とことん青春!

愛は憎しみより高く、理解は怒りより高く、平和は戦争より気高い。

ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS 『選ばれた未来』 

2005-12-30 19:52:43 | ガンダムSEED DESTINY
なかなかに凝ってましたねw
微妙に台詞が変わっていたり、新規映像があったり、OPがアレだったり、と。
新規カットを中心にとりあえず感想。

◆◆生きるその意味◆◆
人はなぜ生きるのだ?
なぜ生まれてくるのだ?


自問自答する議長とクルーゼですが、その答えは最後の場面でキラがシンに言った『一緒に闘おう』なのでしょうね。
ここでの【たたかう】の意味は【他人と戦う】という事ではなくて【自分と闘う】という事なのでしょう。
ゆえに、「戦う」と言うよりは「闘う」といったニュアンスの方が強いかと。

かつてのシンは他人と戦う事で戦争を終らせようと考えていた。
しかし、結果、彼は「敗北」を喫する事になる。
ディスティニーという力を失った彼に残されたものはルナマリアという未来を築く為のパートナーだったという訳なのですが。
そして、今回のキラとの邂逅シーンで彼は未来に目を向ける事を決意する。
憎むべき“敵”であったキラとの和解は己の過去を受け入れた証と言えるかと。

シンにとって憎しみに囚われ他者と戦う契機となった忌まわしき場所が未来を築く為の再出発の場所に変わる演出は感動的でしたね。
他人と戦ってきたシン・アスカの自分との闘いはここから始まるのでしょう。

◆◆議長にとっての生きる意味◆◆
議長にとっての生きる意味は【自分を知る事】なのでしょうね。
以前、彼が『人は自分を知って生きる事が一番幸せな事だろう?』と言った事からも分かるかと。
ディスティニープランも予め自分に最適な未来を遺伝子によって決めてしまうものなので人の生きる目的を【自分を知る事である】と位置付けた計画ですしね。

しかし、予め生きる道を決められてしまっていると生まれてきた意味など無いのでは、とも思います。
なぜなら、予め全てが決まっているのであれば「なぜこの国に生まれたのか?」,「なぜこの性別に生まれたのか?」,「なぜこの家庭に生まれたのか?」といった生きる上で誰もが抱く疑問も生じ得ないからです。
普通はこれらの疑問を抱きつつ、変えられない境遇の中でどのように生きて行くかを模索して自分にできる事をしていこうと努力する事を「生きる」と言うのでは、と思うのですが。

全ては運命によって決められているとする究極の運命論者の議長が生まれた背景には愛を誓ったタリアとの理不尽な別れがあるのでしょうけど。

◆◆キラにとっての生きる意味◆◆
キラにとっての生きる意味は苦悩しながらも己の未来を切り開く事。

いくら吹き飛ばされても僕らはまた花を植えるよ
きっと

という台詞からも分かるかと。

迷いながら苦しみながらも自らの手で未来を切り開く。
彼のその想いの強さは議長色に染まったシンやレイをも感化させるに至った訳ですが。
彼は他人と戦っていた訳ではなくて自分と闘っていたのでしょうね。
未来を創る為にはどうすれば良いのか?と苦しみ悩むという事自体が自分と闘っているという事なのですから。
彼が他人と戦っていたのであれば争いの無くなるディスティニープランに賛同していた事でしょうし。

彼が議長の計画に反発した理由は、予め全てを決められてしまうと自分と闘う事ができなくなるからに他ならないかと。
なぜなら、全てが始めから定められているのであれば葛藤や苦悩といった自分自身と向き合う機会も全て消滅してしまうから。

結果、キラ達は他人と争う可能性のある道を選んだ。
それだけ彼らには自分と闘う道が光り輝いて見えたのでは、と思う次第。
自分と闘うという事は自分が自分である為には不可欠な事ですからね。
キラとラクスの未来を創る闘いもこれからが始まりなのでしょう。

