北朝鮮を離れて自由へ ★イ・エラン★の自由ブログ

いわゆる「脱北者」のおばちゃんです。
北朝鮮の実態を世界の皆さんにもっと知っていただきたく
ネットに挑戦します。

相次ぐ脱北-広範な階層からドミノ脱北-体制異常の兆候

2016-07-29 18:11:33 | 北朝鮮の虚像

昨日から

テレビニュースで北朝鮮人の脱出の件に関するニュースが

やたら多かったです。

今日は連続で5件も報道されました。

もちろん、昨日、今日のことだけじゃなく、

古いものは去年のこともあり、今日になって公開されたということもありますが、

 

5件の脱北ニュースを聞いて、

一つは「こんなに脱北がたくさん行われているんだ」という単純な感想でしたが、

もう一つ注目したのは、

5件の脱北者の身分が労働者から高官まで、全部違って、

幅広い階層で脱出しているということでした。

 

海外に出た北朝鮮人の亡命が目立ち、

海外は北朝鮮にとって脱北のチャンスになるということ。

 

 

北朝鮮労働者3人がマルタから脱北か 2人すでに韓国入り

聯合ニュース 7月28日(木)19時46分配信

 

中国・遼寧省の工場から北朝鮮の女性職員8人が集団脱出

WoW!Korea 7月29日(金)11時44分配信

 

海外の建設現場や工場で働く労働者は割りと低い階層といえますが、

それにしても海外出稼ぎ労働者として選ばれるためには

思想が健全と確認され、当局に賄賂ができるほどの財力は必要です。

特に、海外のレストランで働く人は、

北朝鮮内でかなり身分が高い人々が教育を受けてから派遣されます。

 

北脱営兵5人、中国で武装強盗…銃撃戦の末に2人逮捕

中央日報日本語版 7月29日(金)13時29分配信

 

軍人は、基本的に政権への忠誠心が高く

軍事力としてだけじゃなく、労働力としても北朝鮮を支えている人たちです。

 

「数学オリンピックに出場した北の少年が香港で亡命申請」

朝鮮日報日本語版 7月29日(金)9時31分配信

 

英才などこのような国際大会に出る人は、

当局によって選ばれて教育・育成されるエリートです。

18才の少年が一人で脱出をしたという話に、

この子は勇敢でえらいと思いながらも

この子はその瞬間どれだけ緊張して怖かっただろうと思い、

胸が痛いか熱いか分からない感情がこみ上げてきました。

 

 

私が脱北する当時には、

私のような「成分不良」など下流層の人々の脱北が多かったんですが、

最近はエリート階層の脱出が多いとされています。

 

 

頭のいい人ならもっと痛烈に分かっているはずです。

こんな時代にこんなおかしいところはないということを。

 

 

こんなにいろんなところで、

いろんな階層の人々がラッシュのように脱出していることについて、

今回も北朝鮮は

全部韓国当局による「拉致」だと主張するのでしょうか。

世界の皆さんは、一方的な主張より

繰り返されている脱北という事実、ファクトが語っているものに

耳を傾けてくれるはずです。

 

 


相模原殺傷事件の犯人の笑顔から、、、

2016-07-29 15:58:59 | 北朝鮮の虚像

二人の笑み、どこか似ていますね。。。

 

私はひたする北朝鮮のことばかり考えているからでしょうか、、、

どうしても金正恩の顔がかぶって見えてしまいました。

 

 

関連記事】

 

植松容疑者 護送車で笑った…「後悔も反省もしていない」

スポニチアネックス 7月28日(木)7時2分配信



【北ミサイル発射】朝鮮中央放送、ムスダン発射「成功」と報道、金正恩氏「太平洋・米軍への攻撃力保有」

産経ニュース 2016.6.23 09:46



 


大同江(テドンガン)ビールパーティ??

2016-07-26 15:50:22 | 北朝鮮の虚像

 

来月15日から北朝鮮・大同江(テドンガン)で遊覧船ビールパーティを開催するそうです。

 

来月15日から大同江でビールパーティ…新しい外貨稼ぎ?(中央日報)

내달 15일부터 대동강서 맥주축제…새 외화벌이?(中央日報)


【外国人観光客は「大同江ビール」を味わうことを北朝鮮観光のコースの一つにしている】(写真、DPRK360、中央日報)

 

央日報の記事によれば

イギリスの「ヤング・パイオニア・ツアーズ」で発表したらしいですが、

この旅行会社は

以前にも私が

北朝鮮観光=核・ミサイル開発へ投資」なんだから

北朝鮮ツアーをやめてほしいという手紙を送ったことのある会社です。

 

制裁で貿易や金融も封鎖され、

これまで外貨獲得の重要な手段だった

海外労働者の派遣も、

給料の搾取、過酷な労働環境などで非難を受けていたところ、

先日の米国政府の「人権制裁」によってさらに「人権」の側面からの攻撃が強まりました。

あの手、この手、次々と切られている北朝鮮が

次の注力作戦として「観光」を打ち出したようですね。

 

これまでスキー場や、平壌市内観光など観光商品はありましたが、

特産品の大同江(テドンガン)を目玉にした作戦は

かなりウケも良さそうなもので、私としては警戒しなければならないと思っています。

 

 

アイスクリームで「核ミサイル」費用を稼ぐ金正恩氏

高英起  | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト 2016年7月3日 20時14分配信


それにしても、1本1000北朝鮮ウォン(約13円)のエスキモー(アイスクリーム)を売って、統治資金を確保するとは、随分悠長な話だ。そもそも、外貨不足であたふたする前に、金正恩党委員長をはじめとする、指導層の分不相応な贅沢行為を改めるべきだろう。


 

庶民に13円のアイスクリームを売ったお金まで

金正恩のポケットに入っていく状況なんで、

観光収入や他のルートで入ってくる大金は言うまでもないかもしれません。

 

 

金正恩「ミサイルで樹林化を」…北が数千発保有を主張

 

