タミ画廊

個展、グループ展、二科展等の出品作品を展示。

春季二科展

2018-05-02 18:02:12 | Weblog
2018年4月17日~24日東京都美術館で春季二科展が開催され、会友23名、一般23名が今年度選抜者として出品した。

今回は2回目の選抜展なので、120号位を出品したかったが、キャンバス造りに時間がかかりそうなので、在り合わせのF100で間に合わせた。
にもかかわらず、作品「ラピュタの壺」は、なんと、なんと東京都美術館の一室に展示されていて、思わず我が目を疑った。
今までは、「空の翼」にこだわって8年間も同じものを描いてきたが、そろそろネタ切れしたことと、なにか新しいモチーフにチャレンジしたい気持ちから今回の作品を描いてみた。
特にアンフォルメル絵画を意識したと言う訳でもないが、どこか心の片隅に有ったのかも知れない。
この作品は自分の評価では、あまり出来栄えの良い作品とは思っていなかっただけに、春季賞候補作品に取り上げられた事自体が自分でも信じられない思いである。
悔しいことに次点となってしまったが・・・・。
結果は残念至極だが、春季賞をゲットしたのは、同じ二科会千葉支部の仲間のKさんで、その作品はとても個性的な良い作品なので心から祝福したい。
自分で良い作品と思いこんだ作品が評価されず、自信のなかった作品が意外と好評を得たりして、絵は何をもって評価されるのか未だによく解らない。
次は9月に二科本展が控えている。
会友として初めての出品なので、少なくとも自分自身納得出来る作品を出品しようと思っている。


今回の春季二科展には美術鑑賞会メンバーも見に来てくれた。

友人がこの作品の批評してくれた 。
こんな批評をしてくれる友人がいることに誇りを持つと共に、いつまでも脳裏に留めておきたいとの思いから、ほんの一節を記しておきたい。

「今回の木村さんの作品は、二科では比較的珍しい抽象で、しかも木村さんのセンスが光る美しい作品であったと思います。
抽象画はセザンヌからキュビズムを経て、カンジンスキーやクレー,ミロ等、この世界にある形態の模倣、デフォルメから始まりました。ですからヨーロッパでは何らかの形を連想させて、その中に意味や世界とのつながりを持っていました。
しかし木の枝による空の分割を描いていたモンドリアンがニューヨークに行って、全く幾何学的な抽象になって、アメリカでは形象や意味を離れた絵画が抽象表現主義として流行りました。この運動が製作行為そのものに芸術的意味や社会性を求めるアクションペインティングなどともに、戦後の日本に入り具体美術協会などができて話題を呼び、木村さんの大学時代には関西で影響を受けたものと思っていました。それらは幾何学図形と禅画が混じったようなものと私は理解しています。
しかし幾何学的絵画に反発が起こり、ザオウォーキーのようなアンフォルメル絵画が脚光を浴び、日本でも難波田のような絵画やできましたが、これは東洋的な水墨画に通じる絵画だと思っています。
さて、木村さんは今まで「翼」にこだわって、その「形」のなかで絵作りしてきた帰結として、翼を離れて、なお絵画を成り立たせる本質に迫り、むしろアンフォルメル絵画に近づいたことが今回の成功だと思います。
しかも色や形の美しさだけでなく、私にはコンクリートの地下室の一角、短い階段、差し込む光、その先のさらに暗い暗黒の部屋という、空間を描いた絵画だと思いました。最近はベラスケスなど空間を描いた古典に感心しているせいかもしれません。
以上、絵画美術史おたくの寝言だと思ってください。でも木村さんの高評価は素晴しいことです。今後のさらなるご発展を期待しています。」