と、まぁ、こんな感じで感想を書いていて改めて思ったのが私は種バカなんだな、とw
できれば、続編希望なんですが今回の終わり方を見ると無理っぽいかもしれませんね。
タリアの息子とか続編で出てきたらおもろいとも思うんですけどね。

BLOOD+ 12話感想 『白い霧にさそわれて』

2005-12-25 17:06:00 | BLOOD+
何かちょっとずつ見えてきましたね。
12話感想。

◆ディーヴァとD67の関係
今回の話で見えたのがディーヴァとD67の関係。
恐らく、ディーヴァは翼手を動かす指揮官的存在なのではないかと。
ソロモンがディーヴァを【D67の原料】と言っていた事を考えても、ディーヴァはD67を投与された事によって翼手化した人間を操作できるだけの「想い」を封じ込めた物体なのではないかと思う次第。

そして、ディーヴァの発する歌が翼手を動かす力になっているのでしょうね。
さしずめ、翼手は操られて戦う駒でディーヴァは駒を動かすプレイヤーといった所でしょうか。
そして、ディーヴァと翼手の関係を見守りディーヴァを保護する役目を担っているのがシュヴァリエなのでは、と思います。

沖縄で登場した翼手は(米兵が捕獲に駆り出されていた様に)敵・味方の見境が無かったのですが、今回の翼手は(ヴァン達には手を出さず)小夜達を明確な“敵”と認識して戦っていますからね。
この事からもディーヴァが自分の意思で翼手を動かす事のできるプレイヤーである可能性が高いと思う訳なのです。

◆ソロモンの狙い
製薬会社の最高経営責任者たるソロモンの狙いはディーヴァ無くして翼手を動かす技術の開発といった所かと。
つまり、翼手をシュヴァリエの様に確固たる意思を持った「兵器」に仕上げたいのではないかと。
何せ現状の翼手はディーヴァ抜きだと敵・味方の見境無く戦ってしまいますからね。

今回、ソロモンとカールが1920年から老いる事なく生き続けている事が(飾られていた写真から)分かったのですが、最大の謎はなぜソロモンは5年前に製薬会社のCEOの座に就いたのかという事。
この製薬会社は5年前には零細企業だったとの事ですが、この企業が現在、D67を製造しているのであれば、ベトナム戦争時代にD67を製造していたのはどの企業なのか?という疑問が浮かびます。
この疑問に対する答えを見つける為の手掛りとなりそうなのが、米軍とディーヴァの関係です。

以前、デヴィッドが『ベトナム戦争時代の翼手は沖縄を経由して現地に送り込まれている』と言っていた事を考えても、沖縄の米軍基地でディーヴァと翼手に関する実験が行われていた可能性が高いです。
そして、その米軍の実験部隊とソロモン&カールが深い関わり合いを持っていた可能性も考えられますね(←あの写真に載っていた白衣を着た人達は米軍の研究者達なんじゃないかな、と)。

当時は翼手の人体実験は第一段階でありディーヴァによって(米兵を間違って襲わない様に)意思の統制が為されていたのではないかと推測しますが、5年前にソロモンが製薬会社のCEOになってからは翼手の実験が(ヴァンの言っていた化け物に変身せず自らの意思で動く)第二段階に移ったのではないかと。

ゆえに、ソロモンは翼手の実験段階が新段階へ移行するに当たり製薬会社のCEOの座に就いたのではないかと勘繰る次第です。

◆では小夜は?
ディーヴァと翼手の関係は見えてきたのですが、見えないのが小夜とディーヴァの関係です。
ソロモンが『彼女を殺してはなりません』と言った事を考えても、小夜はディーヴァと大きな関わりを持っている模様。

考えられる事は、(前回の感想でも書いた様に)小夜自身がディーヴァなのではないかという事なのですが…。
そうなると、小夜も翼手を自由に操る事ができる力を持っているのでは、と妄想してしまう訳ですが(と言うよりは小夜自身がD67の原料に為り得る)。