 匿名を求めた政府当局者は「金正恩が2013年末に『全国をミサイルで樹林化すべき』と指示した」とし「北のあちこちにミサイル基地を拡大してきた」と話した。従来の戦力では有事の際に韓米連合軍に対抗するのが難しいという判断に基づき、北朝鮮全域にミサイル基地を建設し、攻撃を受けても別の所から攻撃するシステムを構築しているということだ。 



このように、金正恩は全国にミサイルで「森」を作ろうと、

つまり、ミサイル体制のさらなる拡大を図っています。

これからどんどんお金は必要となります。

そのお金はどこから来るかと考えると、

のんきに大同江ビールでパーティをしている場合じゃありません。

 

 

 



【北朝鮮ニュース】国連COI北朝鮮人権報告書以降にも北の人権侵害「最悪」

2016-07-18 17:17:22 | 北朝鮮の虚像

先週末は、

ある脱北者が北朝鮮で記者会見し、

韓国当局の指示で北朝鮮の子供を誘拐しようとしたと「自白」したとの記事で

頭が痛かったです。

 

今、Huffington Post日本版のブログに

北朝鮮による外国人拉致についてコラムを書いている最中ですが、

北朝鮮の理不尽なでっち上げに怒りと虚しさを感じ

仕事が手につかなかったのです。

 

 

さて、韓国の「デイリアン」というメディアが

国連の北朝鮮人権に関する報告書(いわば「COI報告書」)発表以降、

北朝鮮の人権はどれほど改善されたか調査した結果を報道したので、

その内容を共有いたします。

結論は、「改善されていない」です。

 

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国連COI北朝鮮人権報告書以降にも北の人権侵害「最悪」

 

 

生存権・移動の自由侵害、拉致など人権侵害の事例はむしろ増加

北朝鮮人権記録保存所所長「持続的な人権実体調査・分析を」モニタリングの必要性協調

 

 

国連北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)が、北朝鮮住民の人権侵害状況を調査・分析した報告書を2014年2月に発表したが、以降の北朝鮮における人権状況はあまり改善されていないことが明らかになった。

「北朝鮮人権情報センター」(以下「センター」)は18日、COIが調査した9つの人権侵害項目について報告書発表以降の改善状況をまとめた『2014国連COI報告書発刊以降の北朝鮮人権評価報告書』を公開した。

COIの9つの人権侵害調査項目は △食糧権侵害 △政治犯収容所による侵害 △拷問と非人間的処遇 △恣意的逮捕および拘禁 △差別 △表現の自由侵害 △生命権侵害 △移動の自由侵害 △外国人拉致を含む強制失踪で、センターは独自の統計資料を基に項目別の侵害事例を分析し、北朝鮮内部の現在の人権実体を把握した。

 

この報告書によれば、国連COIの調査以降の2013~2014年、計394件の人権侵害事例が報告された。類型別には、「恣意的逮捕および拘禁」が143件(36.3%)で一番多く、次いで「生命権侵害」87件(22.1%)、「移動の自由侵害」70件(17.8%)、「拷問と非人間的処遇」46件(11.7%)、「政治犯収容所による侵害」24件(6.1%)、「差別」13件(3.3%)、「外国人拉致を含む強制失踪」9件(2.3%)、「食糧権侵害」2件(0.5%)の順だった。

特に、国連COI調査の前後2年間(2011~2012、2013~2014)を比べてみると、生命権侵害と移動および住居の自由侵害、外国人拉致など強制失踪事件の発生率は顕著に増加した。

実際に国連COIの実体調査が行われた2013年を基準に、以前の2年間(2011~2012)の生命権侵害の割合は人権侵害事例全体の14.8%であったが、COI調査が始まってからの2年間(2013~2014)の生命権侵害は22.1%に増え、最も基本的な人権といえる生命権が大きく侵害されていることが分かった。

調査結果によれば、北朝鮮では、即決処刑、実験用殺害および生体実験、拘禁施設での拷問、強制労働による死亡など様々な形態の生命権侵害事件が日常的に生じているとされる。何より、金正恩が執権した以降、張成沢など中核エリートを大挙銃殺するなど政治犯に対する公開・非公開処刑が強化された。

また、「移動の自由侵害」の発生率は、11.4%から17.8%に増加し、北朝鮮で移動の自由と関連した人権侵害が持続的に発生していることが分かった。北朝鮮では主に、国内追放、強制送還、旅行制限などの形で移動の自由と関連した人権侵害が起きている。

COI調査以降、戦争捕虜や外国人などが主な被害対象と報告されている「外国人拉致事件を含む強制失踪」の発生率も増加した。2011~2012年外国人拉致事件の割合は全体の0.8%だったが、2013~2014年には2.3%で1.5%p増加した。

拉致事件は1950年代韓国戦争時期に大規模で生じたが、1960年代以降にも続いた。国連COI報告書の発刊前後の時期にもそれぞれ9件ずつ拉致事例がほうこくされ、強制失踪による人権侵害が依然として行われている。

差別による人権侵害の割合も、COI調査以降に増えた。北朝鮮では出身成分または縁座を理由にした労働権侵害問題が生じており、政治に参加する権利も出身成分によって基準と限界が定められ住民の政治参加の機会も制限されているとセンターは説明している。

COI調査直前には全体の人権侵害事例のうち2.4%が差別による人権侵害だったが、COI調査以降には3.3%とむしろ増加が見られた。

他にも、北朝鮮内で食糧権侵害事件の頻度が最近低い水準を見せている点が特徴である。これは、COI報告書の発表の影響というより、1990年代のいわば「苦難の行軍」時期に発生した大量餓死事件が2000年代に入って大幅に減ったためと分析された。

 

センターは結論として、北朝鮮内部的に食糧に関する人権侵害は改善しつつあるが、公開・非公開処刑など生命権と移動の自由が現在深刻な水準にあると分析した。全体的にはCOI報告書以降に9つの人権侵害項目で目立つほどの改善は見られず、国連の報告書が北朝鮮内部の人権状況に大きく寄与することはできなかったと評価している。

ユン・ヨサン北朝鮮人権情報センター敷設の北朝鮮人権記録保存所所長は、18日開かれた今回の報告書発刊に関する記者懇談会で「全体的に見て、COI報告書発表以降の北朝鮮の人権状況に大きな変化はない」「公開処刑のような生命権侵害事件はかえって増加し、強制移住の事例も持続的に増加している」と述べた。

