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Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

朝茶事を疑似体験できる展覧会

2016年08月03日 06時10分00秒 | 美術館・博物館etc.
★湯木美術館 サイト
夏季展『茶人のたしなみ 茶事へのいざない―夏の茶道具―』 ※8月7日(日)まで

朝茶事、今年も行けなかった。
この3年、仕事で徹夜はするようになったけど、茶事はとんとご無沙汰だ。

だからというわけではないけれど、
この展覧会を鑑賞しながら、朝茶事を疑似体験できたのはとても嬉しかった。 
(夜行バスで大阪に着いて、朝イチで~10時5分前に着いたら既に開館していたのもウレシかった)

今回は昭和30年7月14日の朝茶事の道具組が一部再現されている。

ケース1
 寄付の掛物は与謝野蕪村筆の大井川画賛。
  肩車で川越しする旅人を描く、上に一句「みじか夜や 浅瀬にのこる 水の月」
  この4月に大井川の島田宿を訪れたばかりなので、リアルに感じた。

 乾山焼の流水文瓶掛の涼し気なこと!
 白地に青い釉薬で流水が描かれている。大胆な筆遣いがいかにも乾山~!って、感じ。
 (上に載っかっているのは銀瓶)

 煙草盆は宗旦好みの虫籠。キンマの煙草入と水鳥がさらった描かれた呉須の火入も夏らしい。

 根来の八角盆にそこに色絵の花がかわいい染付染香手の汲み出し。
 唐物の独楽振り出しは(私が)持っているのと似ている~

ケース2
 朝茶事の初炭手前のお道具はどれも小ぶりでカワイイ。
 唐物で正方形の足の上に載っている感じ?の炭斗。
 細身の羽箒。(ホロホロ鳥ですって)

 炭斗も羽箒も小ぶりなのに、環はなぜか大きい。徳元作の古き夏環。
 火箸も徳元。木の葉象嵌。(細すぎて葉っぱがわかりづらい~)
 利休好の籐組釜敷。

 灰器は雲華焼。これも大きく、口廻りが内側へ落ち込んでいて、そこが深い。だから涼し気に見える。
 灰匙も徳元。これも木の葉象嵌だけど判別できず。柄のところにグルグル螺旋が印象的。

 小さい瓢箪をそのまま香合に仕上げた瓢達磨香合。松平不昧公の書付あり。(箱が立派)
 不昧公の大崎(=品川のトナリ)の屋敷になっていた瓢箪で作ったものらしい)

 当日は使わなかったであろう片輪車蒔絵香合も素敵。螺鈿キラキラ、原羊遊斎の作か?

ケース3
 風炉釜は利休形の切合朝鮮風炉に真形釜(しんなりがま)
 これは本当に火を隠すからねぇ。フォルムといい、涼を演出するなぁ。

 備前焼の小ぶりで丸っこい水指。
 濃茶器は千家名物の又隠棗。小ぶり。
 絵高麗梅鉢の茶碗。 確かに、平茶碗として用いるのは有効だ。
 茶杓は表千家の覚々斎作「十五夜」

 飛騨塗の曲げ建水。(観世水)
 蓋置は保全作の青竹。←つまり、陶器

ここで、中央奥のエリアへ入る。

ここからは朝茶事に使えるお道具の展示。

ケース4
 利休瀬戸茶入「有明」。フツーに四角く肩衝。
 嵯峨嵐峡蒔絵中次(平瀬家伝来) 大きい。やや真ん中が反っているような。
 仁清の色絵丸紋茶器。卍みたいな模様が芸の細かさを感じさせるし、丸さがカワイイ。
 (ここ何度か続けて拝見しているけど、好きだわ~)

ケース5
 彫三島茶碗。夏の王道デス。
 蕎麦茶碗「夏月」。これも夏の定番。
 一入作の黒平茶碗。あかっぽい所が大樋長左衛門ぽい。(師弟の関係だから当然?)
 
