★湯木美術館 サイト
『千家に受け継がれる美の形』
※3月25日(日)まで
前期:~2月12日(月・祝) 後期:2月15日(木)~
「また千家かぁ」という思いもなくはなし。
ただ、入り口の挨拶文パネルにあった「美しい形の継承」なり一文に眼が吸い寄せられた。
なるほど。
「美しい形」に注目して鑑賞しよう
新しい試み(?)でケースごとに注目点が示されていた。
ケース1は「好み」。
で、禾目天目(建盞)と天目台、そして左入作の天目形黒茶碗。
まぁ、確かに天目茶碗は古い特定の時代の産物だから、供給に限りがある。
あの「形」を受け継いで現代物(=江戸時代当時)で製作すると、こうなるのかなぁ。
天目にしては厚ぼったいし、楽茶碗は楽茶碗だからビミョーだけど、
個人的にはこういう天目なら濃茶をいただくときも温度を保ったままで飲み回しができそうでよさそ。
と思った。
隣には宗旦と仙叟それぞれの茶杓。どちらも名は「ゆづり葉」。
ただ、形を継承したものには見えない~
後期は利休形の棗に展示替えするとのこと。
ケース2は「写し」
長次郎の黒筒茶碗「春朝」って、お初に見る? 溜塗りの曲げの箱がいい感じ。
隣は赤楽茶碗「三井寺」 道入作。 長次郎の作風を写したものと思われる。
赤い継ぎがあることもあるが、「早船」っぽいような気もする。
一入作の黒筒茶碗「曙」。一入は利休回帰をテーマにした人だから「写し」も多そう。
宗入も写しなのかなぁ。赤筒茶碗「福寿草」。形は「写し」でも、複雑な釉薬はオリジナル。
ケース3「見立て」
チラシ・ポスターにも採用された備前種壺水指、赤絵蓋添え。この取り合わせを考えた人、すごいなぁ。
どこが「見立て」なのかわからないけど、一橙宗室作の黒茶碗「大こく」
面を大胆にみせる篦の削りが面白い。銘名の由来は大黒頭巾を逆さにしたように見えるから。
ケース4「写し」
利休作の瓢花入の隣に宗旦作の瓢花入。
同じなのは素材(瓢箪)だけ。形は全然違う。宗旦の方が達磨っぽくしている分、創意工夫のおもしろさがある。
ケース5は「見立て」と「写し」
茶壺。確かに、これは見立て以外の何物でもない。
覆いの形と裂地が面白かった。
南蛮〆切建水を保全が写していた。「本歌」に比べると小ぶりにして、形をスマートにしている。
「写し」はただのコピーではない。
参考にしながらも、その作家オリジナルのデザインや形が作品に織り込まれ、より使いやすく、かっこよくなってくる。
それがわかるのがケース7「写し」
織部の花筏文向付を了入が写している。並べて展示すると断然、了入の方が洗練されている。
割山椒の向付も同じ。道入の方がいい。
後はコテコテすぎない保全の呉須赤絵の絵柄がいいとか。
備前の素焼きっぽく見せているけど、土が全然備前じゃないよね、とツッコミを入れたくなる備前写片口鉢。(保全作)
了入、慶入、旦入それぞれが製作した赤片口。(慶入のが一番よく見えた)
ケース8「見立て」はやたらに大きい信楽鬼置水指。(中興名物)
ケース9は茶室。 ん? 向切だったっけ?