ユン所長は「報告書が発表されてあまり時間が経過していないため、まだ大きな影響は感じられないが、北朝鮮人権実体を定期的に深く分析すれば相当な成果が期待できると思う」と言い、北朝鮮当局による人権侵害事例の持続的なモニタリングの必要性を強調した。

また、「国連の北朝鮮人権決議案と普遍的定例検討(UPR)の際に、さらに悪化している生命権と移動の自由の状況改善を優先的に北朝鮮当局に求めるべきだ。専門人権団体らがお互い連帯して9つの人権侵害項目に関する詳しい調査・分析作業を進め、人権改善活動をさらに強くやっていくべきだ」と述べた。

 

 


海外の北朝鮮レストラン、続々閉店している中、店員が客引きや接待まで

2016-07-14 18:24:44 | 北朝鮮の虚像

海外の北朝鮮レストラン 春以降に約30店廃業

聯合ニュース 7月12日(火)9時18分配信

 

 

客を待つ北朝鮮レストランの従業員(資料写真)=(聯合ニュース)

 

 

北朝鮮の外貨稼ぎの重要な元だった海外レストラン。

5月に中国のレストランの従業員が集団で亡命する事件以来、

労働者への警備・監視が強まっているそうです。

 

海外レストランで働く労働者は比較的に高級階層ですが、

「高級階級の人が行ける」というのは、

「楽で利益が得られる」、つまり「おいしいところ」という意味です。

 

しかし、そこから衝撃的な集団亡命が起きた理由は、

やはり国際社会の制裁が強まったためです。

 

【制裁強化→レストランの営業が打撃を受けて収益が減る→北朝鮮への上納金減る→北朝鮮当局からさらに圧迫→苦しくて脱出】

といった流れが自然と想像できます。

 

最近は、脱出を警戒する監督もさらに厳しくなったし、

以前集団亡命した脱北者のケースで、

北朝鮮にいる従業員の家族が宣伝・扇動に使われたり、危険になるのを見たため

脱出がより難しくなったと思います。

 

生き残るためにはただただ、レストランの収益を上げるしかない苦の状況ですが、

そんな中、発給の容易な(労働をしてはいけない)ビザを取って違法労働をしたり、

客を呼びこむために、女性従業員が客引きやお酌、スキンシップもさせられているようです。

海外の北朝鮮レストランに行ったことのある人から聞くには、

以前は踊りや歌などショーをしたり、フロアで注文を取って料理を運ぶことぐらいだったそうですが、

最近は一人女性として悲しいことまでさせられているなーと思いました。

 

 

 

 

 

 


米「人権制裁」に対する北朝鮮の反応

2016-07-13 12:44:03 | 北朝鮮の虚像

 

北朝鮮は、米政府の「人権報告書」発表と

「人権制裁対象に金正恩指定」を受け、

米国が北朝鮮の最高尊厳を冒涜したとして

人権制裁の即時撤回を求めましたが、

撤回されないことに反発し、段階的措置を取ると宣言、

その一段階として、

北朝鮮のニューヨーク代表部と米当局とをつなぐ、

いわば「ニューヨーク・チャンネル」を遮断すると米政府に通知しました。

 

ニューヨーク・チャンネルは、国連加盟国の北朝鮮が

ニューヨークに代表部を設立して以来、

外交関係のない米国と北朝鮮をつなぐコミュニケーションの窓口でした。

 

また、ニューヨーク代表部を通じて

今後米・朝間で生じる全ての問題を「戦時法」にそって処理するとし、

北朝鮮に抑留されている米国人問題も例外にならないと通知しました。

 

現在北朝鮮に拘束中の米国人は2人です。

 

 【北朝鮮に抑留中の米国人。韓国系アメリカ人のキム・ドンチョル牧師(左)と大学生オットー/ワームビア(右)】 

写真:VOA (Voice of America) 韓国版

 

 

一角では、米朝間の唯一の対話通路だったニューヨーク・チャンネルが閉ざされたことを懸念する声もあります。

一例として、元国務部北朝鮮担当官のジョエル・ウィット氏は、

1990年代クリントン大統領時代には

「ニューヨーク・チャンネル」を通じて米・朝の接触が活発に行われ、

お互い情報交換や興味深い議論も頻繁にあったと言い、

ニューヨーク・チャンネルの遮断は、

オバマ政権の対北朝鮮政策が望ましくない方向に向かっていることを示すと指摘しました。

 

北朝鮮との公式の対話チャンネルがなくなるのは残念ですが、

一方では、今回のニューヨーク・チャンネル遮断には

大きな意味がなく

対話が遮断されたことで北朝鮮が損するだけだから

北朝鮮が対話を完全封鎖する意味でもないとの見方が強いようです。

 

元国務部政策企画室長のミッチェル・リース氏は、

北朝鮮の今回の発表は「何の意味のない行動」としました。

ニューヨーク駐在の北朝鮮代表部の外交官を全て撤収しない限り

ニューヨーク・チャンネルはそのまま生きているということです。

 

“It means nothing, unless they withdraw entire…”

 

また、リース元室長は、

北朝鮮が今後アメリカからの対話提案を拒否したり、

北朝鮮からの対話要請も一切しなかったりすることは予想されるが、

これは目新しい変化ではないため、

大きな意味がないと話しました。

特に、北朝鮮外交官が国連本部のあるニューヨーク圏域を出ていない状況では

事実上、対話の余地は残っており、

両側の対話はいつでも再開可能だと指摘しました。

このような事情を踏まえて考えれば、

今回の北朝鮮の発表は

アメリカ側に失望感を表すための「象徴的なジェスチャー」にすぎないということです。

 

関連記事↓↓↓↓↓↓

「国務部元高官、「ニューヨークチャンネル遮断大きい意味ない」…「現米国政府の北朝鮮政策間違っている」

VOA Korea(Voice of America)

 

 

 

