北朝鮮は外貨獲得の目的で、
労働者を海外に派遣し、彼らの賃金を徴収する方法を使います。
主に、中国やロシア、そして一時期はヨーロッパの一部の国が
北朝鮮労働者をたくさん雇っていました。
しかし、労働者への待遇や労働環境、労働時間、
あと、何より賃金のほとんどを北朝鮮当局に取られてしまうということと
取られた賃金は金正恩側近の豪華な生活か核・ミサイル開発に使われることが知られてから
国際社会は海外に派遣された北朝鮮労働者の人権問題を深刻に考えるようになり、
ヨーロッパを中心に北朝鮮労働者の雇用を規制しはじめました。
でも、中国は依然として「安い」という理由で
北朝鮮労働者を雇っているそうです。
労働者の派遣の唯一いいことというか、、、
ポジティブに考えられるところは、
北朝鮮で遮断と統制の中で外部の世界を知らないまま生きていた人が
海外に出て外部世界と接し、北朝鮮政権の不当性に気づくということでした。
そして、統制が緩んだ隙を狙って他の国に亡命、
つまり脱北に成功する可能性も高くなるということでした。
北朝鮮政権も、海外労働者の相次ぐ脱北が気になるのか
海外労働現場の統制を強化するなどの対策を練る模様でしたが、
脱北と忠誠心弱化の危険性が高いにもかかわらず、
北朝鮮当局は派遣を減らす、または止めることはしません。
それほど、外貨が必要ということでしょう。
以下は、韓国の「Daily NK」が報道した関連記事の和訳です。
====================================
Daily NK 2017年1月31日
「北、海外労働者の脱出可能性にも派遣拡大の動き」
消息筋「北当局、国際社会の人権指摘より金稼ぎに関心…離脱可能性に完全遮断図る」
昨年、海外に派遣された北朝鮮労働者らが自由を求めて脱出をしてきたが、北朝鮮当局はこれを気に留めないように今年中国に派遣する労働者を持続的に拡大しようとしていることが明らかになった。
中国の人件費の上昇と北朝鮮当局の外貨稼ぎへの欲求があいまって、中国に派遣される北朝鮮労働者の数は増加する一方で、北朝鮮当局は韓国政府をはじめとする国際社会の人権侵害に対する批難より、資金源が塞がる可能性に神経を尖らせている模様である。
中国の北朝鮮関連の消息筋は31日、デイリーNKとの電話で「今年も北朝鮮労働者が持続的に増え、吉林省・琿春(フンチュン)に4500人、開山屯(カイシャンドゥン)に100人余りが働いていると聞いた」「最近は中-朝境界地域の東北3省(遼寧・吉林・黒竜江)と山東(サンドゥン)や内陸地域にもたくさん派遣されている」と話した。
また「労働者がこんなに増えている理由は、北朝鮮当局と中国企業が公式に接触をした結果」とし「北朝鮮労働者が離脱する可能性より金稼ぎの可能性に大きな関心をおいている事情が読み取れる」と指摘した。
中国内の北朝鮮労働者が増加する要因として、まず中朝両側の経済利益が挙げられる。中国の立場では北朝鮮労働者を雇ったら人件費を節減できるし、北朝鮮の立場では容易に外貨を稼げるということだ。
これと関連し、中国は2000年代半ばまでは低賃金の強みを全面に押し出して海外企業の投資を積極的に誘致したが、2008年グローバル経済機器と中国企業の環境が悪化するに伴って、もう「低賃金の生産基地」でなくなった。
結局、このような中国の人件費の上昇は中朝境界地域の事業者にまで影響が及んだ。一例として琿春市は韓国・ロシア・日本・ブラジルなどから輸入した水産物を北朝鮮で加工して再搬入するなど、北朝鮮の安い労働力を活用して生産単価を下げるための努力をしている。
消息筋によれば「2007年、中国で保母(家政婦)の人件費が韓国ウォンで約20万ウォンだったが、今は34~51万ウォン程度」「北朝鮮労働者には約17万ウォンほど支払えば済むので中国業者の立場では当然嬉しい」ことだそうだ。
この消息筋は「北朝鮮当局は労働者の賃金の大部分を強制奪取できるから簡単に巨額の外貨を確保できるという面で派遣を拒む理由がないのだ」と指摘した。
また「北朝鮮労働者が実際にもらう賃金は3万4千韓国ウォンくらいだが、20万~25万韓国ウォンを北朝鮮当局が組織的に奪取したのだ」「それでも中国でもらう3万4千韓国ウォンの賃金は北朝鮮では24万ウォンと大金なので(統治資金としてとられるとしても)みんな中国に行きたがる」と説明した。
その中、北朝鮮当局は労働者統制を強化する施策も立てている。「一人二人くらい脱北しても構わないからできるだけ労働者をたくさん派遣しろ」とまで指示を出しているが、相次ぐ労働者離脱によって民心が離れる可能性を懸念する模様である。
消息筋は「中国では工業団地の周りに大きく塀を巡らすことが多い。そうしたら千人または2千人が同じ場所で生活できる環境になるのだ。北朝鮮はこんな形で団地を作れば労働者の離脱監視と外部との接触遮断が容易になると考えたのだろう」と話している。
なお「北朝鮮側が情報の流入および外部との接触を完全に遮断するための動きを続けている。いわば「資本主義の黄色風」が労働者に浸透しないよう完璧な「収容施設化」を図っているようだ」と指摘した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます