お祭り 歴史探索の旅   ~尾陽雑記抄~

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名古屋若宮八幡社祭礼「福禄寿車」

2005年05月08日 23時42分50秒 | 山車祭り
5月15,16日は名古屋若宮八幡社祭礼の日です。
5月中旬は江戸(東京)では、「浅草三社祭」京都では「葵祭」で有名です。
名古屋は5月中旬は「若宮八幡社祭」です。

 戦前は名古屋三代祭りとして「東照宮祭」(旧 名古屋祭り)
名古屋城の中にあった「三の丸天王社祭」そして今回の「若宮八幡社祭」です。

 若宮も戦前は山車が多数ありましたが、戦災で消失したり、
他所に譲られてしまい、現在、若宮八幡社に残るのは
「福禄寿車」だけとなりました。それでも往事の面影を残しています。

 山車と共に神輿が「若宮八幡社」と「那古野神社」を往復します。
その道筋は、「本町筋」現在はオフェス街ですが、江戸時代は、名古屋の
中心の道でした。現在、昔の名古屋の繁栄を示した「本町筋」を通る山車祭りは
「若宮八幡社祭礼」だけであり、由緒正しき「本町筋」を通るのは「福禄寿車」
だけです。

 福禄寿はご存知「七福神」の頭の長い仙人です。よく福禄寿と布袋さんを
間違えられますが、布袋さんは「おなかの大きい布袋さん」であり、
福禄寿は「頭の長い福禄寿」です。


福禄寿は本場中国では「南極老人星」と呼ばれ「福禄寿」と「寿老人」を
同一とする説もあります。北極星と対をなす「南極星」の化身であり、
寿命を司ります。そんな訳で「長寿」の神様です。

 福禄寿車でも夜になると提灯を付けますが、南極老人と言う事で、
「南極星」と書かれた提灯が付けられます。

 星座の神ということで、星座「二十八宿」や北斗七星にちなんだ
装飾が見られます。高覧下には雲間から見え隠れする「二十八宿」を
見ることが出来ます。「二十八宿」は和名「たまほめ」とか「あめふり」
とか「ちちり」と呼ばれ少女漫画「不思議遊戯」ではおなじみですね。
(何で知っているのだろう?)
「二十八宿」といえば「キトラ古墳」が有名ですね。

 谷村新司氏の名曲「昴」(すばる)も「二十八宿」の一つです。

 また、「孫子の兵法」では、「二十八宿」のある星と月が重なる時は
風が吹くから、火計を仕掛けるチャンスだ。とも書かれています。
二十八宿は、兵法だけではなく、気象予報などに欠かせぬ星だったと思います。

 北極星(北辰)は動かず、その周りを「北斗七星」が回り、
その周りを「二十八宿」が回ります。

 南極星は竜骨座のカノープスで、こちらは、南極の上で動かず…
というわけではなく、動きます。
 日本や中国では、地を這うようにしか見ることが出来ませんが、
おそらく南半球では、高々と見ることが出来ると思われます。

 「世界の中心で愛をさけぶ」のアキちゃんは、オーストラリアの
原住民の思想に憧れたといいますが、アキちゃんがオーストラリアの地を
踏んで、「南極星」を見ていたら短命で無かったかも?
 美人薄命といいますが、短命のアキちゃんがオーストラリアに惹かれた事に
「南極老人星」の神話を知るこの文を書くアキは、運命の皮肉さえ感じられます。

 是非、名古屋のオフェス街で「福禄寿車」を観る機会がある方は、
長寿の星である「福禄寿」を観て下さい。


名古屋若宮八幡社祭礼「福禄寿車」2