私も、これが「政治的なジェスチャー」であることに同意します。

私は特に、今回の発表が

「我が民族同士」や「朝鮮新報」のような

海外向けの北朝鮮メディアじゃなく、

官営の「朝鮮中央通信」を通じて

つまり、北朝鮮内の住民向けのメディアを通じて

報道された点に意味があると思います。

 

彼らの表現通り、アメリカの「人権制裁」は

北朝鮮の「最高尊厳」への攻撃です。

しかも、その根拠も「北朝鮮住民」への「人権侵害」です。

 

国際社会で金正恩が「犯罪者」扱いをされていることが

住民らに知られると、「最高尊厳」は大きく傷つけられ

権威は地に落ちます。

 

そして、これまで北朝鮮政権によって搾取、拷問など不当なことをされても

「この苦労は元帥様と北朝鮮共和国の光栄のため」と正当化されていたことが

「人権侵害」「犯罪」になり、

これまで「北朝鮮の英雄-彼を追従すべき人民」の関係が

一瞬にして「被害者-加害者」の関係に変わるのです。

 

そんな危険を冒してあえて国内メディアで発表・報道したのは、

だいぶ政治的な意味があるでしょう。

 

最近の北朝鮮住民は、様々な闇のルートから

外部の情報と接しているので、

このニュースを遮断することはそもそも不可能

だったら、むしろ強気な対応を住民たちに見せることで

まるでアメリカの制裁が不当であるかのように主張し

また、②金正恩政権はこれに屈しないで健在であることを誇張し

ついでに③反米意識をさらに強めて住民の結束を促す

といった作戦だと私は思います。

 

 

私は、今回の発表で、

アメリカ向けの本当のメッセージは

ニューヨーク・チャンネル云々、「対話遮断」ではなく、

「抑留外国人への戦時法適用」に隠されていると考えます。

 

前述したように、

対話を遮断したところ、損するのは北朝鮮で、

はっきり言って負けるゲームです。

 

一方、現在抑留されている米国人を具体例として触れたことは、

これまで何回も見てきた

北朝鮮の典型的な「人質外交」のパターンです。

外国人を抑留しておいて、何かの機会に脅迫カードとして取り出すのです。

こうすれば、裏金か何かが得られるといったことを

北朝鮮は学習してきました。

 

しかし、

他国の国民を交渉の玉にするなんて。。。いかにも非人道的です。

金正恩は今自分がどんな名目で制裁リストに上がったか

理解していないのでしょうか。。。

 

一つ懸念は、北朝鮮が言う「戦時法」というものが存在するかです。

まだ確認されているものがないらしく、

抑留中の2人にどんな処分をするか予想がつかないこと、

そして、明記された基準なしに

北朝鮮がわがままな基準を出してとんでもない処分をし、

アメリカを脅迫したり、抑留米国人を害したりすることが心配です。

 

 

 


米政府、北朝鮮の金正恩氏ら11人を人権侵害で制裁対象に。

2016-07-07 17:31:20 | 北朝鮮の虚像

 

とてもうれしいニュースがありましたね。

皆さん既にご存知かと思います。

 

北朝鮮人権侵害 米政府、初めて金正恩委員長を直接制裁の対象に

フジテレビ系(FNN) 7月7日(木)6時23分配信

 

北朝鮮の金正恩氏ら11人を人権侵害で制裁対象に、米国

AFP=時事 7月7日(木)12時52分配信

 

私は前々から、

【核・ミサイル制裁→北、資金不足→人民搾取など人権侵害深化】といった

負のスパイラルを懸念し、

「人権侵害」に対する処罰、また「人権保護」を目的にした制裁が必要だと思いました。

 

もちろん、「人権犯罪」の観点から見ると、

無分別な処刑、政治犯収容所、拷問などの比重が大きいでしょうが、

住民搾取は、人権の面でも大きな問題になるだけじゃなく、

北朝鮮が核・ミサイル挑発で受けた制裁の圧力を凌げる「穴」または「盲点」になってしまうんですね。

「人権」という面で攻めていかないと従来の核・ミサイル制裁の効果も半減するのが事実です。

 

 

というわけで

米国当局にも、

また国連で北朝鮮人権決議案の採択に毎回中核的な役割をしている日本、EU当局にも、

「実効性のある人権制裁の採択」のために国際社会で協力していただきたい旨を

手紙で伝えてきました。

 

私の手紙で米国が人権制裁を推し進めたわけでもありませんし、

実は、私の手紙を読んでくれたかどうかすら分かりませんが、

とにかく、結果的に、私が念願していたことが実現し、とても嬉しかったです。

 

 

制裁の内容な主に、アメリカ内の資産凍結とアメリカ人との取り引き禁止で、

金正恩の場合、既に偽装名義で資金管理されているでしょうから、

実効性は低いかもしれません。

しかし、金正恩を名指しで人権侵害の首謀者とし、制裁対象に指定したことは、

その象徴性がものすごく大きいです。

 

 

昨日の「中央日報」は、以下のように伝えています。

 

ある重要消息筋は、「核実験やミサイル発射に対する責任追及レベルだった従来の制裁と違い、’北朝鮮=人権蹂躙国家’ ’金正恩=人権蹂躙を主導した犯罪者’という公式、すなわち”ラベル”を付けることに特別な意味がある」と強調した。

この消息筋は「人権関連で北朝鮮に単独で制裁を加える自体が初めてであり、人権制裁対象に金正恩を上げたことは北朝鮮指導部の100人、いや100の制裁を付けた以上の爆発力がある」と指摘した。また、別の関係者は「北朝鮮の”至尊”そのものを狙ったため、北朝鮮の強い反発とともに今後の米朝関係、ひいては南北関係にものすごく大きな波及力を与えると考える」と語った。

 

【中央日報2016年7月6日付。「北朝鮮人権蹂躙」金正恩名指しで…米 初の単独制裁

 

 

今回は、アメリカだけですが、これはスタートだと信じています。

国連のような国際社会コミュニティレベルでの制裁と

それからさらに発展して、金正恩の国際刑事裁判所(ICC)付託まで、

着々と実現していくことを切に願っています。

 

 

 