ゆえに、ソロモンが小夜を殺してはならないと言う理由は、小夜がD67の実験に関して貴重な研究材料に為るからなのではないかと。

ってか、カールが小夜を恨んでいる理由は自分の腕を斬られた事ではなくてカールにとって大事な人間を暴走小夜に殺されたからなんじゃないかと妄想してしまう次第です。

◆カイとの再会で
私は私でいたい
今の音無小夜で


ベトナム戦争時代の「兵器」ではなくてカイ達と暮らしていた頃の「人間」として生きる道を選びたいとする小夜。
しかし、彼女は本当の「自分」が何なのか?を知りたがっている。
だから、翼手とも戦いベトナムにも渡って来た訳なのです。

そんな小夜に対して『決めるのはあなた自身』と小夜の意思に委ねようとするハジ。
つまり、本当の「自分」が過去の【兵器としての自分】か【今の人間としての自分】かを決めるのも小夜自身という訳なのですが。

彼女は「人間」としてカイ達と平穏に暮らしたいと思っていながらも、どこかでその事を割り切れていない。
それは彼女の心の中に過去の自分を知りたいという想いがあるからなのでしょう。

彼女が「兵器」と「人間」のどちらの道を進むかを決める上でカイとリクの存在が大きなウェイトを占めそうな感があります。
次回当たりに再会しそうなので楽しみではありますが。

以上、脳内補完満載の12話感想でしたw

BLOOD+ 11話感想 『ダンスのあとで』

2005-12-18 15:21:48 | BLOOD+
自分が最強の「兵器」であるという事。
突き付けられた現実を強靭な意思ではね返そうとしているのが現状の小夜かと。
11話感想。

◆シュバリエとしてのハジ ディーバとしての小夜
今回、ハジがシュバリエである事がカールの口から明かされたのですが、そうなると気になるのが小夜の存在。
シュバリエがディーバを守る者だとするならば、小夜がディーバである可能性もあるのですが…。

ソロモンが「小夜」の名前に反応していた事を考えても、小夜は製薬会社の人間と深い関わりを持っていると考えられますからね。

◆「兵器」であるという現実を突き付けられた小夜
以前、8話の感想でも小夜とミンが友達でいられなくなる状況に陥る可能性もあるのではないかと書いたのですが、早くもその段階に突入してしまいましたね(汗)。

小夜を一人の「人間」として見ていたミンのショックの受け方が小夜の心の中にしこりを作る結果になってしまったのではないかと思う次第。
それでも、彼女は【今の自分にできる限りの事をする】という強靭な意思を貫く事によってそのしこりを振り払おうとしているのでしょうね。
その内、内に貯まったモノが爆発する日が来るのではないかと想像してしまうのですが。

◆血のつながっている兄弟 血のつながっていない兄弟
まだ不完全な状態であるとは言え、「兵器」としての道を突き進む小夜が「人間」としての感性を取り戻す事ができるかどうかが今後の展開の要になる感があります。

その為にはカイ達との合流が一つのポイントになりそうですね。
ってか、小夜がディーバ達と血のつながりがあり兄弟だとすると、カイ達疑似家族との関係も興味深いものになりますな。
(前回、ソロモンが言っていたように)ディーバやシュバリエが【1つの意思を5つの体で分かち合う】のならば、【個々人の意思を個々人で有している】カイ達疑似家族とは対照的な存在となりますからね。
小夜が一人の「人間」である為には己の意思を己で有する必要がある訳なのですが。

そう考えると、話の展開としては小夜の意識の変化が【兵器→人間】,【ディーバ達本当の兄弟→カイ達疑似家族】の流れになりそうな感があります。
まぁ、あくまで↑は小夜がディーバである事を前提にしているのですが。
いずれにせよ、タイトル通り、BLOOD(血)が重要なキーワードとして今後の展開を左右しそうな感があります。