西村道仁の大霰尾垂の釜(←尾垂は見えない)、栗木地なぐりの炉縁、高取の水指、独楽棗、、、と来て、
茶碗は富士の絵。
ずーっとシブいオッサンのラインナップの中に、ポツネンと一人カワイイ女の子がいるような、そんな感じ。
展示する側から「お題目」を与えられるだけで、
ただ漫然と鑑賞するのではなく、考えながら鑑賞することができた。
さすがに20回以上足を運んでいるし、見た物はだいたい頭に入っているけれど、
見る度にこちらの状況も違うので、道具との会話もまた違う。
後期はどうしようかなぁ。
(新しい会員証になって、まだ1回め。あと4回行かないとモトは取れない~)
★湯木美術館バックナンバリスト
2017年9月 開館30周年記念『古筆と茶陶 名品をすべてご覧いただきます=その1= 湯木コレクション選-吉兆庵光悦会の茶道具-』
2017年5月 春季展『ひと目でわかる京焼300年の歴史 江戸時代のやきもの―仁清・乾山窯と後期京焼の食器を中心に―』
2017年2月 早春展『わび茶のすがた 江戸時代後期の千家と大名の茶道具』
2016年11月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(後期)
2016年10月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(中期)
2016年7月 夏季展『茶人のたしなみ 茶事へのいざない―夏の茶道具―』
2016年6月 春季特別企画展『茶陶いっき見‼ やきもの百花繚乱 ―宗旦・宗和・遠州とその時代―』
2016年2月 春季展『おしゃれな名品たち―茶道具の文様・めでたいデザイン―』
2015年11月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(後期)
2015年10月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(前期)
2015年6月 夏季展『小さな茶道具の豊かなデザイン―香合・羽箒・炭斗をみてみよう―』
2015年4月 春季特別展『茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)-逸翁と吉兆庵のコレクションから-』
2015年3月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(後期)
2015年2月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(前期)
2014年11月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』後期
2014年9月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』前期
2014年7月 夏季展「酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-」(短冊の方)
2014月7月『酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-』(茶会の道具)
2014年6月『海を渡ってきた茶道具-名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗-』
2014年2月『激動期の茶の湯』(前期)
2013年12月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』後期
2013年9月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』前期
2013年7月『吉兆庵湯木貞一の茶事-五月雨の茶事・朝茶-』
2013年6月『茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―』2期
2013年4月「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」1期
2013年1月「江戸時代の千家のわび茶 宗旦の高弟とその子孫たち」
2012年10月「関西数寄者の茶道具」(前期)
2012年5月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」2期
2012年3月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」1期
2012.2月「千家名物とその周辺-利休・少庵・宗旦の茶道具
2011.12月 秋季展「茶道具の琳派」
2011.8月 夏季展「夏の祭釜と茶道具」
2011.6月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」三期「湯木貞一の茶道具 - コレクションから」
2011.5月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」二期:「数寄者との交流 - 小林逸翁・松永耳庵・松下幸之助」
2010.9月 『上方豪商の茶』
2010年5月 『釜と水指』
2010年3月 『茶の裂地』
2009年11月 『棗と茶杓』
2009年5月 『千家十職-茶道具と懐石の器』
2008年10月 『茶道具と器にみる四季の花』
2008年3月 『茶碗を愉しむ』
2007年11月 『風流と美』
『千家に受け継がれる美の形』
※3月25日(日)まで
前期:~2月12日(月・祝) 後期:2月15日(木)~
「また千家かぁ」という思いもなくはなし。
ただ、入り口の挨拶文パネルにあった「美しい形の継承」なり一文に眼が吸い寄せられた。
なるほど。
「美しい形」に注目して鑑賞しよう
新しい試み(?)でケースごとに注目点が示されていた。
ケース1は「好み」。
で、禾目天目(建盞)と天目台、そして左入作の天目形黒茶碗。
まぁ、確かに天目茶碗は古い特定の時代の産物だから、供給に限りがある。
あの「形」を受け継いで現代物(=江戸時代当時)で製作すると、こうなるのかなぁ。
天目にしては厚ぼったいし、楽茶碗は楽茶碗だからビミョーだけど、
個人的にはこういう天目なら濃茶をいただくときも温度を保ったままで飲み回しができそうでよさそ。
と思った。
隣には宗旦と仙叟それぞれの茶杓。どちらも名は「ゆづり葉」。
ただ、形を継承したものには見えない~
後期は利休形の棗に展示替えするとのこと。
ケース2は「写し」
長次郎の黒筒茶碗「春朝」って、お初に見る? 溜塗りの曲げの箱がいい感じ。
隣は赤楽茶碗「三井寺」 道入作。 長次郎の作風を写したものと思われる。
赤い継ぎがあることもあるが、「早船」っぽいような気もする。
一入作の黒筒茶碗「曙」。一入は利休回帰をテーマにした人だから「写し」も多そう。
宗入も写しなのかなぁ。赤筒茶碗「福寿草」。形は「写し」でも、複雑な釉薬はオリジナル。
ケース3「見立て」
チラシ・ポスターにも採用された備前種壺水指、赤絵蓋添え。この取り合わせを考えた人、すごいなぁ。
どこが「見立て」なのかわからないけど、一橙宗室作の黒茶碗「大こく」
面を大胆にみせる篦の削りが面白い。銘名の由来は大黒頭巾を逆さにしたように見えるから。
ケース4「写し」
利休作の瓢花入の隣に宗旦作の瓢花入。
同じなのは素材(瓢箪)だけ。形は全然違う。宗旦の方が達磨っぽくしている分、創意工夫のおもしろさがある。
ケース5は「見立て」と「写し」
茶壺。確かに、これは見立て以外の何物でもない。
覆いの形と裂地が面白かった。
南蛮〆切建水を保全が写していた。「本歌」に比べると小ぶりにして、形をスマートにしている。
「写し」はただのコピーではない。
参考にしながらも、その作家オリジナルのデザインや形が作品に織り込まれ、より使いやすく、かっこよくなってくる。
それがわかるのがケース7「写し」
織部の花筏文向付を了入が写している。並べて展示すると断然、了入の方が洗練されている。
割山椒の向付も同じ。道入の方がいい。
後はコテコテすぎない保全の呉須赤絵の絵柄がいいとか。
備前の素焼きっぽく見せているけど、土が全然備前じゃないよね、とツッコミを入れたくなる備前写片口鉢。(保全作)
了入、慶入、旦入それぞれが製作した赤片口。(慶入のが一番よく見えた)
ケース8「見立て」はやたらに大きい信楽鬼置水指。(中興名物)
ケース9は茶室。 ん? 向切だったっけ?
