弁当日記

ADACHIの行動記録です。 
青年海外協力隊で2006年4月からバングラデシュに2年間住んでました。

バングラデシュのニュース(2022/11/20) その2

2022年11月20日 | バングラデシュのニュース


■見出し(2022年11月20日) No2022-24
〇【ウェビナー】日本・バングラデシュ外交関係50周年記念 バングラデシュ投資サミット
〇バイテク農業の今㊤ アジアで広がる遺伝子組み換え
〇イオンモールが2040年度までに160店舗を再エネ100%へ―
 ―「eco検定アワード2022」大賞受賞
〇サステナ担当リレーコラム:ユーグレナ/ユーグレナには10代のCFOがいる
〇陸上・飯塚翔太、バングラデシュで小中学生指導
 「子どもたちからモチベーションいただいた」
〇【陸上】飯塚翔太がバングラデシュ訪問し子供たちと交流
 「能力高い子がたくさん」モチベーション高め来季の活躍誓う
〇「難民と認めてほしい」軍政の弾圧から逃れてきたミャンマー少数民族の願い
〇ロヒンギャ難民女性に縫製技術を伝授 ファストリとUNHCRが連携
〇バングラに6600億円支援 南アジアで3カ国目 IMF
〇ファストリ、バングラデシュで難民女性の自立支援に1億円拠出
 縫製訓練で布ナプキンを生産
〇バングラデシュで難民の自立支援プロジェクトを開始
 ~ロヒンギャ難民女性1,000名を目標に縫製スキルトレーニング~
〇増える気候災害、その莫大な損失をだれが補償すべきなのか?
 異常気象と温暖化の関係を科学が可視化、気候正義とイベント・アトリビューション研究
〇難民を国際人材に変える。「WELgee」渡部カンコロンゴ清花さんの源流と愛読書
〇女子高生のころは、カエルの解剖が好きでした
〇やる気がなくても仕事をするにはどうすればいいんでしょう
〇【リユースで国際協力!心も環境もエコに】
 『未来の地球に今できること 年末ステナイ大掃除キャンペーン 』
〇MITが優勝、北京大学や東京大学も上位入賞―国際大学対抗プログラミングコンテスト
〇凱旋上映「ありがたい」 鯖江出身・佐々木監督「タゴール・ソングス」福井で公開
〇バングラのIT人材を宮崎に 産官学連携で地域の活性化を図る(前)
〇バングラのIT人材を宮崎に 産官学連携で地域の活性化を図る(中)
〇バングラのIT人材を宮崎に 産官学連携で地域の活性化を図る(後)

ろは、カエルの解剖が好きでした
 https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2211/01/news002.html
 (IT Media 2022年11月1日)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はBFTのUmme Habiba Mim(ウッメ
 ハビバ ミム)さんにお話を伺う。化学に物理、宇宙が大好きな根っからの理系女子なウッ
メさんはなぜ日本を目指したのか。

 国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回はBFTでイ
ンフラエンジニアとして活躍するUmme Habiba Mim(ウッメ ハビバ ミム)さんにお話を伺
った。「分からないこと」に魅力を感じるウッメさんの最初の興味は宇宙、そして次の興味
はなんと刀? 聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当
し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

昔も今も、夢は宇宙飛行士
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) はじめまして。日本語と英語どちらの方がやりやす
いですか?

Umme Habiba Mim(ウッメ ハビバ ミム、以降ウッメさん) 日本語で話したいです。言葉
が見つからないときは、英語で話したいと思います。

阿部川 「言葉が見つからない」という表現が素晴らしいので大丈夫ですね。では、最初の
質問です。お生まれはどちらですか。

ウッメさん バングラデシュのダッカです。バングラディッシュ自体が大きな国ではないの
でダッカもこぢんまりとしていますが、たくさんの人が住んでいるんですよ。

阿部川 日本に来るまではずっとダッカで過ごされていたのですか。

ウッメさん はい。小学校から大学までダッカで過ごしていました。

阿部川 子どものころはどんなお子さんでしたか。外で遊ぶのが好きだとか室内で勉強する
のが好きだとか。

ウッメさん 小学校のときは数学や物理、後は宇宙に関する勉強が好きでした。

阿部川 宇宙! それはなぜでしょうか。宇宙に行きたいから?

ウッメさん はい。子どものころから夢は宇宙飛行士なんです。宇宙は地球(地上)とはい
ろいろなことが異なっていて、私の知らないことがたくさんあります。gravity(重力)だ
って地球では当たり前にありますけど宇宙にはないじゃないですか。あと限りなく広い。広
い、広い、ひろーいので、それに比べると地球はとても小さい。そういうところが好きです

阿部川 なるほど、知らないことがたくさんあるのがいいと。そして、今でも宇宙に思いを
はせてらっしゃる。では理系、要するに数学や物理を一生懸命勉強したのですか。

ウッメさん はい。物理や化学が楽しかったです。特にexperience(体験)する時間が楽し
かったです。biology(生物学)でやるカエルの解剖などの授業も好きでした。

阿部川 解剖は「すごい好きだ」という人と「すごい嫌いだ」という人とに分かれるんです
よね。ウッメさんはカエルを解剖しても大丈夫でしたか?

