今回のヨーロッパ出張はエールフランス航空を使ってパリ、ミュンヘン、パリと回ってきたのだけど、往復の機内でビックリしたことが一つある。座席の前に設置してある個人用スクリーンに、人工衛星から撮影された地球の画像が使われていたことだ。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)とエールフランス航空とのコラボレーション企画らしく、しっかりとESAのロゴマークが画面に掲示されていた。東京-パリのフライトは12時間30分、これは宇宙機関にとってすごく良い宣伝だ。
使われている人工衛星の画像は、飛行機が今まさに飛んでいる場所を宇宙から撮影したものだ。つまり、オランダ上空を飛行しているときはアムステルダムの画像だったり、デンマーク上空を飛行しているときはコペンハーゲンの画像だったりという感じで、とにかく今飛んでいる場所に従ってどんどんいろんな画像が変わっていく仕組みだ。窓のすぐ外には1万メートル上空からの地球の姿が見えるが、この画像は数百キロ上空からの地球の姿を僕たちに教えてくれる。この対比をその場で実感できるだけでも非常に面白い企画だと思う。
日本の航空会社にも地図上でどこを飛んでいるのかを示してくれる機内サービスはあるが、さすがに宇宙からの人工衛星画像を機内で使っている航空会社は今のところない。Googleのように地図サービスの一環として人工衛星画像を使う会社は世界にいくつも存在するが、今まさに飛んでいる場所を宇宙から眺めるという価値を提供しているのは、僕が知る限りエールフランス航空のこのサービスだけだ。市場としては小さいかもしれないが、ある意味で新しい宇宙の使い方になっていると思う。
もっと驚いたのは、決してヨーロッパ宇宙機関(ESA)が撮影した画像ばかりが使われていたのではないということだ。ESAのロゴマークの横にはSPOT衛星を運用する民間企業Spot Image社のロゴマークが掲出されていて、その画像がどんな組織によって撮影されたものかを表している。企業にとってもすごく良い宣伝になると思う。経緯は全く知らないのだけど、宇宙機関であるESAが企画し、Spot Image社を巻き込みながらエールフランス航空に売り込んでいたとしたら、これは僕も見習わなければならないアクションだ。
Spot Image社の衛星画像以外にも、KARIというロゴが掲出されていた衛星画像もあった。KARIと言えば韓国の宇宙機関の名前だが、ひょっとしたら将来のビジネスチャンスを期待してKARIの人工衛星をヨーロッパが代わりにPRしているのかもしれない。画像のクオリティとしてはSpot Image社のものに遠く及ばないが、とにかく韓国のKARIにとってはよい宣伝になる。衛星の利用や事業化までをしっかりと考えて宇宙企業をサポートする姿勢に、ヨーロッパのしたたかさをまた垣間見た気がした。
昔乗った飛行機は延々と飛行機に付けたカメラから実画像を流すサービスがあって気に入ってたのですが夜は画面が真っ暗でしたのでそれより良いかも。
確かKARIはKompsatの画像をSpotImage社を通して売っていますので、その画像が使われているのかもしれませんね。
コメントありがとうございます。
この記事を載せて以降、複数の方から「これってこの件では?」との情報提供をいただきました。2007年9月くらいからスタートした企画のようです。昔ある人から「情報はそれを提供する者のところにより集まる」と教えを受けましたが、本当にそうなんだなぁ~と実感した次第です。日本の航空会社でも同様のサービスが始まれば嬉しいですね。機内ショッピングで各地の特産物などの通信販売とリンクさせても面白いかもしれませんね。