2015.08.25
「金正恩の首に懸賞金」報道後、北当局急きょ金正恩暗殺備え訓練
7月31日、韓国江原道の鉄原(チョロン)一帯で韓国青年たちが北朝鮮に向けてビラの入った風船を送ったという。今回のビラの内容はとても特別だった。最近北朝鮮で出回っている「統一後に処断すべき北朝鮮高官リスト」なのだ。
このビラに対して北朝鮮の祖国平和統一委員会の報道官が「わが民族同士」という媒体を通じて強い非難の声を上げたが、どうやら普段のビラに比べてゾッとした模様である。
元々「処断者」という言葉は韓国ではあまり使われないが、北朝鮮ではとてもよく使われる言葉である。特に、北朝鮮政権の今日が存在するまで、この「処断者」という言葉が一番大きな活躍をしたのではないかと思うほどである。
北朝鮮住民を苦しめた者を必ず見つけだして処罰すべき
北朝鮮は政権初期から人民をいくつかの階級に分けて、階級ごとに処断すべき対象を指定して無慈悲に殺してきた。北朝鮮で最も過酷な処罰といえば、「処断者リスト」にあがることで、処断者リストに入ったら一族3代が死絶えてしまう。たとえ生き残ったとしても集団管理所と呼ばれる政治犯収容所に家族みなが強制収監され、獣のように扱われ、死んだ方がマシとこぼすようになる苦痛を経験する。
北朝鮮で処断者に指定される人は主に政治犯になるが、金氏王朝を批判したか金氏王朝に反旗を翻そうとした人、脱北者、宗教人などで、ようするに金氏王朝に邪魔になる人たちだった。家族の中で処断者が出たら、その事実を知らない家族までみな収容所に連れて行かれて奴隷のような生活を強いられるため、「処断者家族」という言葉は北朝鮮住民にとって恐怖と苦痛の代名詞となっている。
ところが、今現在北朝鮮住民たちが倒れかけている北朝鮮政権を目の前にして、統一したら一身の享楽と安慰のために金氏王朝に忠誠しながら北朝鮮住民を苦痛と恐怖に追い込んだ者を処断するために、自分たちがやられたように、リストを作っているとは。北朝鮮の雰囲気もかなり変わったなと思う。
特に、北朝鮮を地獄中の地獄にしてきた権力者・指導部に向けて住民たちが自らの声を出しはじめたという点で、画期的で革新的であると評価したい。
▲北朝鮮内に「統一後に処断すべき北朝鮮高官リスト」が出回っているという。これは北朝鮮住民たちが北朝鮮を地獄の地にした権力者・指導部に圧力をかけているというサインで、北朝鮮の独裁政権の崩壊が近づいてきたことを意味する。写真は金正恩が農機械展示会を訪問している場面
全ての物事にはブーメランのような性質がある。北朝鮮住民たちが作成して拡散させている統一後処断者のリストは、金氏王朝集団の専売特許を住民たちが真似をしたものといえる。金氏王朝が住民に向けて無慈悲に振り回した死の刀が、統一したら金氏王朝を追従した者に向けられるから、これから気をつけろという警告のメッセージなのだ。
処断者リストの話を聞いた脱北者たちは、口をそろえて積極的に支持を表し、今後北朝鮮の権力層内で内輪もめと混乱が起きると見込んだ。中でも住民たちの怒りが怖い金正恩は夜にも寝付けられないだろうと、奇抜なアイデアに拍手を送った。
金正恩の首に懸賞金かかる
今回のビラでは、金正恩とその一族、崔竜海(チェ・リョンヘ)、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)、金元(キム・ウォンホン)など金正恩の最側近に対する懸賞金も提案し、北朝鮮政権の滅亡を促すための大きな一歩を踏み出したと評価される。
北朝鮮の消息筋によれば、去年2月1日に韓国のTV朝鮮より金正恩の首に懸賞金がかけられたというニュースが報道されてから、北朝鮮地域では2月中旬頃から金正恩が暗殺されたという噂も駆け回ったようだ。
一部の脱北者が韓国人に「金正恩の首を打ち落としてきたら韓国で一千万ドルをくれるらしいが本当か」と確認をするハプニングもあって、本当に金正恩の首をとってくると意気込む人も現れたそうだ。その影響か、金正恩は北朝鮮史上はじめて、暗殺に備えた訓練を急きょ行った。
今回の「統一後処断者リスト」が巻き起こした波紋を見つめながら、今後の民間による統一運動はこのような心理戦の形で行われたら効率が良いと考えた。これからは、北朝鮮住民たちに金正恩政権の崩壊をより強く確信させるような戦略が繰り広げられることを期待したい。
[未来韓国]