最近、咸鏡北道の水害現場で起きている
北朝鮮当局による暴政について話してきましたが、
国際社会が住民向けに送った支援食糧を住民にあげずに
外貨稼ぎに転用しているという報道がありました。
「自由アジア放送」(RFA)の報道ですが、
全体的な流れが少々おかしかったです。
内容を要約すれば、
北朝鮮当局が支援食糧を横取りして
北朝鮮を訪問する外国人向けの食材として転用するということですが、
それとともに
「水害地域はもう復旧されて従来通り食材が流通されている」
「住民たちはとっくに闇市で食材を調達して自立しているから支援なんていらない」
という話があります。
私が聞いた話では、水害地域はまだ復旧が滞っているところが多く、
復旧に必要な道具や材料も住民が買って当局に出さなければならない状況だそうでした。
配給制が崩壊して住民がチャンマダンで食材を買って食べていくという話は事実ですが、
水害を被った住民が立ち直るにはまだ無理があるんじゃないかとも思えます。
とにかく、「RFA」もおそらく北朝鮮内の消息筋の取材でしょうから
信憑性が全くないとも言えないため、
他の話や記事などを見比べて正確な状況把握をしたいと思いました。
下記は、「RFA」の記事の和訳です。
===============================
【写真】WFPから支援された米を倉庫に移している北朝鮮労働者
国際社会が北朝鮮に食糧を支援する必要がないという主張が、北朝鮮現地の消息筋より出ています。消息筋らは、北朝鮮が国際社会から支援された小麦粉と粉乳を横取りし、外貨を獲得する目的で高級食材として転用していると主張しています。
北朝鮮住民のために食糧を支援すべきだとする一部の民間団体や国際機関の主張に対し、北朝鮮内部の消息筋らは「食糧まで支援する必要はない」と声を揃えます。北朝鮮の配給制度は完全に崩れたが、食べ物がなくて餓死する人や物乞いをする人はあまり見られないということです。
水害復旧に動員されたという咸鏡北道の消息筋によれば、大洪水の被害地域で一時期食糧が値上がりしたことは事実」としつつも「今は輸送路が復旧され、被害地域の食糧価格は安定に戻った」と話しました。
これと関連して13日、慈江道の消息筋は「今時飢えている人なんてなんかおかしいと見るべき」「今は昔みたいに単純に胃袋を満たすことじゃなくて食生活の質を高めることを気にしている」と話す。
消息筋らは、北朝鮮の人口2千5百万人に対して一日に一人あたり600グラムの食糧を供給するとしても一年に540万トンあれば十分であり、一日食糧を現在北朝鮮当局が定めている450グラムにしたら必要な食糧は400万トンも行かないと説明しました。
なお、北朝鮮ではとっくに配給制度が崩壊しており、住民はそれぞれ自力で経済活動をしてチャンマダン(闇市)で食糧を買うと話しています。
また、北朝鮮では2014年から穀物生産料が540万トンを超えた上に、今年も豊作だったため、外部からの食糧支援を受ける必要がないとしました。北朝鮮が国際社会に対して常に食糧支援を求める理由は別にあると明らかにしました。
北朝鮮は去年から平壌の工場で住民の食糧であるトウモロコシで食糧油と砂糖を生産し、残ったかすは万景台区域などの幹部に豚肉を供給している牧場に豚の飼料として送っているそうです。
最近北朝鮮が育児院に収容された孤児への供給という名目で国際社会に小麦粉と粉ミルクをたくさん要求しているが、国際社会が支援した小麦粉と粉ミルクは平壌を訪れる外国人を相手に外貨稼ぎをするレストランの高級食材として転用されていると、消息筋らは強調しました。
====================================
北朝鮮の外貨獲得機関らが水害復旧に必要な物資の輸入で相当な利益をあげていることが明らかになりました。中国から輸入した建設資材は被害復旧現場はもちろんチャンマダンでも取り引きされていると、消息筋が伝えてきました。
北朝鮮の水害復旧が長期化することによって、貿易機関の外貨稼ぎにはさらに弾みがついたそうです。貿易機関が水害復旧資材として中国から輸入してきた建設資材をチャンマダンと建材商店に販売し、外貨を稼いでいます。
平安北道のある消息筋は20日「中央から水害復旧工事を催促しているため、建設資材の需要が増え続けている。だから生活必需品専門の貿易会社も最近は建設資材を輸入しようと騒いでいる」自由アジア放送に伝えました。
消息筋は「総政治局傘下の「チルソン会社」や偵察総局傘下の「メボン会社」、人民武力部8総局の外貨獲得担当部署など中央級の貿易機関が従来の生活必需雨品中心から建設資材へと輸入品目を切り替えるにつれて、地方の会社らも建材輸入に飛び込んだ」と指摘しました。
消息筋は「特に最近は北朝鮮の車が中国に入って建材を運んでいる」「平安北道の車であることを示す"平北-832850"というナンバープレートを付けている車やそれと似たような番号の車が一度に50台ほど税関を通って中国を行き来している」と説明しました。
また、「中国から輸入された建材は全部全国の卸売のネットワークを通じて販売されている」「チャンマダンや建材商店などで販売されている建設道具は全て中国製」と付け加えました。
一方、咸鏡北道の消息筋は19日「北部地域の被害復旧を理由に住民に対する支援品の要求が続いている」「上限額を指定してはいないが、各種の建設資材現物や現金など何でも出せということで、言葉は支援と言っているが強要に他ならない」と述べました。
消息筋は「人民班で随時住民による水害復旧支援の状況を公開している」とし、「水害復旧を急ぐことにおける党の方針に積極的に参加した人を称えることで、住民の支援参加を圧迫しているのである」と指摘しました。
また「水害復旧支援に一丸となって参加しろといい、労力であれ資材であれ現金であれ関係ないがその中でも建設資材の支援を強調しているため、住民たちは仕方なく建設資材をチャンマダンで買って出している」と主張しました。
消息筋らは、中央が住民の水害復旧支援への参加を押し付けることによって、チャンマダンでショベル一つの値段が人民元で8元もするほど建材の値段が跳ね上がったとし、水害復旧を口実に中央の貿易機関が住民を相手に金をかき集めようをしていると批難しました。