「電力難解消」を掲げて、住民に「太陽光パネル付けろ」費用は住民負担

2016-07-06 16:13:56 | 北朝鮮の虚像

5月にあった第7回朝鮮労働党大会で、

金正恩は「電力」のことを非常に強調しました。

それもそうです。

電力は国の産業のベースになるインフラなので、

電力の供給が不安定ならば、他の産業での成果も期待できませんから。

【写真:自由アジア放送より(聯合ニュース提供)。国際宇宙停留所(ISS)宇宙人らが東アジア上空を通過する際に撮影した南北の画然と違う夜の風景。北朝鮮地域は平壌などいくつかの地域を除いた大半の地域が電力不足のせいか韓国や中国とは対照的に完全に暗く映り、まるで海のようなイメージを与えている】



6月28日の「自由アジア放送」によれば、

北朝鮮当局は最近、「人民班」単位で中国製電力積算計を新しく設置し、

電力消費を制限しています。

割り当てられた電力を超過消費した人民班には

容赦なく電力供給を中断し、住民の暮らしに大きな支障が生じているそうです。

 

「送配電部で承認した世帯当たり電力消費量は毎月200Wだが

これは照明灯一つとテレビくらい使える量」ですが、

超過基準を「世帯」じゃなく「人民班」としているし、

消費量を超過したら人民班全体に対して一ヶ月間電気供給を中断するため、

もし、一定以上電気を使って他の住民にバレたら

集団批判を受けるようになるそうです。

 

極めて少ない量まで制限していることを考えると、

金正恩政権はまだ「電力難解消」への対策づくりができていないようですね。

産業発展どころか、住民生活もろくにできない状態になるほど電力難が深刻であることがわかります。

しかも、その責任を「人民班」単位に負荷させて

住民同士で監視して疑うようにする仕組みが、とてもずるいと思います。

 

この記事によれば、

人民班で変圧器や電柱、電線などが故障したら

その修理・交替費用も全額人民班の住民たちの負担だそうです。

 

故障の修理どころか、

先日には、同じく「自由アジア放送」の報道に

「北当局は住民に太陽光発電を強要する」との記事もありました。

もちろん、太陽光パネル設置費用は、住民負担。

 

基本的な電力も供給できず、住民の消費量を厳しく制限し、

設備が故障してもそれも知らないふり、

その次は「生産」も住民に強要している次第です。

 

 

 

北朝鮮住民、太陽光パネル設置指示に不満(ハングル記事)

북 주민, 태양전지판 설치 지시에 불만

 

【写真:自由アジア放送より(聯合ニュース提供)。北朝鮮の電力難を反映するかのように、太陽光発電設備が付いている平壌の住宅地区】

 


金正恩労働党委員長が劣悪な北朝鮮の電力難を解消する目的で太陽光パネルの設置を奨励しているそうです。しかし、負担が大きく、住民の不満が充満しています。


金正恩労働党委員長の太陽光資源活用の指示が住民の負担を増大させているということです。


平壌の事情に詳しい中国の貿易業者は「病院や郵便局、学校など1級施設に太陽光パネルを設置するよう中央からの指示があり、単位ごとに職員と学生らからお金を集めている」と7月1日自由アジア放送は報じました。


消息筋によれば、金正恩委員長は軍部傘下の総合病院を視察する時「手術室と分娩室、救急室に必要な電気を太陽エネルギーで保障しろ」と支持し、温室を訪問しては「太陽熱で温度を保つ方法を研究しろ」と指示するなど、現実性に欠ける指示を連発しているそうです。


各病院は、金委員長の指示を受け、手術室と分娩室に供給する非常電源を太陽電池で確保するために太陽光パネルを購入、設置しています。


10代をスイス留学を過ごした金委員長が、進んだ西ヨーロッパの国々のように北朝鮮をクリーンエネルギーを利用する先進国に一気に跳躍させる構想をしていると消息筋は説明しています。


金委員長は、現在平壌市一帯に建設中の大規模住宅団地「ヨミョン住宅街」にも太陽光パネルを取り付けるよう指示したとされています。


しかし、実行する住民の負担は相当なものです。消息筋は「太陽光パネルがいいことはみんな知っているが、お金が問題」と不満を隠しませんでした。


彼は「一般家庭の基本照明とテレビが使える程度の太陽光パネルと電池セットを買うに中国元で2千元(320ドル)がかかる」とし、「だが、病院の手術室で使えるパネル・電池を設置するには2千ドルは軽く超える」と話しました。


それに、毎年一回蓄電池を交代しなければならないが、そのため毎年消耗品にだけ数百ドルがかかると彼は説明します。


太陽電池は、夜や曇りの天気には電気エネルギー生産ができないため、昼に生産した電力を貯めておく蓄電池が必要となりますが、この電池を少なくとも一年に一回交代が必要だということです。


現在、北朝鮮の党・軍の幹部らと富裕な資本家は自宅に太陽光パネルを設置し、証明やテレビ、携帯充電などに使っています。


最近平壌を訪問したことのあるアメリカ市民は「北朝鮮関係者が北朝鮮で最近の流れは太陽光パネルだと言いながら支援を求めたが、見積もってみたら2千ドルを超えていた」と自由アジア放送側に伝えました。


この市民は、「平壌の街中心は電気事情が少し良くなったように思えるが、周辺はまだまだ暗い」と言い、「街の街灯の中にも太陽光パネルが取り付けられているものがあった」と述べました。

 

 


【チリ出張のご報告】サンティアゴ大学主催「北朝鮮人権・政治に関する討論会」

2016-07-04 17:22:22 | 北朝鮮の虚像

 

また、人間の尊厳を踏みにじる悲劇がありました。

バングラデシュ、イラク、今朝はサウジアラビアでも

テロが相次ぎ、無辜な市民の死傷被害が出ました。

日本人の方も犠牲になったというニュースに

言葉では表現しがたい怒りを悲しみを感じます。

 

主に北朝鮮住民のために人権運動をしているのですが、

その根底には、人間はみな平等であること、

そして、世の中の誰も自分の目的と欲望のために

他人の安全と権利を軽んじてはいけないということです。

 

