宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

お盆休み

2007年08月15日 | MBA
 
今日本はちょうどお盆休みの真っ最中だと思う。オフィスで勤務する一部の人を除き、日本中がほっと一休みする瞬間だ。こちらフランスでも8月15日は祝日になっていて、オフィスやお店は全てお休みとなる。当然ATR社での僕のインターンもお休みだ。

お盆といえば、僕はやはりお墓参りを思い出す。父方の祖父は日本人には珍しくとてもクリエイティブな人で、広島のある山の中を自分で切り開き、そこに自分のサンクチュアリ(聖域)を作ってしまった人だ。そして、そこからの眺めが大のお気に入りだった祖父は、さらに自分のお墓までそこに作ってしまった。ということで、僕の一族は毎年お盆やお彼岸を迎える度に、その祖父のサンクチュアリが存在する山の中へと分け入り、お墓参りをするのが習慣になっていた。それが僕の中でのお墓参りだ。

お墓参りをする意義というのは、もちろん故人を偲ぶということに加え、核家族化が進行する現代の世の中において、バラバラになった家族や親族が再び一堂に会する機会であるともいえる。そのためには、当然直接足を運んでお墓参りをしなければならないのだけど、僕のようにフランスに在住している者にとっては、それはちょっと難しい話だ。

そこで、宇宙を使ってお墓参りができないかどうか考えてみた。宇宙を使うとはいっても、別にロケットを使って遺灰を打ち上げる宇宙葬という意味ではない。光学観測型の人工衛星を使い、ある地点に存在するお墓をピンポイントに撮影し、お墓参りの代わりとすることができないかというものだ。

最新の衛星技術では、10cmの分解能を有する人工衛星を開発することも可能だ。これは、地上に引かれた10cm間隔の線を宇宙から識別できるということを意味する。ならば、宇宙から人工衛星を使い、縦横約2メートルのお墓を識別することくらい極めて簡単なことのはずだ。

さらに人工衛星に搭載されたセンサーの種類によっては、斜めの角度から地上の様子を撮影できるセンサーも存在する。ということは、うまく撮影すれば墓標に刻まれた『○○家の墓』という文字も確認できそうな気がする。ただし、エンジニアリング的な観点で本当に実現可能かどうかの確証はない。今後衛星エンジニアを仲間に入れて検討することが必要だ。

倫理的な問題として、宇宙から撮影した映像だけでお墓参りを済ませてしまうことへの是非はあると思う。しかし、既に日本ではインターネットを使ったバーチャルお墓参りシステムや、葬儀のインタネットライブ中継を提供するビジネスが存在している。ならば、お墓参りの需要をターゲットとした新衛星ビジネスとして『Obon-Sat』(オボン・サット)があってもいいのではないかと僕は思う。

ただし、このシステムではお供え物ができない。そこが弱点かもしれない。

(写真はピレネーの山奥の一風景。僕の祖父のサンクチュアリはこんなもんじゃない。)
 


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