前回『北朝鮮への対応 1』では国連安保理の採択による影響について触れましたが、今回は核戦争という最悪の事態を回避する鍵を握っていると思われる北朝鮮国民への対応について考えてみます。
REBRNより
北朝鮮では政府の許可が無いとパソコンを持つことができませんし、それが許可されたとしてもインターネットにアクセス出来る人は数千人しかいなく、更にアクセスする内容も全て監視されている状態のようです。
最近ではスマホを持つ人も増え、300万を越えるほど携帯電話が使用されているようですが、使用できる範囲が狭いだけでなくインターネットへの接続はできないようになっており、国内だけのイントラネットによって限られた情報が得られるというシステムのようです。
このように北朝鮮では国外からの情報が完全に遮断されていて、国民が知りうる世界に関しての情報は、国から与えられる歪曲されたそれだけで、殆どの国民は真実を知りようがないのです。
私達が目にするテレビなどで放映される北朝鮮国民の姿は、政府のプロパガンダを信じ込み、全国民をあげて将軍様を讃えているように見えますが、実際は不満を抱える国民は多く存在し、各地で暴動が頻発している様子です。ただ、中国と同様に首謀者はすぐに捉えられまともな裁判にもかけられることなく処刑されることで、それぞれ単発に終わってしまいます。
私が不思議に思うのは、どうして世界の国々の要人たちがこの点を重視しようとしないかということです。確かに国と国との諸問題は外交によって解決されなければなりませんが、外交が不調に終わり、もはや軍事力の対決しかないと息巻く前に、北朝鮮の国内からクーデターや多くの国民による総決起行動を起こさせるように仕向ける方が、北朝鮮が国外に向けての砦を強固している現在、国の内部から今の危険な軍事政権を転覆させるために効果があるようにおもえてなりません。
確かに、北朝鮮の国にいる人々に対して他国から情報や指令を与えることは非常に困難なことではあります。が、同じ国民からだったとしたらどうでしょう。
今月11日の安保理決議の中に、北朝鮮の出稼ぎ労働者に対し、各国が新規に就労許可を与えることを禁じることが盛り込まれていました。確かに17カ国前後に派遣されているおよそ10万人の出稼ぎ労働者たちによる収益は北朝鮮政府にとって大きな収入となってはいるでしょうが、その事だけを取り上げて禁止するのではなく、逆に利用しようとはどうして思えないのでしょう。出稼ぎ労働者の中には多くのインテリが含まれているといいます。彼らとしても北朝鮮国外から自国の現状を見て疑問に思わないわけはありません。ですからそのような国外にいる北朝鮮の人々に正しい情報を与え、勇気づけ、北朝鮮に戻って決起する種を与えることも一つの作戦として充分考えられないでしょうか。
日本でも北朝鮮を敵視し、先ほど16地方の地方自治体が朝鮮括弧への補助金支給を中止したり、国による無償化を取り消したりという反北朝鮮の動きが強くなっていますが、これなど全くの見当違いにしか思えません。なぜなら現在の北朝鮮の愚行に無関係な日本にいる北朝鮮人を苦しめても、それによってただ日本への敵対心を深める結果を招くだけだからです。それよりもこういう時だからこそ、この生徒の親たちを勇気づけ、彼らの祖国を正常な国にする為の手助けをすることの方が有効ではないでしょうか。
北朝鮮からのミサイルに対して準備されている124発のPAC3は一発だけでも5億円するといいます。更に安倍総理は防衛費を更に拡大することを明言し、それは過去最大の5兆円を越すもようです。 諸外国へ働きかけ、それぞれの国にいる北朝鮮の人たちを祖国の親族のために動かすことに必要なお金はこれに比べればたかがしれているはずです。
Sputniik日本より
国連安保理の議決にかかわった人たちも、世界の国々から集まったエリートたちのはずですが、彼らもどうして表面的な判断しかできないのでしょう。正面からぶつかったりすれば悲惨な結果になるということは目に見えているはずです。それよりも防御の薄い内側から内部分裂を進めようとはどうして思えないのでしょう。
これまで地球上で多くの戦争が行われてきました。そして戦争は悲惨な結果しか残さないものだということは世界共通の認識のはずです。
戦争を始めるのは簡単です。でも多くの人命の犠牲を伴い完膚なきまで破壊され尽くさないかぎりそれを収束させることはできないのです。その歴史上の教訓を、責任ある世界各国の代表者たる人々はしっかりと頭に描いて、単視眼的な強硬論に流されることなく多面的に見た判断をして欲しいものです。
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