えて、実はあいの行動を規制してもいるのです。
あいが自身の行為に疑問を抱きながらも地獄流しをせざるを得ない背景には彼女への何らかの強制力が働いているからだと思うのですが…。
やっぱりあいのお婆さんが怪し過ぎるぞw
とにもかくにも、単純なヒーローものではなくミステリアスかつ独特の雰囲気も織り混ざっているのがこの作品の最大の魅力である事は間違い無いと思う次第です。