こんな凶悪な事件が日に日に残酷性を増した形で起きているのを見て、

私の人権運動に意味や力がないのではと、虚しくもなりますが、

こんな時こそ、初心、本質に戻って

より声を強めて言うべきことを言い、やるべことをやっていこうと

改めて気を引き締め、

先日のチリ出張の件をここで報告致します。

 

 

【討論会の様子、写真:自由アジア放送(RFA)】

 

 

チリのサンティアゴ大学韓国学センター

北朝鮮人権に関する討論会を開催しましたが、

私も招待されて行ってきました。

発表というより自由にディスカッションできる雰囲気で

私も北朝鮮での経験や人権活動をするうちに知った事実、自分の考えなどを

述べる機会がありました。

なお、チリの人権委員長をはじめとした

中南米地域で人権分野で力を注いでいる方々の貴重なお話が聞けて

とても有意義な出張でした。

 

 

自由アジア放送(RFA)でこの件を報道(ハングル記事)してくださったので、

下記、記事の日本語訳を付けておきます。

 

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칠레 인권위원장 “김정은 정권 ICC제소해야”

チリ人権委員長「金正恩政権 ICC提訴すべき」

 

チリのロレナ・フライズ(Lorena Fries)チリ国家人権委員長は、チリのサンティアゴ大学韓国学センターが28~29日両日間開催した北朝鮮人権と政治などに関する討論会で「金正恩政権を国際刑事裁判所に提訴し、人権蹂躙の代価を払わせるべきだ」と見解を示しました。

フライズ委員長は討論会で、北朝鮮における惨めな女性人権侵害と政治犯収容所の実体、公開処刑の目撃談などを語る脱北女性「イ・エラン」博士の話を聞いてこのように述べました。

討論会には、アンドレス・サルジバル(Andrés Zaldivar)元チリ上院議長や、1960年代北朝鮮留学中に北朝鮮当局の金日成偶像化に対する批判発言をしたとして収容所に収監されたチリ人エデゥアルド・ムリジョ・ウガルテ氏などが参加しました。

一方、北朝鮮専門セブサイト「38ノース」を共同運営するジェニー・タウン氏は、討論会で海外に派遣された北朝鮮労働者の人権実体の深刻性を指摘し、国際社会の関心を呼びかけました。

本討論会を主催した韓国学センターのロドリゴ・アルバレス先任研究院は、自由アジア放送に、中南米人、特に若い世代は「韓流」など韓国の文化には関心が高いが、北朝鮮の人権などの政治問題には関心が低く、今回の会議を機に深刻な北朝鮮人権の実体を知らせたいと述べました。

本討論会を開催した参加大学韓国学センターは、チリに韓国学を普及・振興する目的で韓国学振興事業団と駐チリ韓国大使館の支援で2014年12月設立されました。

 

 


北朝鮮集団脱北と対北朝鮮制裁について

2016-07-01 14:41:44 | 北朝鮮の虚像

5月のことですが、

4月中国にある北朝鮮レストランの従業員の集団亡命を受けて

韓国の「自由経済院」主催で

対北朝鮮制裁は断固たるものであるべき:集団脱北現象の評価と展望」というテーマで討論会がありました。

 

私も簡単な発表をさせていただきましたが、

集団脱北に関する展望と対策」というタイトルでした。

 

集団脱北の背景を探るために、

過去の脱北の原因の分析とその変化について触れ、

強まっている北朝鮮への制裁と集団脱北の関連性について私の見解を述べさせていただきました。

 

発表に合わせて作成した小論文を翻訳しましたので、

ここにも一部共有させていただきます。

 

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2.脱北の経過と原因

 

1995年以前までは北朝鮮の一般住民が脱北するということは事実上想像さえできないことだった。まず、北朝鮮住民には韓国に対する常識的な情報さえなかったほか、配給制による通行制限や居住地制限などの統制によって一般住民が中国や北緯38度線沿線に移動するのが非常に難しかったからである。

 

しかし、金日成(キム・イルソン)死亡後、北朝鮮に大規模な飢餓が発生し、北朝鮮当局が「苦難の行軍」を宣言した1995年になると食糧購入のための脱北者の鴨緑江、豆満江での渡河が急増し、これが大規模な脱北につながった。当時は、北朝鮮から脱出して中国に渡る北朝鮮住民が一年にして数万人に達し、配給制度が崩壊した北朝鮮政権は脱北した北朝鮮の住民らに対する調査をすることさえ簡単ではなかった。「脱北者」という用語が一つの固有名詞として韓国社会で本格的に使われはじめた時期も1995年からである。

 

▲ 入国現況表(16年3月末入国者まで)(単位:名)/資料:韓国統一部


▲ 北朝鮮での職業(16年3月末入国者まで)(単位:名)/資料:韓国統一部


 

北朝鮮で大規模な脱北が発生したのは金日成主席死亡後、深刻な食糧難が始まったのが最も大きな理由だった。1994年以降、中朝国境地域では生活の基盤を失ったいわゆる「コッチェビ(浮浪児)」と呼ばれる人たちの大規模な脱北が起きた。1995年以降、両江道(ヤンガンド)の恵山(ヘサン)では毎日のように中国に脱出した脱北者を強制送還したほか、中国政府は最初は丸太0.8立方メートルを貰う代わりに脱北者を北朝鮮に送らせていたが、脱北者が増え続けることによって条件無しで脱北者を北朝鮮に送らせた。

 

一方、配給制度が崩壊して市場が登場することで、生存のための違法な経済活動や体制の崩壊に対する不安などによる一部の高官の脱北も起きていたが、当時は北朝鮮からの脱出ルートが設けられておらず、北朝鮮住民の韓国社会に対する信頼も高くなかったため、高官の大規模な離脱は行われなかった。

 

1999年以降、脱北者の定着支援金額が大幅に増えることで脱北を斡旋する脱北ブローカーが登場し、脱北者の定着支援金を保証金としている脱北と韓国への入国が大々的に進められ、一年に約3,000人以上が入国する大規模な脱北が行われた。

 