ウッメさん どう思ったらいいのか分かりませんでした(笑)。ああ、でもゴキブリの解剖
は気持ち悪かったですね……。

阿部川 それは厳しい。解剖以外で記憶に残っている授業はありますか。

ウッメさん 物理だとpendulum(振り子)の実験だとか、chemistry(化学)だと色の変化
を見る実験を覚えています。薬品を混ぜた瞬間に色が変わるのって素晴らしいと思いました

阿部川 薬品を混ぜるといきなり色が変わったり透明になったり、不思議ですよね。理系の
勉強が好きでしたらPCに触るのも早かったのではないでしょうか。

ウッメさん 授業として触ったのは小学5年生くらいのときですね。そのころ私はPCを持っ
ていなかったのですが、イギリスに住んでいるいとこがPCを持っていて、授業でやったこと
について聞いたり「やってみて」とお願いしたりしていました。

「世界が変わっていく中では技術の方が有利」
阿部川 それがウッメさんにとっての最初のPCだったのですね。理系で、PCに触れる機会も
あってという環境であれば、技術に興味を持ちますよね。大学でコンピュータサイエンスを
専攻したのはそういった理由からでしょうか。

ウッメさん そうですね。ナショナルバングラデシュ大学に入学して、建築か技術のどちら
かを選べましたが技術を選びました。興味はありましたし、世界が変わっていく中では技術
の方が有利だと思ったからです。

阿部川 なるほど。大学のコンピュータサイエンスではどんなことを学びましたか。

ウッメさん アルゴリズムとデータベースとプログラミング。コンピュータ技術者に必要な
ものは全部学んだんじゃないかと思います。コンピュータアーキテクチャとデータベースが
特に好きでした。

阿部川 どういうところが好きでしたか。

ウッメさん アーキテクチャについては「プログラム言語」のすごさに心引かれました。人
間には理解できないマシン語でしかコンピュータは動作しないのに、上位言語であれば人間
でも理解できるなんてすごいと思いました。データベースについても同じような感じで「こ
こにデータがあって、このテーブルにデータがあって、こういうときはこれを選択してくだ
さい」という書き方をするとデータベースが出来上がるのが面白いと思いました。

阿部川 そういうのができるとうれしいですよね。

ウッメさん はい。プログラミングについて、その時初めて知りました。一緒に勉強してい
る学生の中には高校生のころからやっている人もいましたが、私の場合は大学が最初でした
。もちろんプログラミングについて聞いたことはありましたけど、データをたくさん見るの
は初めてで、プログラミングってすごいと思いました。ちゃんと書けないと結構大変ですけ
ど、書いたらすぐに結果が出るのは(すごいことです)。

阿部川 書けるようになるのも大変ですけど。でも、書けると結果がすぐ出るというのがや
っぱり楽しいですよね。私も昔はプログラミングやっていて、同じようなこと思いました。
こういうのを書くだけでこんなことできるんだとかなりましたもの。何でこんなにできるん
だとか感動しました。

ウッメさん 宇宙に行くロケットも、数千、数万のコードで動いていると思うとすごさが分
かりますね。

ふと見たアニメで「居合道」に憧れる
阿部川 プログラミングの勉強がとても楽しかったのだと伝わってきます。大学時代は勉強
以外にどんなことをしていましたか。

ウッメさん 空手をやっていました。居合道が好きで、何か近いことを習いたかったんです

阿部川 居合道! どこで居合道を知ったのですか。

ウッメさん テレビでアニメ「るろうに剣心」をやっていたんです。刀がかっこいいなぁと
思って見ているうちにはまりましたね。

阿部川 ただ、居合道そのものではなくて空手なんですね。

ウッメさん そうなんです。習いたくてもバングラデシュには居合道の道場がなくて。中国
のカンフーと韓国のテコンドー、日本の空手の道場はあったので、空手を選びました。最初
は母には秘密だったんです、きっと反対されるので。でも、空手の道着が見つかっちゃって
……(笑)。

阿部川 あらら。それで辞めちゃったんですか?

ウッメさん いいえ。大学在学中はずっとやっていました。学校の近くに道場があったので
、帰るときに(通っていました)。今は土日くらいしか時間がないのでやっていません。

阿部川 せっかく日本にいらっしゃるのですからやってみたらいいと思います。習い事の他
に何かしていましたか、アルバイトとか。

ウッメさん たまにですけれど家庭教師をやっていました。

阿部川 理想的な大学生活ですね。勉強を一生懸命やって、家庭教師で自分にも勉強になる
し、お金も入るし。で、お金が入ったら空手の道場に行くという。楽しかったのではないで
すか。

ウッメさん うーん、今は「楽しかったな」と振り返れますが、当時はそう思わなかったで
すね。小学校や中学校、高校の方が楽しかったと思っていました。小学校から高校まで12年
、ずっと同じ女子校だったんです。(その友達と離れて)結構寂しい思いが強かったからで
す。

阿部川 12年同じ学校で同じお友達で、それが大学に入ったらバラバラになった。ちょっと
寂しいかもしれませんね。コンピュータサイエンスを専攻するくらいですから、将来はエン
ジニアになることを考えていたのでしょうか。

ウッメさん そうですね。バングラデシュで「なりたい職業」として有名なのは医者とエン
ジニアなんですが、医者にはなれないと思っていたので、自然とエンジニアになろうと考え
ていました。

マイクロソフトバングラディッシュや政府プロジェクトに参加
阿部川 もう将来のイメージができていたということですね。卒業して1年ぐらいはバング
ラデシュにいたということですが、卒業して最初の仕事は何でしたか。

ウッメさん 最初の仕事は、マイクロソフトバングラデシュのプロジェクトにインターンと
して入りました。あと、フリーランスみたいな形でちょっとした開発をやりました。マイク
ロソフトバンクラディッシュでは、ドローンを使って消火する――消防の無人機に関するプ
ロジェクトに携わっていました。

阿部川 素晴らしいプロジェクトですね。ドローンのプログラミングをしたということです
か?

ウッメさん プログラミングもありましたし、ドローンを遠隔操作することもありました。
私がいたときは製品化までは行かなくて実証実験のような段階でしたけれども。

阿部川 そういった実験が今後生きてくるんでしょうね。それが積み重なって製品が作られ
るのですから。開発もしていたということですが、どこで開発を学んだのですか。

ウッメさん government(政府)のプロジェクトにプログラミング言語やWebサイトの作成
を教えるコースがあって、そこに参加していたのです。いろいろなプロジェクトがあり、興
味があれば参加する、といった感じで。そこでWebサイトなどの開発をしました。

阿部川 なるほど、そういった活動を1年くらいされて来日されるわけですね。なぜ日本で
働こうと思ったのですか。

ウッメさん そのころ、仕事するか勉強するか、バングラディッシュにいるか海外に住もう
かいろいろ考えていました。悩んでも悩んでも何をすればいいかがはっきりしません。そん
なときにプロジェクトの先生が「JICA(国際協力機構)のプロジェクトに参加して面接を通
ったら、日本の会社に勤められる」と教えてくれたのです。それで「わー、すごい。日本に
行ける! 子どものころから好きな日本に!」(と思って)。

阿部川 そこで盛り上がって決まったわけですね。そんなに日本のことを好きでいただける
と大変ありがたいです。

 憧れの宇宙飛行士になるため、理系の知識を蓄え、自然とエンジニアの道を歩み始めたウ
ッメさんは、さまざまな巡り合わせで日本に渡ることになる。後編は日本とバングラディッ
シュの違いや将来の夢について。

 

■やる気がなくても仕事をするにはどうすればいいんでしょう
 https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2211/02/news001.html
 (IT Media 2022年11月2日)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。前回に引き続きBFTのUmme Habiba Mim
(ウッメ ハビバ ミム)さんにご登場いただく。憧れの日本で働き始めたもののコロナ禍に
突入し、仕事を失ったウッメさん。そこで巡り会った天職とは。

 国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回もBFTのイ
ンフラエンジニア、Umme Habiba Mim(ウッメ ハビバ ミム)さんにご登場いただいた。ウ
ッメさんが「自分にはできない」と感心する、日本のエンジニアの意外な特技とは。聞き手
は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビ
ジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

縁があって来日、しかしコロナ禍に
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) 日本に来る前にJICA(国際協力機構)ではどういっ
たことをされたのですか。

Umme Habiba Mim(ウッメ ハビバ ミム、以降ウッメさん) 仕事ももちろんありましたけ
ど、ITと日本語、ビジネスマナーなどの授業がありました。朝の8時から夜7時くらいまで。
日本語は難しかったけれど、先生と結構仲が良くて、日本語で会話する、ストーリーを話す
のが楽しかったです。だからITの授業より、日本語の授業の方が好きでした。

阿部川 いい先生に巡り会えて良かったですね。JICAでいろいろなことを学び、いよいよ来
日されます。入社されたのはBeydersという会社ですね。どんなお仕事をされたのですか。

ウッメさん Webサイトの開発で、10カ月くらい働きました。でも、コロナで仕事がなくな
って……。

阿部川 いきなり生々しいですね。

ウッメさん それでJICAの人たちに連絡をしたらBFTの人を紹介していただいて、面接を受
けました。

阿部川 縁があったのですね。コロナがきっかけになったと。

ウッメさん はい。当時は「これからどうなるのか」と不安でしょうがなかったんですけど
、今はこの(インフラに関わる)仕事ができてよかったと思います。Webサイトの開発も好
きですけれど「物理的に見えないし、触れないなあ……」といった気持ちがありました。今
は目に見えるものが相手なのでコーディングよりも楽しいと感じます。機器を動かしたりケ
ーブルを結線したり、現地作業が大好きです。まぁ現地作業は疲れるので帰ったらすぐ寝ま
すけど(笑)。いろいろなデータセンターに行きたいです。

ずっと勉強する、それもつらくない
阿部川 小学校、中学校のときと同じように実際にやってみることが好きなのですね。コロ
ナがもう少し落ち着いたら、いろいろな“現地”に行けるんじゃないですか。お話に出たよ
うに「こういうふうにやると、こうなったな」と結果が出るのが、ウッメさんにとって今一
番、楽しいんでしょうね。バングラディシュに戻って仕事をしたい、といった考えはありま
すか。

ウッメさん 里帰りはしていますけど、ずっとバングラディシュで仕事をするということは
、今はあんまり考えていません。日本が好きなので日本にいたい。あとバングラディシュの
会社で働いた経験がないので(不安というのも理由です)。

阿部川 いきなり日本に来ちゃいましたもんね。バングラディシュで仕事した経験がないバ
ングラディシュ人ですね。10年後ぐらいは、どんな仕事をしたいと考えてますか。

ウッメさん まだ知らない技術や分からない技術があるので(それを覚えて)プロのエンジ
ニアになりたいです。技術はどんどん変化するのでずっと勉強は続けないといけません。

阿部川 特にITの業界はずっと勉強し続ける力がないと駄目ですよね。ウッメさんはそれが
楽しいと思っているので、絶対プロになれますよ。それから宇宙飛行士にもならないといけ
ないですからね。

ウッメさん NASA(米国国家航空宇宙局)で宇宙飛行士になるには米国国籍が必要というこ
とでそちらはちょっと諦めています。

阿部川 そうなんですね……。ただ宇宙飛行士自体を諦めることはありません。何か方法あ
ると思いますよ。空手の選手として行くという手もあるかもしれませんしね。

ウッメさん せっかくなので空手よりも居合道がやりたいですね。

阿部川 ぜひやってください。私、外国の方とお話しして「居合」ではなく「居合道」とお
っしゃる方に初めて会いました。「道」がつかないと本当は間違いなんですよ。ウッメさん
が居合道とおっしゃって、ちょっとだけびっくりしてうれしく思ってます。居合道ができる
宇宙飛行士、夢があっていいですねぇ。