 おっと。ここで昭和30年7月14日の朝茶事の薄茶席で使われた茶碗がっ。
 祥瑞沓形茶碗。内側の南京玉すだれの先端のような模様が特徴。コバルトブルーは夏にぴったり。
 仁清の色絵扇流文茶碗。前回から続いての展示。やっぱ、夏にいいねぇ。
 脇に鏡が置いてあるけど、この鏡で何を見せたいのかが、どう考えてもわからなかった。

ケース6(=奥正面の掛物を展示するケース) 
 清巌宗渭(せいがんそうい)和尚の墨蹟「風颯々水玲々」(かぜさつさつみずれいれい)

 あさがお絵賛
 中央に墨絵の朝顔が描かれている。松花堂昭乗筆でさらっとした感じが粋。
 小堀遠州、江月宗玩、松花堂昭乗が合同で賛をしたためていてスゴイ。
  此花をたればかなしというやらむ
  色即是空々 即是色
  寒松一色千年別欠
  かぎりある松の千とせも 何ちらす志ほるる時も しらぬ〓

 近松門左衛門の鷺の画賛もよかった。
 呉春の四季雨発句画賛。 斜めに雨しか描かれていないところが大胆でいい雰囲気。

ケース7
 朝茶事の懐石や薄茶席に使いたい道具。
 古染付の山水図芋頭水指、祥瑞本捻鉢、古染付山水文向付、仁清の水玉透向付(縁どり水玉)
 バカラ製のギヤマン鉢、鋼鉄の食籠(←不思議! 虫篭みたい)。
 唐物籠地黒四方盆。←フツーの四方盆にしか見えない。

ケース8
 唐物脛当籠花入。 形は宗全籠と似ている。身の部分が縦に葉蘭を乾かしたみたいな大胆な組み。
 明時代(17世紀)のものらしい。

茶室のところは懐石の道具組。
 くるみ足の半月膳に大内蒔絵画賛の会席椀。
 鼠志野 黄瀬戸 向付
 朱盃・盃台は渡辺喜三郎。
 煮物椀は佐野長寛の片輪車菜盛椀

 銚子は鉄糸目菱口 蓋に仁清の色絵鳥がついてる豪華版。

 徳利は渋く粉引  盃は萩、阿蘭陀花文
 
展示室の手前にある休憩スペースにも立花大亀老師の嵐山画賛も素敵だった。

湯木美術館は年間パス持っているから、意地でも5回行ってやる~!
と通っているけど、茶事が体験できない今の私にとっては道具組とは何かの勉強になっている。

今回、朝一に訪れたのは正解だった。


★湯木美術館バックナンバリスト
 2016年6月 春季特別企画展『茶陶いっき見‼ やきもの百花繚乱 ―宗旦・宗和・遠州とその時代―』 
 2016年2月 春季展『おしゃれな名品たち―茶道具の文様・めでたいデザイン―』
 2015年11月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(後期)
 2015年10月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(前期)
 2015年6月 夏季展『小さな茶道具の豊かなデザイン―香合・羽箒・炭斗をみてみよう―』
 2015年4月 春季特別展『茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)-逸翁と吉兆庵のコレクションから-』 
 2015年3月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(後期)
 2015年2月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(前期)
2014年11月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』後期
2014年9月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』前期
2014年7月 夏季展「酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-」(短冊の方)
2014月7月『酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-』(茶会の道具)
2014年6月『海を渡ってきた茶道具-名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗-』
2014年2月『激動期の茶の湯』(前期)
 2013年12月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』後期
 2013年9月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』前期
 2013年7月『吉兆庵湯木貞一の茶事-五月雨の茶事・朝茶-』
 2013年6月『茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―』2期
 2013年4月「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」1期
 2013年1月「江戸時代の千家のわび茶 宗旦の高弟とその子孫たち
2012年10月「関西数寄者の茶道具」(前期)
2012年5月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」2期
2012年3月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」1期
2012.2月「千家名物とその周辺-利休・少庵・宗旦の茶道具 
 2011.12月 秋季展「茶道具の琳派」
 2011.8月 夏季展「夏の祭釜と茶道具」
 2011.6月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」三期「湯木貞一の茶道具 - コレクションから」
 2011.5月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」二期:「数寄者との交流 - 小林逸翁・松永耳庵・松下幸之助」
2010.9月 『上方豪商の茶』
2010年5月 『釜と水指』
2010年3月 『茶の裂地』
 2009年11月 『棗と茶杓』
 2009年5月 『千家十職-茶道具と懐石の器』
2008年10月 『茶道具と器にみる四季の花』
2008年3月 『茶碗を愉しむ』
 2007年11月 『風流と美』





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