このような過程の中で最悪の状況ではあるが、人身売買という中国での滞在が比較的自由な北朝鮮の女性たちの脱北が大幅に増え、脱北者の80%が女性であるといういわゆる「脱北者女超時代」が到来した。脱北者女性が大幅に増えることで登場した新たな現象は家族単位の脱北だった。北朝鮮から脱出して韓国に来た脱北者女性は定着支援金やアルバイトをはじめとする自ら働いて稼いだお金で北朝鮮に残っている家族を脱出させるリレー式の企画脱北現象が起き、その結果、韓国には現在約3万人の脱北者が生活するようになった。

 

したがって、1990年代初期までは軍事境界線やロシアの伐木作業者、海外派遣者など、ごく少数の脱北者だけが韓国に入り、年間平均5~6人の脱北者が入国していたものが、2001年には1,043人が入国し、年間入国脱北者が初めて1,000人を超えたほか、2006年には2,028人、2009年には2,914人に増加するなど、韓国に入国する脱北者の規模は2000年から2009年までの10年間増え続け、それこそ大規模な脱北が起きるようになった。このような状況により「近いうちに年間入国脱北者が5,000人を超える」という予想が力を受けその結果、第2の「北朝鮮離脱住民の定着支援事務所(ハナウォン)」を増築した。

 

1990年代半ばまでは殆どの脱北者が男性であり、単独で入国していたが、脱北者の大規模な入国とともに家族単位の脱北が増えるようになってほか、脱北者の80%以上が女性である不思議な現象が現われるようになった。 

 

このような大規模な脱北の原因は何よりも配給制度の崩壊や市場体制の登場による体制変化の中で、国家の統制の下で集団的に進められていた生存のための経済活動が配給制の中断とともに個人的な活動に転換され、個人の通行が活発になったことだ。

 

配給制が実施されていた当時は旅行証明書がなければ絶対に列車に乗ったり、市外バスに乗ることができなかったものの、食糧購入を前提にする大量移動が起きると北朝鮮当局の統制システムは崩壊し、崩れた通行制限システムを利用してより多くの人が国境地域に押し寄せるようになったほか、国境地域に集中した人々は再び中国に不法渡河することになった。

1995~1997年の間、中国の長白朝鮮族自治県と接している両江道恵山では恵山橋でほぼ毎日のように約150人の脱北者が強制送還されたが、最初は強制送還された脱北者があまりにも多く、管理に手が回らずそのまま訓戒放免措置をしたが、再脱北が増え続け、その後は処罰を強化して労働鍛錬隊や最悪の場合は政治犯として強制収容所に入れられていた。

 

筆者が生活していた両江道恵山の駅前の旅館5階には強制送還された脱北者を収容する新しい形の収用所が誕生したが、この時の処罰方法は駅前の旅館に強制収容し、同じ地域つまり、咸鏡南道(ハムギョンナムド)、黄海道(ファンへド)、平安道(ピョンアンド)など、列車の行き先が同じ地域の北朝鮮住民が列車1両に納まくらい集まれば、特別列車を編成して送り返していた。しかし、すでに居住地を離れる時、すべての生活手段を処分して住む所のない(コッチェビ)脱北者は一週間も経たないうちに再び命を維持できる国境地域や中国に移動するしかなかった。

 

このように国境地域や中国でお金を稼ぐことができ、食糧を購入できるといううわさが広がり、国境地域に集まる脱北者が急増するようになり、中国に出稼ぎに行ったり、食糧購入のために国境警備隊にお金を渡して鴨緑江や豆満江を渡るようになったが、実際に中国でのお金稼ぎは簡単ではなく、中国公安の取り締まりが強化され、強制送還されるケースが増えるようになった。

 

時間が経てば経つほど、北朝鮮から脱出する脱北者が増え、強制送還された脱北者に対する処罰も強化されることにより、脱出者の唯一の希望は韓国行きになったほか、女性の場合は人身売買を通じて中国公安の取り締まりは少し避けられるが、相次ぐ取り締りや強制送還のため韓国行きを選ぶことで、脱北者の大規模な韓国入国の時代が開かれるようになった。

 

 

3.北朝鮮に対する制裁強化と集団脱北の関係

 

1995年から北朝鮮住民の大規模な脱北は始まったが、北朝鮮を脱出した大規模な北朝鮮住民が大韓民国に入国するようになったのは1999年以降からであり、最初は単独入国が主流だったが、時間が経つにつれ家族単位の入国が増えることになったが、このような現象は食糧難や経済難により疲弊した政権や権力を受け継いだ金正恩(キム・ジョンウン)にとって最大の足かせになった。

上記の統計結果でも分かるように、咸鏡北道(ハムギョンブクド)地域、特に穏城(オンソン)、茂山(ムサン)、会寧(フェリョン)などの地域ではソウルで同じ中学校出身の同窓会が開かれるほど多くの北朝鮮住民が脱北しており、ソウルで北朝鮮で同じ町、同じ職場、同じ学校の出身に会うのはそれほど珍しいことではなくなった。

 

韓国に入国した脱北者は厳しい生活状況の中でも北朝鮮に残っている家族を探すため、自分らが経ってきたルートを再び家族を連れてくる脱北経路として利用し、携帯電話を利用して北朝鮮の家族と連絡を取りながらお金を送り、北朝鮮に残っている家族を脱出させることに積極的になり、北朝鮮住民の間では脱北者家族に対し、新たな羨望を抱くようになった。つまり、大規模な脱北と大韓民国で脱北者の存在が台頭し始め、それは金正恩政権の崩壊を促す時限爆弾のような存在になった。そのため、金正恩は執権初期から脱北者の公開処刑や脱北者家族の3代を滅族させるという残虐な粛清制度を実施し、脱北を防ぐため新たな施設物の工事まで大々的に繰り広げることになった。

 

それと共に金正恩は韓国に来た脱北者を脅迫・恐喝したり拉致して北朝鮮に連れ出し、大きな記者会見を開き、韓国に対する非難に熱を上げているが、現実的には大きな成果は得られていない。一部の脱北者によると北朝鮮の一部地域では「朝鮮民主主義人民共和国国家安全保衛部」のメンバーが脱北者の家族に対し、家族が脱北して韓国にいるということを周りの人に知らせないように強要するという。そして、最初は北朝鮮に帰還した脱北者を記者会見に参加させることで一応注目は集めたが、時間が経つにつれ、むしろ韓国に対する好感度を上げる結果をもたらしたため、最近は記者会見を開いても北朝鮮の住民には見せず、韓国に対する心理戦として「わが民族同士」というメディアにのみ登場させているという。