あんまし書く事が無いのでここいらで。
個人的には岡村さんの活躍を期待していますよw

BLOOD+ 10話感想 『あなたに会いたい』

2005-12-11 16:02:47 | BLOOD+
過去を受け入れようとする者と受け入れられない者の対比。
『あなたに会いたい』というタイトルは意味深ですが、小夜とカールの心境を表したタイトルなのかな、と。
10話感想。

◆死の商人の構図
徐々に明らかになってきた死の商人の組織図。
D67を製造している製薬会社という事に加えて、どうやらディーバという謎の物体を守る為のシュバリエという人間の姿をした翼手が5人いる模様。
そして、その5人はいずれも製薬会社の中層部の人間であるといった所でしょうね。

カールは現地工場の主任との事ですが、主任と言えば一般的な企業の部長クラスの役割を指しますからね(←最近では平社員の一つ上を主任と位置付ける企業もありますが)。
また、シュバリエの一人が『僕達、シュバリエは1つの意思を5つの体で分かち合う』
と言っていた事を考えてもシュバリエ5人にはそれぞれ人間の姿をした翼手になる為の同じ血が流れている可能性が高いと思う次第。

また、【5人で一体】という彼らの考え方は興味深いものがあり、各個人の意思を尊重しながら行動している小夜達疑似家族とは対照的な存在として描かれているのでは、と思います。

◆過去を受け入れ「今」を生きようとする小夜
私は私の過去を受け入れる!
私は私がやれる事をやるだけ!


ちょっとじ~んとくる小夜のこの台詞。
戦争記念博物館でベトナム戦争時代の記憶がかすかに蘇った小夜ですが、「兵器」として戦うだけだった過去よりも「人間」としての道を切り開こうとしている「今」を生きたい、といった所でしょうね。
ジョージ達疑似家族と過ごした穏やかな日々が彼女の心の奥に深く沈殿しているからこそ、これだけの台詞を言う事ができるのでしょうけど。

◆過去を受け入れられないカール
なぜだ?
なぜ覚えていない?
それでは 私が気持ち良くお前を殺せない!

このカールの言葉からも分かるように彼はベトナム戦争時代の小夜の事を知っており、かつ彼女に対して私怨を抱いているのでしょうね。
アバンでカールが言った【兄弟だからこそ言えない事】とは小夜に対して私怨を抱いている事かと。

本来なら翼手に対抗できる小夜は最強の「兵器」として貴重な実験材料になるはずなので捕獲すべき対象のはずです。
しかし、カールは小夜の命を狙っている。
小夜の事を他のシュバリエに知られたら捕獲する方針に切り替えられ、自分の手で小夜を殺せなくなるので「隠し事」としているのだと思う次第。
それだけ、カールの小夜に対する憎しみの感情が強いという事なのでしょう。

ってか、あのコンテナの721226はクリスマス北爆の日付(と言うよりは翌日?)なのかな(←72年12月26日)。
だとすると、小夜の出生に大きく関わってくるブツが入っていそうなのですが…。

◆あなた(=ベトナム戦争時代の小夜)に会いたい
今回の話の流れを考えると、タイトル『あなたに会いたい』の「あなた」とはベトナム戦争時代の小夜の事を指しているのでは、と思う次第。

小夜は過去に自分が何をしてきてどのような人間だったのかという事を知りたい訳ですし、カールは記憶を失った小夜ではなくベトナム戦争時代の小夜に会って復讐をしたいと考えている訳ですから。
まぁ、小夜の場合は未来の自分を創り上げる為に過去の自分を知りたいと思っているのですが、カールの場合は小夜への復讐の為に過去の小夜に会いたいと思っていますからね。
同じ「会いたい」でも前向きな小夜と後ろ向きなカールとでは意味合いが随分と違ってくるという訳なのです。

では、今週はここいらで。
カイサイドの展開の方も気になりますなぁ。

なぜキラきゅんは変わってしまったのか?(フレイ志向でいこう!)

