Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

『茶碗を愉しむ』

2008年04月08日 06時53分51秒 | 美術館・博物館etc.
湯木美術館(平成20年春季展)
※前期4/27まで、後期4/29~6/15まで
 http://www.yuki-museum.or.jp/exhibition/index.html

 湯木美術館はオフィス街の中にひっそり存在する奥ゆかしい感じの所。
 展示スペースはけっして広くはないが、訪れたのが平日の午前中ということもあり、“貸切”状態でじっくり観賞できた。
 展示のショーケース前の桟(?)のようなスペースが幅20センチくらいあって、そこで展示目録を広げてメモを取ることができる。
とても便利。
(おかげで10日経った今でも展示品の印象がしっかり残っている)

 今回は前期を観たわけだが、半数以上が高麗茶碗。いずれも李朝時代のもの。
 井戸、斗々屋、彫三島、柿の蔕、雲鶴、御本と一通りの種類が並ぶ。

 昨年、某業躰先生のお茶会に行った時のこと。
 江戸時代の大徳寺の禅僧の軸をかけて、主茶碗は御本だった。
 この時、「御本茶碗は日本から注文でして、あちらで焼かせたもの」と教えていただいた。
 当時の日本は鎖国していた時代。
 当然、焼いたのはあちらの国の方だろうと思っていたが、そうでもなさそうだ。
解説文によると、
 「対馬藩の藩医をしていたが、藩命で釜山へ渡り、窯を指揮」
とか
 「対馬藩の茶道方が陶工頭として釜山へ渡った」とあった。
 “日本の好みに合うように焼かせた”徹底ぶりに驚いた。

 国内でも高麗茶碗の「写」は盛んに焼かれたようだ。
 永楽保全さんはやはり多才さを発揮している。
 半使(釜山倭館窯)を写した茶碗、染付、安南写。
 楽家七代の長入さんも作歴が長く様々な試みをされた方だ。
 彫三島写茶碗が出ていたのだが、オリジナルの彫三島も少し離れた場所にあった。
 お互いを行ったり来て観ながら、“写”の精巧さに感心した。

 台目席に設えられた道具もなかなか。
 時節柄、釣り釜。
 遠州高取の水指、仙叟作の茶杓、栄螺の蓋置(保全作)が印象に残った。

 その他、印象的だったのは各ケースに掛けられていた酒井抱一の短冊。
 12幅あるらしいが、前期は1月から6月まで。
 また、各ケースの隅に火入や水指が置かれてあった。
 黄瀬戸や染付など逸品なのに、目録には記載はないから、帰り際に質問。
 「乾燥よけに水を入れて置いてあります。
 よくガラスコップが使われますが、ウチは風情を大事にしたいので」
 との事。

 後期は展示内容が一新し、江戸期の国焼を中心とした構成になる。
 後期も観たいなぁ。

 ※前回の訪問ははこちら
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (朝霧)
2008-04-09 00:03:03

Akatsukiさん、はじめまして。
朝霧と申します。

こちらのブログにて、お茶のこと、展示会のことを勉強させて頂いております。
私自身、入門間もないものですから右も左もわからぬ状態でして、Akatsukiさんのブログを拝見しながらひとつひとつ、まずは言葉の意味から学ばせて頂いております。

今後ともどうぞ宜しくご指導くださいませ。
お願いがございますが・・・こちらのブログをリンクさせて頂いても宜しいでしょうか?

返信する
はじめまして (Alatsuki庵)
2008-04-09 09:03:07
朝霧さん
はじめまして。
リンクの件、OKですよ。
そちらのブログも少し拝見させていただきました。
どうぞ宜しくお願い致します。
返信する
ありがとうございます (朝霧)
2008-04-10 15:33:05

Akatsukiさん、こんにちは。朝霧です。
リンクの件、本当にありがとうございました。

早速リンクさせて頂きましたので
取り急ぎご報告させていただきます。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
返信する

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