今日、11月30日ですね。
2009年11月30日は、
北朝鮮で「無慈悲な」貨幣交換が行われた日です。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓09年改革後の新券↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
それまで数回の貨幣改革・交換が施行されましたが、
ほかの国の例を見れば、
デノミ、貨幣改革はインフレーションによる貨幣価値の調整が主な理由でしたが、
北朝鮮は、そんな理由ではありませんでした。
特に2009年頃には、
住民たちが生きるために
住民同士でこっそりモノを売ったり買ったりしたのがきっかけで闇市場が発生、
徐々に市場が拡散してそれなりにお金を持っている人もいたんですね。
市場の元、すなわち資本になるお金を、裏で回っているそのお金を吸収したい、という考えと
ちょうど金正恩を後継者デビューを準備してましたから
その土台として国の経済体制を国中心に取り戻す必要性が相まって、
貨幣改革に走りました。
しかし、2009年の改革では
北朝鮮貨幣の価値を一気に100分の1にし、
銀行で交換してもらえる金額も10万ウォンまでと制限されていて
残りはすべて政府が没収しました。
闇市場でこつこつとお金を貯めてきた人々は、
いくらお金があっても制限額以上は全部反故になってしまい、
自殺をする人も多かったです。
その結果、北朝鮮住民は
もう北朝鮮の貨幣を信用しなくなり、
中国の人民元や米ドルで取り引きをしはじめます。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓その様子を描く記事↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
北朝鮮が「米ドル」に敗北…反米思想も効果なし
北朝鮮の公式通貨は「ウォン(通称:北朝鮮ウォン)」だが、その価値は紙切れ同様になっている。故金日成主席が描かれた紙幣が覚せい剤の吸引に使われていることからも明らかだ。
価値が下がった最大のきっかけは2009年に北朝鮮当局が行った貨幣改革(デノミネーション:以下デノミ)だ。
この時、ウォンでタンス預金を貯めていた多くの住民は大打撃を受け、デノミを強行した当局への怒りは爆発。当時の金正日体制は、混乱を収拾させるため、デノミの責任者だった朴南基(パク・ナムギ)を公開処刑した。
この公開処刑は、北朝鮮経済を支配する市場経済、つまり貨幣経済に金正日体制が敗北したことを意味した。
でも、このデノミが北朝鮮の未来に及ぼすポジティブな効果を予測した専門家がいました。
ノーランド “貨幤改革後, 北の市場は復活するだろう”
それは、アメリカの「ピーターソン国際経済研究所」の副所長、「ノーランド」氏でした。
ノーランド副所長は、「経済的側面で、貨幤改革は否定的なものであり、北朝鮮の住民に苦痛を与えるのは確かだ」と述べつつも、住民の生きようとする意思が市場の回復につながるだろうと語った。
その予想は的中し、
今北朝鮮では「チャンマダン」と呼ばれる闇市場をはじめ
国境地域を中心とした密輸品の流通が盛んです。
信用をなくすほどの過酷なデノミだっただめ、
住民たちはこれ以上我慢しながら政権に従うより、
自分たちで独自の経済体制を築きつつあるのです。
そんなノーランド氏は、この予測のすぐ後に、
北朝鮮デノミは失敗だと断言します。
2009年11月30日のデノミ開始から6ヶ月も経っていない時でした。
ノーランド氏は先日韓国にも訪れ、
もはや、北朝鮮経済の根幹そのものについて指摘しました。
「北朝鮮経済よくなったが、金正恩リーダーシップのためではない」
2015年11月17日14時26分
「中国企業は北朝鮮で得るものがないと判断すればいつでも手を引くだろう。最近の北朝鮮経済の好況は可変的だと見るしかない」
「可変的」という表現が目につきますね。
つまり、
中国依存度が高く、自立できるような経済力がないため、
中国の躍進によって一時的なプラス影響はあるものの、
いずれ中国が「使えな~い」と背を向けることになれば、
北朝鮮の経済は成り立てないとのことでした。
国家の経済統制が失敗した状況で市場化(marketization)はあたかも根から草が上がってくるように自然発生的だ。政権が統制できないことだ
国の経済統制が無力化したせいで、
住民によって自然発生的に起こる市場化も指摘しています。
ふらふらした、住民の信用も支持も失った国家経済、
裏で自然に生まれて運用されている住民経済。
この構造が続けばいつかは住民経済が大きくなり、
今の体制を転覆させる力を得るでしょう。