2005-12-07 22:56:39 | ガンダムSEED DESTINY
人を守れずに涙し、人を殺して涙していたキラ。
そんなキラもいつの間にやら悟りを開き仙人の様な物腰になってしまいました。
彼はラクスとの再会を機に急激に変化したのですが、印象的だったのが前作32話のラクスのこの台詞。

お二人とも敵と戦われたのでしょう?
違いますか?


敵同士としてアスランと殺し合わなければならないという現実を受け入れられないキラにその現実を突きつける台詞でしょう。
『あなたは親友を“敵”と見なして殺そうとしたのですよ。それでも戦うのですか?』と。

彼女はキラを突き放し自分で戦うか否かの考えを固めさせたかったのでしょうね。
バルトフェルドを“敵”と見なして討ち懺悔した過去を持つキラの心を大きく揺れ動かしたかと。

ここまでの展開は最高だったのですが、問題は戦う道を選んだキラが不殺で戦場に出るなどという道を選び、世の中を達観したかの如く悟りを開いてしまった事にあります。
やはりキラの激変には年齢不相応に悟り切ったラクスの影響が大きかったのではないかと思う次第。

ラクスはかつて(コーディネイターである事に劣等感を抱く)キラに対して『あなたが優しいのはあなただから』と言いました。
この時点でキラを変化させるキャラクターはラクスだと予想できる。
案の定、キラはラクスとの再会を機に劇的に変化したのですが…。

個人的には彼にはフレイとひとつ人間関係を構築して欲しかったですね。
崩れ去ったAAの人間関係を再構築する様が描かれなかったので、悟り切ったキラを「成長した」とは捉えられなかったという訳ですが。

それに、フレイは復讐目的でキラに近づいたのですが、最終的にはキラの辛さを理解する唯一の存在になりましたからね。
フレイとの関係を通してキラの「成長」を見たかった所。

『かわいそうなキラ。独りぼっちのキラ。戦って辛くて、守れなくて辛くて、すぐ泣いて…だから!』という彼女の一言は(彼女がキラの辛さを理解している証となる)珠玉の名台詞だったと思うぜよw

BLOOD+ 9話感想 『それぞれの虹』

2005-12-04 17:02:38 | BLOOD+
それぞれの虹とは人それぞれの幸福の事。
その幸福を得る為には自分にできる最大限の事をして「今」を生きなければならない、といった所でしょうね。
9話感想。

◆「今」を生きるという事
明日の為に今日を生きろ

このジョージの台詞は今後の展開において各キャラに響く事になりそうな感があります。
明日という近い未来を得る為には今日という「今」を生きなければならないのですが、その為には過去にくよくよしていても始まらないからです。

ムイにとって悔いる過去は兄の死と自分の片足を失った事。
小夜やカイ達にとっての悔いる過去はジョージの死です。

と言う訳で、以下の感想では今回の話の中で語られたこれらの悲劇的な過去と各々の生きるべき「今」等に絞って考察していきます。

◆ムイにとっての虹(幸福)
ムイにとっての虹(幸福)は家族が平和に暮らしていくという事。
彼女は不発弾のせいで兄と自分の片足を失ったという過去を持ちます。
にも拘らず、敢えて身を危険に晒しながら金属探知機で不発弾を探し家族の為に生計を立てようとしている。
それは、彼女にとって家族と過ごす時間が何より幸せであるからに他ならないからでしょう。
つまり、彼女にとっての望む未来(幸福)とは家族と平和に過ごす事である、と。

個人的に上手い演出だと思ったのが、ムイが不発弾を見つけ笑顔を見せた時に虹がかかった事です。
ここでの虹は家族の為に働く事ができるムイの「幸福」を意味しているのだと思います。

虹ってすぐ消えてしまうものなんですが、作中での虹は「今」という(すぐ消えてしまう)この瞬間の「幸福」を表現しているのではないかと思う次第。
つまり、ムイにとってはフランスに留学できるという夢や片足を失ったという悪夢よりも、危険な場所で働きながらも家族と暮らす事ができる「今」が幸福であるという事なのではないかと思う次第です。