西村道仁の大霰尾垂の釜(←尾垂は見えない)、栗木地なぐりの炉縁、高取の水指、独楽棗、、、と来て、
茶碗は富士の絵。
ずーっとシブいオッサンのラインナップの中に、ポツネンと一人カワイイ女の子がいるような、そんな感じ。
展示する側から「お題目」を与えられるだけで、
ただ漫然と鑑賞するのではなく、考えながら鑑賞することができた。
さすがに20回以上足を運んでいるし、見た物はだいたい頭に入っているけれど、
見る度にこちらの状況も違うので、道具との会話もまた違う。
後期はどうしようかなぁ。
(新しい会員証になって、まだ1回め。あと4回行かないとモトは取れない~)
★湯木美術館バックナンバリスト
2017年9月 開館30周年記念『古筆と茶陶 名品をすべてご覧いただきます=その1= 湯木コレクション選-吉兆庵光悦会の茶道具-』
2017年5月 春季展『ひと目でわかる京焼300年の歴史 江戸時代のやきもの―仁清・乾山窯と後期京焼の食器を中心に―』
2017年2月 早春展『わび茶のすがた 江戸時代後期の千家と大名の茶道具』
2016年11月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(後期)
2016年10月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(中期)
2016年7月 夏季展『茶人のたしなみ 茶事へのいざない―夏の茶道具―』
2016年6月 春季特別企画展『茶陶いっき見‼ やきもの百花繚乱 ―宗旦・宗和・遠州とその時代―』
2016年2月 春季展『おしゃれな名品たち―茶道具の文様・めでたいデザイン―』
2015年11月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(後期)
2015年10月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(前期)
2015年6月 夏季展『小さな茶道具の豊かなデザイン―香合・羽箒・炭斗をみてみよう―』
2015年4月 春季特別展『茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)-逸翁と吉兆庵のコレクションから-』
2015年3月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(後期)
2015年2月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(前期)
2014年11月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』後期
2014年9月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』前期
2014年7月 夏季展「酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-」(短冊の方)
2014月7月『酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-』(茶会の道具)
2014年6月『海を渡ってきた茶道具-名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗-』
2014年2月『激動期の茶の湯』(前期)
2013年12月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』後期
2013年9月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』前期
2013年7月『吉兆庵湯木貞一の茶事-五月雨の茶事・朝茶-』
2013年6月『茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―』2期
2013年4月「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」1期
2013年1月「江戸時代の千家のわび茶 宗旦の高弟とその子孫たち」
2012年10月「関西数寄者の茶道具」(前期)
2012年5月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」2期
2012年3月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」1期
2012.2月「千家名物とその周辺-利休・少庵・宗旦の茶道具
2011.12月 秋季展「茶道具の琳派」
2011.8月 夏季展「夏の祭釜と茶道具」
2011.6月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」三期「湯木貞一の茶道具 - コレクションから」
2011.5月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」二期:「数寄者との交流 - 小林逸翁・松永耳庵・松下幸之助」
2010.9月 『上方豪商の茶』
2010年5月 『釜と水指』
2010年3月 『茶の裂地』
2009年11月 『棗と茶杓』
2009年5月 『千家十職-茶道具と懐石の器』
2008年10月 『茶道具と器にみる四季の花』
2008年3月 『茶碗を愉しむ』
2007年11月 『風流と美』
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