やる気がなくても仕事できるのすごくない?
阿部川 日本で何年か働いてみて、独特だな、違うな、面白いなと思うことはありますか。

ウッメさん 違いというと、バングラディシュでは大学で専攻した分野に関する仕事に就く
のが普通です。日本では(他の分野を勉強してきた学生が)会社に入ってから勉強しながら
仕事をする。今まで勉強してきたものではない、全く新しいものでも勉強しながらやってい
くメンタリティがあるのは、すごいと思います。バングラディシュでは採用されるのは基本
的に経験者です。未経験者は仕事に就くのも結構厳しい。でも日本では会社が教えてくれる
のがすごいと思います。

阿部川 それは“お褒めの言葉”ですね。日本は大学を卒業して会社に入ってから会社が鍛
えないといけないんです。これは日本だけですよね、いいのか悪いのかは議論の余地があり
ますけれど。そういう日本のエンジニアと一緒に仕事をして何か感じることはありますか。

ウッメさん 私はやる気(モチベーション)がないと仕事が全然手に付かなくなるんですけ
ど、日本のエンジニアたちは違いますよね。モチベーションがないときでも仕事はきっちり
こなします。「どうやってやってるんだろう」と思います。すごいですよね。

阿部川 日本のエンジンはモチベーションなくても仕事ができるということですね(笑)。
では、ウッメさんのモチベーションは何ですか。

ウッメさん 日本で仕事していること自体がモチベーションになります。その上で、いろい
ろな知らない技術を学ぶこととか、データセンターに行って作業することが楽しいです。4
年たったので来日したばかりのような気持ちとはまた違いますけど、やっぱり仕事は楽しい
ですね。

 お休みの日は旅行したりカフェにいったりしています。日本にはおしゃれなカフェがいっ
ぱいあるので、(インターネットなどで調べては)「ここに行きたい」「ここにも行きたい
」と保存しています。それから、アニメを見たり、登山やハイキングにもたまに出掛けたり
します。

阿部川 最近見たアニメは何ですか。

ウッメさん 『呪術廻戦』です。難しくて全然読めないですけど、かっこいい漢字ですよね

バングラディシュでは雨が降るとみんなちょっと楽しくなる
編集鈴木 バングラディシュでは「大学で勉強したことが直接仕事につながる」というお話
でしたが、バングラディッシュの若者は大学に進学する時点で「自分はこういう職業に就き
たい」ということを決めているのでしょうか。日本だと、何を勉強したいではなくて「取り
あえず行っとこうか」みたいな感じで行く人も多いのですけれども。

ウッメさん そうですね。大学に行く人はやりたい仕事をするために進学する人がほとんど
だ思います。大学に行かない人は大学の勉強がいらない仕事に就いたり、大学では学べない
ことなので専門学校に行ったりしています。一度仕事に就いた後に「もっと上のランクの仕
事をしたい」と勉強し直す人もいます。私の周りにもいました。

編集鈴木 そうなんですね。大学でコンピュータなどを学んでウッメさんみたいにエンジニ
アを目指す女性は多いんですか。

ウッメさん 女性だとどちらかといえば医者の方が多いです。私の友達もお医者さんが多い
ですね。私が通っていた女子高では、1番に目指すのはお医者さん、次にエンジニアといっ
た感じでしたね。それ以外だと海外で博士課程(PhD)を学んでいる人もいます。

編集鈴木 では、最後にバングラディシュのオススメ料理を教えていただけますか。

ウッメさん いいですよ(笑)。ビリヤニがオススメです。他の料理はポラオ(ご飯)と、
お肉やカレーが分かれていますが、ビリヤニはお肉や野菜が一緒に入っています。あと、
khichuri(キチュリー)。豆とご飯を混ぜて作る、黄色いご飯です。カレーや卵と一緒に食
べます。バングラディシュでは、雨の日にキチュリーを食べるんですよ。

編集鈴木 日本だと台風のときにコロッケを食べたがる人もいます(笑)。バングラディッ
シュでは雨が特別なんですね。

ウッメさん はい。バングラディシュは暑いから、雨が降るとみんなちょっと楽しくなるん
です。バクラ(野菜のフライ)やお茶を飲むのも雨の日の楽しみです。

インタビューを終えて ~Go’s thinking aloud~
 中東の女性の目指すステータスのある職業は、医者とエンジニアだと言う。映画には必ず
といってよいほど、成功した、地位ある人として、美しい女性医師が登場する。しかしこの
二つの職業を選ぶことができる人は裕福な家庭の子息に限る。ウッメさんもおそらく良家の
お嬢さまだと思う。

 小さいころから一方的な講義よりも、実験や実習が好きだった。頭で理解するだけではな
く、手足を使って応用する。実は学ぶことの本質的な部分だと思う。アニメ、空手、居合道
と、その興味は尽きない。

 ビジャブがとてもよく似合う。お国では、雨の日は外に出られないから、皆、家でキチュ
リーを食べるらしい。だから雨の日は故郷の味が恋しいと、ほんのその一瞬だけ、寂しげな
顔を見せてくれたが、すぐに照れたように、大きな瞳で笑ってみせた。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)
アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職
大学(iU)教授、インタビュアー、作家、翻訳家

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在
学時から通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベー
ション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非
常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーシ
ョンのトレーナーとして講座、講演を行う他、作家、翻訳家としても活躍中。

 

■【リユースで国際協力!心も環境もエコに】
 『未来の地球に今できること 年末ステナイ大掃除キャンペーン 』
 (期間:2022年11月17日(木)~ 12月25日(日))実施中
 https://www.zaikei.co.jp/releases/1867297/
 (財形新聞)

