今年度最終のおはなし会は、町田市の「学研教室」相原教室修了式後のお楽しみ会として呼んで頂きました。
学習塾でのお話し会は初めてでしたが、
塾長の、「子どもたちに、良い文章に触れさせてあげたい。芥川の『蜘蛛の糸』を活字ではなく、語りで聞かせてあげたい。一年間がんばった子どもたちへプレゼントです。」との熱いお気持ちを受け、教室の全学年の子どもたち、そして、お母さん方も集まるこの機会でのお話し会になりました。
4歳から6年生までの子どもたちが学んでいるこの教室は、とても素朴な寺子屋のような感じでした。
塾長の「国語のプリントを解くのとは違う時間です。」から始まりました。
はじめましてのご挨拶は「春の詩メドレー」
お話は三つ。リクエストの『蜘蛛の糸』を4歳から聞いてもらうために、わらべ歌などもいれて、楽しいプログラムにしました。
日本民話『大工と鬼六』、芥川龍之介作『蜘蛛の糸』、グリム童話『ブレーメンの音楽隊』
4歳の女の子と、5歳の男の子が私の目の前にちょこんと正座していて、じっと私を見て、おはなしに集中していました。
『蜘蛛の糸』の時は、本当に、目の奥の透き通った心が見えるような目をして聴いていました。
この子達がとても落ち着いていたので、私もぐっと集中しました。
子どもたちの呼吸に合わせて語ることができ、10分間の芥川の世界に誘えた顔を見られて本当に良かったと思いました。
最後のブレーメンは、リコーダーや歌を入れて、明るく元気よく語り、ほっと和み、笑い声も聞え楽しそうでした
塾長から、「芥川の世界は、本当に美しかったです。あんなに美しい言葉で書かれた物語を最初から最後まで聴くということは、なかなかありません。私も、読んだだけでは気がつかないことがたくさん見えてきました。とても良かったです。」
と、言葉をいただき、私もとても嬉しかったです
一期一会になるかもしれない出逢いです。
芥川を初めて聴いた子どもたちばかりです。
「良い文章に触れさせたい」
塾長の想いはきっと伝わったと思います。
私の想いも。
会の終了後に、4歳の女の子が、つかつかつかと私のところへ来て
私の顔を真っ直ぐ見て、「すごくおもしろかったです。ありがとうございました。」と私におじぎをしたのです。
女の子の目がとても真剣でしっかりと光っていたのです!
「1時間よーくおはなし聞けたね。楽しい時間になって良かった」と握手をしました。
4歳の子に芥川を語ったのは初めてでした。
心を注いで全力で語ることの大切さをまた、しみじみ感じました。
子どもたちに伝えられなければきっと、誰にも伝わらないと、そう思いました。
子どもたちから学ぶことが本当にとても多いです。
しかし、『蜘蛛の糸』は不思議な力があるなぁ。
筋や解釈ではない、人の心をとらえる魅力があるようです。
日本人の心をとらえる桜の花のよう。
罪人も、地獄も、針の山も、血の池もでてくるけれど、
やはり美しい言葉の織り成す世界に魅かれるのでしょうか。
天才の魔力でしょうね。