Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

上方の手わざ

2019年11月16日 08時27分30秒 | 美術館・博物館etc.

★湯木美術館 サイト
 秋季展『伝統と創造を重ねる上方の手わざ −茶席を彩る江戸時代から近現代の名品−』
 ※12月8日(日)まで

美術館へ行って驚いた。

 え?

単純にビルが補修工事中だっただけ。
そして、平日のお昼過ぎにもかかわらず、来館者がそこそこ(といっても5人程度)いたのが意外。

さて、今回は江戸後期以降、明治・大正の作家による作品が中心。

直近では永楽即全さんとか3代めの和田桐山さん、同じく3代めの西村徳泉さん、5代めの川端近左さんのまであった。
湯木美術館はあくまで湯木貞一サンのコレクションで構成されているので、たぶん吉兆のどこかのお店から調達したんだろうなぁ。

ケース1は染付。
染付雲堂手水指は「水指」にしては小さいなぁと思ったら、建水でもイケるって。

ケース2は呉須赤絵が中心。
ケース1には永楽家14代の得全さんの染付捻花文盃があったけど、こちらには奥さんの妙全さん、後を継いだ甥の15代正全さんのの作品があり。
系譜もさりげなく紹介しているところが心憎い。

ケース3は銹絵
尾形深省(乾山)の銹絵染付絵替向付。二条丁子屋時代の作。
そしてそれを写した8代白井半七の向付。完コピ? 見分けがつかんがなぁ。
8代白井半七は湯木貞一と親交があったらしい。関東大震災で7代めが関東から関西へ移ってきて、それからのおつきあいみたい。

ケース4は色絵
仁阿弥道八の色絵秋之野絵茶碗。繊細なこと。
仁清写の色絵扇流分茶碗(5代清水六兵衛作)。東山の茶会で50碗作られたうちの一つ。京都の泉屋博古館でも見たなぁ。
でも、湯木美術館は本歌を所蔵していたんじゃなかったっけ。なんで、そっちも出してくれないの?

ケース5は漆芸
佐野長寛の片輪車蒔絵菜盛椀。こちらのコレクションの代表格の一つ。
作者不明だけど四ツ手網菓子盆(柄も陶器か?と思ったら、違うかったらしー)

ケース6はいろいろ
大田垣蓮月さんは昨夏に福井で観てから、ちょっと注目するようになった。
了入の織部花筏文写の向付にビックリ。だって、五島美術館に本歌の織部と慶入の写しがあるもん。了入さんも手がけてたのかぁ。

ケース7は交趾
明時代の交趾台牛香合から保全策の蓋置、茶巾筒から即全の交趾竹扇掛(←どこかで見たことあるような)
そういえば、永楽さんの交趾作品、けっこーよく見かけるなぁ。
黄瀬戸や南蛮といったクラシックなものにもあって、ケースが広いだけあって、けっこういろいろ。

茶室のケース9は省略。

最後のケース8は仁阿弥道八の色絵桜之画透鉢。まさに仁阿弥道八!という逸品。
並んで、8代白井半七の色絵雲錦手鉢。

湯木美術館で最近の作品を見ると、なぜか有難みが薄れる気がする。
でも、まぁ手わざが江戸時代から現代まで受け継がれていることに安心もあるかなぁ。

今年は3年ぶりに5回全ての展覧会を訪れることができて、年会費のモトは取れた。
モトを取るために時間のやりくりをして訪れるようにしているのだけど、継続して鑑賞しているからこその勉強できることもある。

ということで、更新手続きをしてこよっと。

※湯木美術館バックナンバーリスト
 2019年7月 夏季展『茶道具の次第―更紗を中心に―』
 2019年5月 春季展『「きれい」寛永×「いき」元禄-くらべて見える江戸茶の湯文化-』 
 2019年3月 特別展『湯木吉兆庵の雛道具―ひな祭りのしつらえと茶道具―』
 2019年1月 早春展『利休と茶の湯のエピソード-茶書に描かれた利休の姿-』
 2018年11月 秋季展『松平不昧没後200年 不昧の茶道具と近代数寄者 ―その書とデザイン―』(後期)
 2018年10月 秋季展『松平不昧没後200年 不昧の茶道具と近代数寄者 ―その書とデザイン―』(前期)
 2018年5月 開館30周年展『湯木コレクション選 その2 古筆と茶陶/吉兆庵 大師会の茶道具』
 2018年1月 早春展『千家に受け継がれる美の形』
 2017年9月 開館30周年記念『古筆と茶陶 名品をすべてご覧いただきます=その1= 湯木コレクション選-吉兆庵光悦会の茶道具-』
 2017年5月 春季展『ひと目でわかる京焼300年の歴史 江戸時代のやきもの―仁清・乾山窯と後期京焼の食器を中心に―』
 2017年2月 早春展『わび茶のすがた 江戸時代後期の千家と大名の茶道具』
 2016年11月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(後期)
 2016年10月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(中期)
 2016年7月 夏季展『茶人のたしなみ 茶事へのいざない―夏の茶道具―』
 2016年6月 春季特別企画展『茶陶いっき見‼ やきもの百花繚乱 ―宗旦・宗和・遠州とその時代―』 
 2016年2月 春季展『おしゃれな名品たち―茶道具の文様・めでたいデザイン―』
 2015年11月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(後期)
 2015年10月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(前期)
 2015年6月 夏季展『小さな茶道具の豊かなデザイン―香合・羽箒・炭斗をみてみよう―』
 2015年4月 春季特別展『茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)-逸翁と吉兆庵のコレクションから-』 
 2015年3月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(後期)
 2015年2月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(前期)
2014年11月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』後期
2014年9月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』前期
2014年7月 夏季展「酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-」(短冊の方)
2014月7月『酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-』(茶会の道具)
2014年6月『海を渡ってきた茶道具-名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗-』
2014年2月『激動期の茶の湯』(前期)
 2013年12月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』後期
 2013年9月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』前期
 2013年7月『吉兆庵湯木貞一の茶事-五月雨の茶事・朝茶-』
 2013年6月『茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―』2期
 2013年4月「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」1期
 2013年1月「江戸時代の千家のわび茶 宗旦の高弟とその子孫たち
2012年10月「関西数寄者の茶道具」(前期)
2012年5月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」2期
2012年3月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」1期
2012.2月「千家名物とその周辺-利休・少庵・宗旦の茶道具 
 2011.12月 秋季展「茶道具の琳派」
 2011.8月 夏季展「夏の祭釜と茶道具」
 2011.6月 「日本料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」三期「湯木貞一の茶道具 - コレクションから」
 2011.5月 「日本料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」二期:「数寄者との交流 - 小林逸翁・松永耳庵・松下幸之助」
2010.9月 『上方豪商の茶』
2010年5月 『釜と水指』
2010年3月 『茶の裂地』
 2009年11月 『棗と茶杓』
 2009年5月 『千家十職-茶道具と懐石の器』
2008年10月 『茶道具と器にみる四季の花』
2008年3月 『茶碗を愉しむ』
 2007年11月 『風流と美』


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