片方だけの18金のピアス等も寄付に。<寄付対象品> 貴金属類(アクセサリー・腕時計等
)、金券、小型調理家電、本、CD、DVD、ゲーム類 など

  2022年に創立50周年を迎えた国際協力NGO「シャプラニール=市民による海外協力の会
」は、貴金属(アクセサリー・腕時計等)・小型調理家電・書籍などの不要品の寄付を募集
する「未来の地球に今できること 年末ステナイ大掃除キャンペーン」を、2022年11月17日
(木)から12月25日(日)まで実施しています。
 年末の大掃除などの際に出たモノをそのまま捨てるのではなく、不要品が国際協力につな
がる寄付キャンペーンです。21年度はアクセサリーなどの貴金属類だけでも68万円相当の物
品が全国より寄せられました。寄付物品は日本国内の専門業者を通じて換金し、換金額を南
アジアの子どもの教育支援活動などのシャプラニールの活動全般に役立てます。
 「このようなモノが寄付になるのか」と驚く方も多いこの活動。「モノを廃棄」するので
はなく「モノを寄付」をするという新しい消費行動として、多くの方からのご参加を呼びか
けています。

自宅をスッキリさせる大掃除。不要品を再利用、地球環境と子どもたちの未来も守る行動変
容を。


 近年、世界各地で豪雨や干ばつなどの異常気象が頻発し甚大な被害がでていると報道され
ています。国際社会共通の目標、SDGs(持続可能な開発目標)の目標13「気候変動に具体的
な対策を」とあるように、国連をはじめとする国際機関・各国は、廃棄物の焼却などで排出
される温室効果ガスの問題など気候変動の原因と考えられている問題に対しての緊急対策を
講じていますが、現状以上の対策が取られない場合、若者や未来の世代の生活が非常に厳し
い状況に置かれてしまう可能性があるとユニセフが警鐘を鳴らしています
。(https://www.unicef.or.jp/news/2021/0163.html)

 さらには、子どもたちを取り巻く環境が左右されるのは気候変動だけでなく、長引く
COVID-19による経済状況の悪化などによる近年の新たな問題もあります。例えば、経済的・
社会的に脆弱な立場にある家庭がさらなる深刻な貧困に陥ってしまう場合、収入を増やすた
めに子どもを退学させ働きに出したり、結婚させたりし、教育面でも子どもの将来に大きな
影響を及ぼしかねません。

 こうした世界の危機に対して、シャプラニールの事業地の一つであるバングラデシュのク
ルナ県では、地域の青少年グループが社会課題の解消に取り組むチェンジメーカーとして、
持続可能な生活スタイルを実践し気候変動に対する行動変容を促す活動に取り組んでいます
。またネパールのマクワンプール郡マナハリ村では、児童労働に陥る可能性の高い家庭を対
象に児童労働の予防と削減や教育支援を行い、地方行政や住民とともに子どもたちが勉強を
継続できる環境づくりを目指し活動をしています。

 そして日本国内では、11月20日の「世界子どもの日」を前に、自宅から気軽に取り組め、
日常生活から持続可能な社会のために限りある資源を大切に使っていくことを広く市民に協
力を呼びかける本キャンペーンを実施しています。これからの社会を担う子どもの未来や地
球環境を守るため、私たち市民も一人ひとりが自らの生活環境・習慣を見直し行動していく
ことが求められています。

 

■MITが優勝、北京大学や東京大学も上位入賞―国際大学対抗プログラミングコンテスト
 https://www.recordchina.co.jp/b904532-s25-c30-d0198.html
 (Record China 2022年11月16日)

バングラデシュの首都、ダッカにあるアジア太平洋大学を会場に開催されていた、第45回国
際大学対抗プログラミングコンテスト(ICPC)ワールドファイナルが10日に閉幕した。優勝
したのは米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)だった。北京大学、東京大学、韓国のソ
ウル大学も上位入賞した。

ICPC世界大会決勝は、バングラデシュ政府ICTディビジョン、アジア太平洋大学、バングラ
デシュ・コンピュータ評議会、華為技術(ファーウェイ)の共催により6日に始まった。同
大会には70カ国から400人を超える参加者が集まり、所属大学を代表する3人がプログラミン
グの技を競った。各チームは複数のラウンドを競い、最終日の10日に決勝が行われた。

決勝では、MITのチームが出題された12問のうち11問に正解して優勝した。北京大学は10問
に正解した。決勝に参加したチームにはそれぞれ金賞(金メダル)、銀賞(銀メダル)、銅
賞(銅メダル)が授与された。MITと北京大学以外に、東京大学とソウル大学が金賞を授与
された。

ICPC基金会長のウィリアム・ポーチャー博士は、ダッカでのICPCワールドファイナル決勝に
進んだ学生は、ICPCでこれまで競い合った中でも最高の成績を残したとして、「この大会の
人材は非常に優秀でした」と述べた。

また、ファーウェイが後援するダッカICPCチャレンジが副次イベントとして8日に開催され
、各チームがタスクスケジューリングとデータ代入の問題に取り組んだ。

ファーウェイは最新鋭テクノロジーの課題に取り組むためのプラットフォームの創設という
国際大学対抗プログラミングコンテスト(ICPC)の理念に共鳴し、第45回ICPCワールドファ
イナルのダイヤモンドスポンサーを務めた。