 

韓国に保守政権が発足し、北朝鮮の挑発に対する原則的な対応が強化され、金正恩は新たな外貨稼ぎの手段として人材の輸出を拡大することになったが、1990年代までも数少なかった北朝鮮の食堂は雨後の竹の子のように増え、北朝鮮の外貨稼ぎの窓口として大きな役割を果たすことになった。事実上、北朝鮮の海外食堂の最大の顧客は韓国人だったため、韓国政府の北朝鮮に対する制裁強化により、食堂を訪れる韓国人が減ると現在、北朝鮮の海外食堂は軒並み倒産しており、海外で仕事を見つけて外貨稼ぎをして金正恩の懐をを暖めながら、自分のためお金を貯めていた北朝鮮の海外派遣者にも大きな打撃になったのは事実だ。

 

韓国の歴代政府が実施していた「太陽政策」などの北朝鮮に対する温情主義政策は結果的に誤った政治体制を維持させ、さらに北朝鮮住民を長い間、苦しませたことから最悪の政策といえる。一部の統一学者、統一の専門家らは北朝鮮の経済発展を通じて政治体制を変えなければならないと主張し、交流や協力を主張するが、北朝鮮の経済があれほど大きく崩壊したのは北朝鮮の誤った政治体制のせいであり、したがって、北朝鮮の首領王朝政治体制をそのまま受け入れ、経済交流や経済協力を進めるというのは到底不可能なことなのだ。

 

北朝鮮に対する制裁が強化されればされるほど、北朝鮮の首領王朝の権力をめぐって忠誠を誓った勢力に対する対内外の圧迫は強まり、北朝鮮の忠誠を誓った勢力の忍耐にも限界が来ると見られる。最近、金正恩の外貨上納への圧力や処罰のレベルが高まり、北朝鮮の外貨稼ぎの労働者や海外派遣者、外交官出身の脱北が頻繁に起きている。

 

北朝鮮は現在、中朝国境の警備を強化しており、一般住民の脱北を防ぐために血眼になっているが、北朝鮮に対する制裁措置が強化されれば、軍隊に対する食糧やエネルギーなどの供給に支障を来たすことになりそれによって、国境警備の責任を負っている軍人の逸脱が激化するため、北朝鮮に対する制裁措置の効果は中朝国境と海外に派遣されている人々の脱北を加速化させる方向で現れるだろう。

 

しかし、韓国の「太陽政策」の支持者や一部の従北勢力はすでに北朝鮮に対する制裁措置の効果に対し無用論を提起したり集団脱北を国政院の仕業だと事実を歪曲し、対北朝鮮支援、対北朝鮮交流, 南北会談を云々とし、北朝鮮に対する制裁措置の評価を下げようとしている。

 

4.結論

 

現段階で、北朝鮮労働党の最優先課題は北朝鮮に対する制裁措置を無力化し、再び対話と交流の煙幕作戦を繰り広げ、一方では核を開発して、他方では韓国国内での対立を極大化させる戦略を取り、大韓民国の国内政治に積極的に介入し、総選挙や大統領選挙を掌握することであり、選挙を通じて大韓民国の権力を北朝鮮の自治政府の権力に転落させて韓国国民の税金を、北朝鮮が利用することだ。

 

現在のように北朝鮮の核兵器の発展は言うまでもなく、大韓民国政府の無差別な北朝鮮への送金や支援、そして北朝鮮の政治犯をはじめとする北朝鮮住民の人権侵害を通じて実現した。

 

大韓民国政府と大韓民国の国民はこれ以上、従北勢力の扇動や北朝鮮のゴロ集団の脅迫に振り回されてはならず、国際社会と協力して強力な北朝鮮に対する制裁措置を取ることで、金正恩に忠誠を誓った勢力の離脱を誘導し、北朝鮮住民の自由と民主主義、そして生存権のための戦いを積極的に支援しなければならない。

 

核兵器のない世界は、金正恩の受領王朝世襲政権を終わらせた時のみ可能となり、王朝世襲独裁政権を自由民主主義と市場経済体制に変える時のみ実現できる北朝鮮住民の解放運動であり、北朝鮮を自由民主主義と市場経済体制に導く方法だ。

 

単独の脱北が家族単位の脱北につながり、集団脱北へ発展しているということから、4月7日に起きた集団脱北の意味は大きいものであり、このような事実を北朝鮮住民に広く知らせることも非常に必要なことと考えられる。

 

確かなのは、北朝鮮住民らが独裁政権に抵抗して対抗できる唯一の方法は脱北であり、大韓民国政府と国民は脱北者を食料がなくて飛び出してきた難民とみなすのではなく、北朝鮮の金正恩独裁政権に抵抗して脱出した亡命者と認識し、脱北者らが一日も早く故郷に戻って北朝鮮でも韓国よりさらに自由で、豊かな自由民主主義と市場経済体制を実現できるよう助けなければならないということだ。

 

つまり、北朝鮮に対する支援や南北経済協力、南北会談だけに捉われるのではなく、さらなる集団的抵抗者が金正恩体制から飛び出せるように助けなければならず、彼らが韓国社会からより多くの役割ができるように支援することによって、北朝鮮で一日も早く自由民主主義と市場経済体制を樹立できるように支援することが急務だ。

 

金正恩は核兵器を平和的に無力化できる唯一の方法はまさに集団脱北であり、このような集団脱北はまさに北朝鮮に対する強い圧力や制裁措置を通じて可視化できるということだ。

 

しかし、韓国の第20代国会が選挙公約として唱えてきたように、開城(ケソン)工業団地の操業再開や南北会談、対北朝鮮支援、交流・協力を強調し対立が深刻化すれば、北朝鮮住民らの苦しみはさらに長期化すると見られる。