今日、お伝えしたい話は
VOA(Voice of America)ハングル版に載った記事ですが、
内容は、タイトルでご覧になっているそのままです。
凶悪犯罪者でも、基本的な権利として
人権侵害に当たる待遇を受けない権利が保障され、
自分を弁護する権利があるとされています。
しかし、北朝鮮当局は、
海外で犯罪行為をした北朝鮮人に対して
「北朝鮮のイメージを悪くする」として
「北朝鮮の人でない」と見捨てて
何の調査も支援もしてあげないそうです。
そこでお聞きしたい。
① その人たちがどうして中国まで流れていって
犯罪に手を染めてしまったでしょうか。
(※もちろん、犯罪そのものは悪いですが)
② 北朝鮮のイメージを悪くするのは、本当に海外で犯罪を犯した住民だけでしょうか。
核・ミサイル開発、人権侵害、拉致、独裁…これらはどうでしょうか。
この件は、私たちがこれまでよく聞いてきた
北朝鮮の人権侵害実態とまた違うパターンの人権侵害ですね。
ある意味、積極的な人権保護活動ですが、
基本的な生存権などの人権も守ってくれない北朝鮮当局ですから、
このような積極的な人権保護は期待してはいけないのでしょうか。
==========================================
2016.12.16 20:35(Voice of America)
▲2012年2月、中国北京駐在北朝鮮大使館の入り口で大使館関係者が警備に立っている中国公安員と話している(資料写真)
北朝鮮政府は、海外で犯罪に関わった自国民に対していかなる支援も提供していないことが明らかになりました。領事支援どころか国籍確認も拒否するせいで北朝鮮人が不利益を受けるということです。
最近韓国に亡命した脱北者A氏は、2004年から2014年まで中国吉林省長春市にある刑務所に収監されていました。
2003年、長白県のある朝鮮人参の畑で朝鮮人参を盗もうとしたことで逮捕されましたが、本人も知らない犯罪まで付けられて強盗と傷害罪で11年間も服役したのです。
A氏は「VOA」に送ったE-メールで、逮捕以降、裁判に至るまで北朝鮮当局からいかなる支援も受けられなかったと綴っています。「調査を受ける時や法廷で領事面談を要請しても北朝鮮公館は全て無視した」ということです。
それに、中国公安も実績を上げる目的で脱北者を未決事件の犯人に仕立てて不当に量刑を重くしても北朝鮮領事は何一つ助けてくれないそうです。
A氏は「中国で犯罪を犯した北朝鮮人は金日成・金正日などの対外権威を損なったという理由で北朝鮮公館が自国民だという事実そのものを否認する」と主張しました。
結局、裁判所の判決後、国籍欄には「無国籍者」と記され、控訴をしようとしても無国籍のため困難にぶつかるということです。
韓国の民間団体「統一未来連帯」の代表である、北朝鮮保安当局幹部出身のチェ・ヒョンジュン氏は15日「VOA」に、北朝鮮当局は犯罪につながった北朝鮮住民を自国民として認めないと伝えました。
【録音:チェ・ヒョンジュン代表】ほとんど否認します。なぜなら中国との関係上の問題もあるし、北朝鮮という国が世界中に麻薬を広めていると世論化することを恐れて、北朝鮮のイメージを守るために、その人がどうなっても我々はその人を知らない、のような対応でほとんど否認してしまうんです。
これと関連し、複数の韓国政府の消息筋は先週「VOA」に、2009年「北・中犯罪人身元確認協定」が締結されてからは、刑務所に行く時には北朝鮮国籍として収容される話しました。しかし、北朝鮮当局の領事支援は保護活動は全くないと認識しているとのことです。
脱北したA氏は自分が収監されていた刑務所に北朝鮮人は123人収監されていたと述べました。そのうち生活苦に脱北してから麻薬取引や窃盗で収監された人が7割に達し、他は殺人や詐欺などだったそうです。
中国で脱北者を助けていた韓国系アメリカ人宣教師スティーブ金氏も、2003年逮捕されて4年間刑務所で服役した後、「VOA」とのインタビューで北朝鮮人100人余と一緒にいたと話していました。
また、A氏も服役当時、金宣教師と一緒にいたと話しながら、アメリカ領事がよく面会にきて特別待遇を受けることに北朝鮮人のみんなが羨ましがっていたとしました。
韓国人など他の国の収監者らも定期的に領事支援を受けるのを見て、祖国に対して「ものすごく裏切られた気持ちになったし、「井の中の蛙」のように世の中の変化に無知で当局の嘘に洗脳されてきたということに気づいた」と語りました。
中国の韓国総領事館で長く勤めていた韓国政府関係者は、韓国領事の場合、中国刑務所にいる韓国収監者の面会を1年に2回ほど行くと説明しました。生活必需品を収監者たちに渡すほか、拷問や不当行為はなかったか点検するということです。
これと関連し、韓国国家情報院の前1次長によれば、北朝鮮によるビルマ・アウンサン爆弾テロ事件の犯人のうち唯一生存した北朝鮮軍偵察局所属のカン・ミンチョルは、獄死するまでの25年間北朝鮮当局から支援を一切受けられず裏着られた気持ちを吐露していたそうです。
【録音:国家情報院前次長】裏切られた気持ちも感じたでしょう。また北朝鮮は自分たちの存在を否認し、当時支援など全くありませんでした。
ワシントンの民間団体の「北朝鮮人権委員会」のグレグ・スカーラチュ(Greg Scarlatoiu)事務総長は、15日「VOA」に、自国民が海外で犯罪を侵しても最小限の権利を保護するのが、正常な政府の義務と指摘しました。また、これは北朝鮮も加入している「領事関係に関するウィーン条約」にも明示されていると強調しました。
1963年に採択された領事関係に関するウィーン条約は、自国民保護のために領事接見権を保障するよう明示しています。この条約に乗って当事者は領事面談を要請することができ、当事者の祖国も派遣国に対して自国民との接見を要求し保護活動を行います。
北朝鮮も1984年にこの条約に加入しましたが、海外の自国民に対する保護はもちろん、北朝鮮が抑留している外国人に対する領事接見要請もなかなか受け入れず、批判を受けていました。
カナダ外務部は、去年「VOA」にE-メールを送り、実際に北朝鮮に抑留されている韓国系カナダ人牧師イム・ヒョンス氏に対する領事接見がろくに行われていないとし、「これはウィーン条約と自国民に対する領事の接見権利を深刻に違反すること」と指摘しました。