ファーウェイ・コーポレート・コミュニケーション部関係者は「ファーウェイは、世界にお
けるデジタルインフラの供給者として、最上級の包括的テクノロジーを提供している。変化
の速い世界で何かを成し遂げようと動き出すために、若き人材が必要なスキルセットとマイ
ンドセットにアクセスできる環境を整えるのが弊社のミッションである。若い人材に優れた
(科学、技術、工学、数学の分野を統合的に学び、将来、科学技術の発展に寄与できる人材
を育てることを目的とした)STEM教育の機会を提供し、彼らが夢をかなえて、世界に貢献す
ることを支援したいと考えている」と説明。さらに「弊社は、若き世代こそが未来そのもの
であると確信している。ICPCは、こうした素晴らしいコミュニティーとプラットフォームを
、若き世代と問題解決能力を持つ優れた人材に提供する場である。これこそが、弊社がICPC
に密に取り組んでいる理由であり、第45回ICPCワールドファイナル・ダッカの運営を担えて
光栄である」と述べた。

ICPCは、学生らがアルゴリズムプログラミングを競う世界で最も歴史が長く権威のあるプロ
グラミングコンテストの一つとして知られる。参加チームは現実世界の課題の解決に取り組
み、協調性、創造性、イノベーション能力を発揮し、さらにプレッシャーに耐えて成果を上
げる能力を向上させる。トレーニングと大会での競い合いを通じて各チームは互いに切磋琢
磨(せっさたくま)し、それぞれの可能性を向上させる。

今年のICPCワールドファイナルに関係した人数は1200人に達した。同イベントは、バングラ
デシュ独立50周年祝賀活動の一つとしても位置づけられた。(翻訳・編集/如月隼人)

 

■凱旋上映「ありがたい」 鯖江出身・佐々木監督「タゴール・ソングス」福井で公開
 https://www.chunichi.co.jp/article/582249
 (中日新聞 2022年11月15日)

鯖江市出身の映像作家で文筆家の佐々木美佳さん(29)の初監督映画「タゴール・ソング
ス」が十二日、福井市の映画館「メトロ劇場」で上映された。二〇二〇年六月に劇場公開さ
れ、県内では初上映。この日は佐々木さんの舞台あいさつがあり、「ありがたい気持ちでい
っぱい」と福井での上映を喜んだ。十二月にも上映が予定されている。
 同作は、非西欧圏で初めてノーベル文学賞を受賞したインドの詩人、ラビンドラナート・
タゴール(一八六一~一九四一年)の歌をテーマにしたドキュメンタリー映画。タゴールは
バングラデシュとインドの西ベンガル州で話されるベンガル語で自然や愛、喜び、苦悩をつ
づる二千曲以上の歌を作詞作曲した。もの悲しさも帯びた歌は、生誕から百五十年を超える
今でも、ベンガル人に愛されている。
 現地で計四カ月間撮影し、タゴールソングの歌手や、かつてストリートチルドレンだった
学生、町で出会った女子大学生らにインタビューし、人々が語る歌を通してそれぞれの人生
を浮かび上がらせた。佐々木さんは「群像劇を通してタゴールソングがさまざまな人の心に
残る様子を伝えたかった」と説明。現地の人にその場でタゴールソングを歌ってほしいと

 

■バングラのIT人材を宮崎に 産官学連携で地域の活性化を図る(前)
 https://www.data-max.co.jp/article/50297
 (NetIB-News 2022年11月10日)

 高齢化、若年人口の減少が進む日本。今後、社会経済活動を維持するための方法の1つが
外国の高度人材の呼び込みと移住促進だ。宮崎市は、この数年でバングラデシュから54人の
IT人材を呼び込んでいる。産官学が連携し、日本語能力を身につけたバングラ人IT人材を企
業に供給する仕組みを構築したことによるものだ。この「宮崎―バングラモデル」について
、企業と人材とのマッチングに取り組んだ(株)教育情報サービスの荻野次信社長、日本語
教育に取り組む宮崎大学国際連携センター日本語教育部門長の伊藤健一准教授に話を聞いた

宮崎に外国の人材を誘致
 若年人口が減少するなか、地方では企業を誘致し雇用を創出することで、若年層の流出を
防ぐとともに、優秀な人材を外から招こうとしている。そのなかで1つの参考事例になるの
が宮崎市の取り組みだろう。宮崎市のIT企業には、この数年の間に新たに54人の、一定の日
本語能力を有するバングラ人IT人材が就職した。一部は家族を帯同、または呼び寄せて居住
している。

 企業の誘致をめぐって、宮崎市ではコールセンターなどの労働集約業務では今後の発展が
見込めないとして、より付加価値の高い、高度な人材が集まる企業の誘致を目指す方針を掲
げた。しかし、そうして誘致した企業のなかには、必要な高度人材を同地で採用できず、移
転してしまうケースもあった。地方での人材不足について、(株)教育情報サービス(宮崎
市、以下KJS)の荻野氏によると、2013年の東京オリンピック招致決定後、首都圏でのIT関
係の求人募集が増え、宮崎市でのIT人材の採用が難しくなったが、それは全国的によく見ら
れる状況だという。

 宮崎市で取り組まれているのは、バングラデシュで日本への就業を希望するIT人材に日本
語教育とビジネスマナー研修を行い、宮崎大学(以下、宮大)への留学およびインターンシ
ップを経て、彼らを宮崎市など日本で就職させるというプログラムだ。宮崎市の企業、宮大
、宮崎市、国際協力機構(JICA)およびバングラの関係機関が連携して進めている。

 バングラはアジアの最貧国とされる一方で、実はIT人材を豊富に育成している。背景にあ
るのはバングラ政府が09年から掲げる「デジタル・バングラデシュ・ビジョン」だ。デジタ
ル関連の人材育成、インフラの整備、行政サービスのデジタル化などに取り組んできたが、
IT人材を含む大卒者に見合う雇用の創出が遅れており、同国の失業率は5.2%(21年、世界
銀行)であるが、IT人材の就職難は深刻な問題であるという。