◆カイとリクにとっての虹(幸福)
お父さんはもう居ないけど小夜姉ちゃんと3人で前みたいに生活する事が僕達の一番の幸せなんだろうなって

カイとリクにとっての虹(幸福)は(ムイと同様に)家族が共に暮らすという事。
その為には小夜を探すという「今」を必死に生きなければならないのです。
そして、興味深かったのは

僕 やっぱり小夜姉ちゃん探す
今 僕にできるのはこれしか無いんだもん


というリクの台詞。
リクは分かっているんですよね。
自身の望む未来という虹(幸福)を架ける為には自分にできる限りの事をして「今」を生きなければならない、という事を。

◆小夜にとっての虹(幸福)
小夜にとっての虹(幸福)は自身の過去を知り、カイ達と共に暮らせる様に「人間」として生きる道を切り開く事。
彼女はその為に(ハジも言った様に)翼手と戦わなければならないのです。

前話で小夜は

私は今自分にできる事をするだけ

と述べましたが、この言葉からも分かるように、彼女はリクやムイ同様に「今」を生きたいという想いが強いのだと思います。
つまり、小夜も未来に訪れるであろう虹(幸福)を架ける為に「今」を生きようとしているという事になります。

◆「今」を生きるジャーナリスト岡村
これが血ってヤツなのかね…

単身、ベトナムに渡り翼手の手掛りを掴もうとするジャーナリストの岡村。
彼もまた父親の遺志を継ぎ「今」を生きる者の一人。

真実を手に入れる為には自身の求める「今」を生きなければならない、と。
因縁の地、ベトナムで翼手と米軍と製薬会社とのつながりを暴き出す活躍を期待しますよw

◆迫るアルジャーノの魔の手
ムイを「対象」と呼びリクの特殊能力に感付くアルジャーノ。

ムイは薬物を投与している(実験)対象という事なのでしょう。
つまり、彼女も翼手化する可能性があるのではないかと。

しかし、俯に落ちないのが、アルジャーノが発する電波(?)にリクが反応したという事。
リクは以前にも翼手の気配を感じ取った事があるのですが、薬物投与され翼手化する可能性のあるムイと同じ感覚を持っているという事はリクも翼手化する血を秘めているのかもしれないな、と。
と言っても、リクの場合は小夜同様に人間の姿のまま覚醒する可能性が高いのでは、と妄想する訳ですけど。

ってか、ムイが製薬会社の援助でフランスに留学するはずだったというのも、きっと薬物投与の実験対象だからなんでしょうね。
何せ製薬会社の社員であろうアルジャーノもフランス人ですから。
自ずとこの製薬会社が人間を翼手に変える薬を開発している死の商人であるという構図が見えてくる訳ですが。

◆虹を架ける為に…
自身にとっての虹(幸福)を架ける為には「今」を生きなければならない。
つまり、過去を悔いてばかりいてはその虹(幸福)を架ける事はできないので未来に目を向けなければならない、と。

死んだ兄と同じ目に遭うかもしれない過酷な状況に置かれながらも笑顔でいられるムイの健気な姿は訪れるであろう希望ある未来の為に「今」を生きたいという彼女の想いの表れなのでしょう。
ジョージの放った『明日の為に今日を生きろ』という言葉は彼女にも響いてくる訳なのです。

そして、今の自分にできる限りの事をして未来を切り開こうとする小夜達疑似家族。
どんなに辛い過去を経験しようとも、どんな困難が未来に待ち受けていようとも「今」を必死に生きる。
それが、望む未来を掴み取る最善の手段であり、各々の心の中に「幸福」という虹を架ける事につながるんじゃないかな、と。

「今」を生きる。
これが作品の一つのテーマに為りそうな感はありますね。

以上、おぼろげながらも作中で描写したいテーマが見えてきたと感じた9話感想でした。