今日は久々にMBAの基本中の基本に戻って、分析ツールの一つであるSWOT分析について。前にも何度かブログの中で紹介したと思うのだけど、「SWOT分析をやってみたけど、使い方がよく分かりません」というメールをいただいたので、僕なりのやり方を紹介したい。
まず、SWOT分析とは、経営分析に用いるツールの一つで、ある会社や製品がどんな強み(Strength)を持っているか、どんな弱み(Weekness)を持っているか、そして、どんな機会(Opportunity)に恵まれているか、さらには、どんな脅威(Threat)にさらされているかを、マトリックス形式で分析するというものだ。誰でも簡単にどんなものにも適用できるのが長所である反面、分析者の立場によっては主観的な結論に陥りやすいという短所もある。
その短所を補うために僕達がMBAで習ったのは、SWOT分析を用いるのではなく、TOWS分析を用いるべしという鉄則だ。ただ順番を逆にしただけなのだけど、まず脅威と機会という外部要因に着目することによって、可能なかぎり中立的な目で内部にある強みや弱みを見極めることができる。これは僕のアカデミック・スーパーバイザーでもあるSveinn教授から教わったテクニックだ。
ということで、僕はいつも外部要因としての「脅威は何か?」を分析することから始め、その後順番に「機会は何か?」、「弱みは何か?」、「強みは何か?」と続けてゆく。これが僕の中でのSWOT分析ならぬ、TOWS分析だ。
SWOT分析が役に立たないと言っている人の多くは、ほとんどの場合が脅威や機会、そして、強みや弱みの要素を列挙するだけで終わってしまう人だ。いくらカテゴリー分けされているとはいえ、ただの事実を何時間眺めても経営戦略なんて頭に沸いてこない。ここで終わるくらいなら、最初からSWOT分析をしないほうがまだ賢いと思う。時間の節約になるからだ。
本当に大事なのはこの後だ。僕のいつものやり方は、図のように4つのマトリックスそれぞれで、意図的に頭の中の思考様式を変えながら戦略オプションを考えるというものだ。具体的には以下のとおりだ。
まず、「脅威」と「弱み」とが交差する部分では、Cooperative Approach(協力型アプローチ)を使って考える。つまり、いかにして協力関係を築きながら自分の弱みを克服し、脅威の到来に耐え抜くことができるかを考えるのだ。かなり保守的な守りの姿勢だけど、脅威に対して弱みしか持っていないのであれば、戦っても勝ち目はない。それ以上に状況を悪化させない策を練るのがベストだ。
逆に、「強み」と「脅威」が交差する部分では、Repulsive Approach(撃退型アプローチ)を使って考える。つまり、自分の中の強みを使っていかにして脅威を撃退できるかを考えるのだ。強みを有しているのだから逃げ腰になるのではなく、あえて攻めるべきだと僕は思う。
そして、「機会」と「弱み」が交差する部分では、Recovering Approach(回復型アプローチを使って考える。つまり、この機会を利用して弱みを克服できないかを考えるのだ。チャンスを目の前にしてついつい攻めてしまいたくなるのだけど、弱みがある状態で攻めても成果はたかが知れている。ここはじっくりと体力を充実させることに集中すべきだ。
最後に、「機会」と「強み」が交差する部分では、Creative Approach(創造型アプローチ)を使って考える。つまり、これまでになかったような新しい手段で新しいチャンスを一気に獲得できないか考えるのだ。自分の中に強みがある上に追い風まで吹いているのでついつい目の前の小さな玉を拾いたくなるかもしれないが、決してあせってはいけない。頭をひねっていいアイデアを捻り出し、最終的にごっそりとチャンスを掴むのだ。
こんな風に4つの異なる思考パターンでそれぞれに最も適した戦略オプションを考えていく。これが僕の中でのSWOT分析だ。
もっといい方法を知っている人がいたら、ぜひ共有させてください。
(写真は僕の中でのSWOT分析ならぬ、TOWS分析のマトリクス)
東京はうだっております。
このチャート・・・男友達は彼女にしたい女性との関係をチャートを作っていました。共通点、嫌いなもの好きなもの・・・。
その戦略で、表が埋まったのだろうか?
使い方違っていますね。。。すみません。
コメントありがとうございます。
その使い方、素晴らしいですね。まさにMBAで習うことの実践編を実益に繋げる形で応用している。うまい使い方だなと感心してしまいました。