 バングラを訪問中にその課題に気づいた荻野氏は、バングラの優秀なIT人材を採用し日本
に呼び寄せた。それに宮崎市および宮大の関係者が注目した。3者が話し合うなかで、バン
グラのIT人材を呼び込むことで、各々の課題を解決できると考えた。KJSはIT人材と宮崎の
IT企業とのマッチングを、当時日本語教員養成における海外の研修先を探していた宮大はバ
ングラのIT人材への日本語教育を、宮崎市はそれらに必要な支援とIT企業の誘致を担うこと
となった。JICAが現地での教育を支援するかたちで加わり、B-JET(日本市場向けバングラ
デシュITエンジニア育成プログラム)として17年にスタートした。

宮崎―バングラモデル
 B-JETは、日本での就業を希望するバングラ人のIT人材に5カ月間日本語などを教えるとい
うもの。彼らは基本的には大学のICT学部を卒業したか、ITスキルの資格を保有しており、
同国の大学は英語で講義が行われることから英語力に問題はない。面接で日本企業に採用さ
れれば日本で働くことができる。実際に日本企業で就職するケースが出始めると関係者の間
で口コミが広がり、募集では定員に対し80〜100倍の応募者が集まった。20年までに実施し
た計8回の研修への参加者は計280人、うち修了者は265人、日本企業の内定を得たのは259人
。すでに日本に就職した人は186人(ほかは現地の日系企業などに就職)、そのうち宮崎に
きたのが54人で、東京の約80人に次いで多い。北は北海道から南は九州まで各地に就職して
いる。

 

■バングラのIT人材を宮崎に 産官学連携で地域の活性化を図る(中)
 https://www.data-max.co.jp/article/50308
 (NetIB-News 2022年11月11日)

 高齢化、若年人口の減少が進む日本。今後、社会経済活動を維持するための方法の1つが
外国の高度人材の呼び込みと移住促進だ。宮崎市は、この数年でバングラデシュから54人の
IT人材を呼び込んでいる。産官学が連携し、日本語能力を身につけたバングラ人IT人材を企
業に供給する仕組みを構築したことによるものだ。この「宮崎―バングラモデル」について
、企業と人材とのマッチングに取り組んだ(株)教育情報サービスの荻野次信社長、日本語
教育に取り組む宮崎大学国際連携センター日本語教育部門長の伊藤健一准教授に話を聞いた

    KJSは人材紹介業務を行うために子会社として(株)B&M(宮崎市)を設立、B&Mが宮崎
県のIT企業と彼らとのマッチングを支援するほか、採用を検討する企業向けに現地視察ツア
ーや現地での研修なども行う。宮大は日本語教員を新たに採用し派遣した。宮崎市はKJSな
どからの要望に基づき、「バングラデシュIT人材雇用促進補助金」の制度を設け、同市内の
企業がバングラのIT人材を雇用する際にB&Mに支払う紹介手数料の半額(1人あたり上限67万
5,000円)を支援する。また、バングラから新たな就職者が来日するたびに市長を表敬訪問
する機会を設けることで、彼らに安心感を与えている。

 このスキームの特徴の1つは、彼らが就労ビザを取得しやすくするために留学期間を設け
たことだ。宮大の伊藤氏によると、国際業務経験のない中小企業が就労ビザを求めても発給
は容易ではないが、日本政府が留学生受け入れを促進していることから、まず留学生として
来日し、それからビザを就労に切り替えることは難しくないと判断したためだ。彼らは
B-JETを終え内定を得た後、留学生として宮大にやってきて、3カ月の「日本語×ITインター
ンシップ・プログラム(JIP)が始まる。宮大の寮に住み、日本語の講義を受けながら企業
でのインターンシップに参加する。これは彼らと外国人採用に不慣れな企業がお互いに馴染
むのを促す場としても機能している。

同僚としてのバングラ人
 荻野氏はバングラ人を日本に連れてきたいと思った理由について、高いITスキルのほか、
彼らの気質が控えめで真面目であり、同じ南国の宮崎県民に共通すると感じた点も挙げる。
同国のIT人材や企業、政府機関の人と話すうちに宮崎の風土に合うと感じるようになり、多
くの宮崎の関係者も同じような感想を抱いたという。ただ、時間厳守という観念が弱いと感
じられるが、それは新興国において広く見られることであり、首都ダッカの深刻な交通渋滞
を経験すると理解できなくはないという。なお、B-JETでも彼らに日本での習慣に慣れるよ
う、遅刻についても厳しく管理している。バングラ人が親日的であることも好材料だ。日本
がバングラを西側諸国で最初(1972年2月)に国家承認したこと、政府開発援助(ODA)の実
績がインドに次ぐ2位であることが好意的に受け止められているという。

 荻野氏も伊藤氏もバングラの魅力の1つとして、若さを挙げる。同国の平均年齢は27.6歳
(20年、国連)、B-JETでの内定者の来日時の年齢は平均約25歳で、彼らの大半が20代だ。
今後も若い人材が多く供給されていくと見られる。彼らのうち実務経験を有するのは約半分
。ほぼ新卒でB-JETに参加している人材もいるが、来日後に平易な業務を行いながらスキル
を高めていき、数年後には大いに活躍しているという(荻野氏)。KJSでも3人雇用している

 彼らとの接し方について、伊藤氏は日本人の若者とほぼ一緒であり、お客さん扱いしない
こと、特別視しないことが大事だと強調する。異文化に不慣れな企業では、彼らとの適切な
距離感が掴めず、イスラム教徒だからとお祈りについて過剰に配慮するケースが見られるが
、昼に会議室の使用を許可するくらいで十分という。お客さん扱いでは彼らは疎外感を感じ
続け、受け入れる側の負担も大きい。伊藤氏は企業の既存のサポート体制でうまく対応して
いる事例として、バングラ人の入社時期を日本人新卒と同じ4月に設定している企業を挙げ
る。そうすると彼らは上司よりも同期の日本人社員と馴染みやすいうえ、お互いに助け合う
ため、会社としても過度な対応をしなくてすむという。

 意思疎通において、伊藤氏は外国人がわかりやすい「やさしい日本語」を話すことが大事
だと強調する。日本の国語教育ではわかりやすく書く、話すという教育をしておらず、方言
を交えて話していることに無自覚であるが、外国人が学ぶ日本語とは異なる。それに気づき
、わかりやすく話すことで意思疎通をスムーズにできるという。

 

■バングラのIT人材を宮崎に 産官学連携で地域の活性化を図る(後)
 https://www.data-max.co.jp/article/50309
 (NetIB-News 2022年11月11日)

 高齢化、若年人口の減少が進む日本。今後、社会経済活動を維持するための方法の1つが
外国の高度人材の呼び込みと移住促進だ。宮崎市は、この数年でバングラデシュから54人の
IT人材を呼び込んでいる。産官学が連携し、日本語能力を身につけたバングラ人IT人材を企
業に供給する仕組みを構築したことによるものだ。この「宮崎―バングラモデル」について
、企業と人材とのマッチングに取り組んだ(株)教育情報サービスの荻野次信社長、日本語
教育に取り組む宮崎大学国際連携センター日本語教育部門長の伊藤健一准教授に話を聞いた

外国人の力を借りる
 荻野氏はB-JETを振り返り、約100倍もの応募者が「集まり、多くが日本への就職者が決ま
るとは予想していなかったという。JICAもB-JETを含む「宮崎―バングラモデル」について
、地方創生のモデルケースと位置付けている。

 各段階で成功した理由は何か。B-JETへの応募者の多さについて、荻野氏と伊藤氏はバン
グラの就職難を挙げる。海外での就業の機会がまだ多くないなか、日本企業への就職という
窓口をつくったことは大きい。企業の採用の多さについては、B-JETおよびJIPの計3カ月の
研修でIT人材が一定の日本語能力を身に着け日本のビジネスマナーなどへの理解を深め、企
業が安心して採用できる人材の質を保証できていることだ。コロナ禍で研修をオンラインに
切り替えたが、対面でのスクリーニングも併用し、質の確保に努めている。宮崎市のように
行政が補助金を出し、採用にかかる企業の負担が軽減されたことも大きい。KJSが人材紹介
・マッチングのために設立したB&Mは、人材を採用する企業からの紹介手数料が安定した収
益となり連年黒字となっている。

 コロナ禍で就職内定者が来日しにくい状況が続いてきたが、企業の期待は大きく、内定を
取り消した企業はなかった。来日が半年以上遅れるなどしたが、それまでバングラで仕事を
してもらった企業もある。現在はコロナ以前の状況に戻りつつあるという。

   すべてが順調というわけではない。宮崎にきたものの、残念ながら東京の企業に転職、
あるいは帰国した人材もいる。理由としては、日本人同様に若年層は都会に行きたがること
、彼らの仕送りに頼る家庭が給与水準の高い都会に行くことを望むことだという。荻野氏は
後者を最大の要因として挙げる。出稼ぎ労働者の海外送金はバングラの主な外貨獲得手段の
1つであり、GDPの約5%を占めるほどだ(2017-18年度)。給与などの情報はフェイスブック
などでシェアされてしまう。伊藤氏によると、企業としても転職に対して拘束できればとい
う思いはあるが、法律上禁止はできない。関係者は宮崎で人間関係が構築されて住み続けて
くれることを期待し、バングラ人コミュニティの形成および活動の活発化の支援、日本の高
校生との交流、企業向けバングラセミナーなども行っているが、転職をゼロにはできない。
ただ、転職するのは日本人同様であり、残っている人を大事にするとしている。一方で、東
京に移住した人が宮崎に戻ってくるケースも出ているという。

 今後の日本でのIT人材需給について、みずほ情報総研(株)の報告書『IT人材需給に関す
る調査』(19年)は、30年には約16万人~79万人のIT人材が不足すると予測している。この
後コロナの影響でDXの重要性が増しており、増えこそすれ減ってはいない。同報告書はまた
、17年時点で情報通信業の外国人労働者は5万2,038人であり、供給を増やす方法の1つとし
て外国人IT人材の活用を挙げる。

 荻野氏は「日本の各地で行われているのは国内の人材の奪い合いであり、長続きしない。
外国人の力を借りるしかない」と話す。そしてバングラにはIT人材が豊富にいて、毎年多く
育成され、かつ日本は人材不足であることから、同事業はまだまだ伸びると見込む。ただ、
彼らに注目しているのは日本だけではない。英語力が高いことから候補となる行き先は多く
、非常に優秀なIT人材はGoogleなどに就職している。

 受入れ先の企業について、荻野氏は補助金の対象が県全体に広がることへの期待を寄せる
。宮崎の取り組みに興味を持つ自治体は少なくなく、実際に視察にきた地方議会議員も多い
ようだ。地方創生という点で、宮崎における産官学の取り組みは、参考になるだろう。各地
方の強みと課題は異なるが、それぞれが関係者間で情報と問題意識の共有を図り、資源を持
ち寄ることで、多くの関係者が裨益できる成果を生み出せることを、宮崎が実証している。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バングラデシュのニュース(20... | トップ | バングラデシュのニュース(20... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

バングラデシュのニュース」カテゴリの最新記事