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転換期のカンボジア - 鉄道空港線

2018年07月15日 | カンボジア

 半年ほどで大きく変わったプノンペンですが、その中の一つに鉄道の空港線の開通があります。
 1970年代に首都圏のインフラは殆ど破壊され、鉄道も例外ではありませんでした。
 ポルポトの圧政が終わっても、インフラの復旧には手間取っているようでしたが、旅客鉄道は二年ほど前に西端のシアヌークビル(コンポン・ソム)まで、金土月曜日に4往復程運行するようにはなりました。そしてそれが今年の4月にようやく空港線の開通にこぎつけたという次第です
 ということで今回私は初めてプノンペン・ロイヤル駅を訪れたわけですが、生憎空港行きの列車が出て間もない時のようで、駅員から45分程待つように言われました。元々時刻表などなく約1時間に1本間隔で発車するという曖昧なもので、そのルーズさに呆れてしまいましたが、その理由は、これから乗ってみて初めて理解出来るものでした

プノンペン・ロイヤル駅

 
 

切符売り場と待合室
利用客はまばら
 
 
 
 
 左側に売店、そしてその奥に航空会社のセルフ・チェックイン・カウンターが備え付けられています
 
 
 
 
1時間近く待たされて、ジーゼル機関車に引かれた車両がようやく到着しました。

客車は1両のみ。

 
 
 
さっそく乗り込んでみました。

家庭用エアコンが5台取り付けられてあり、なかなか快適です。
が、乗客はこれだけのようです。

 
 
 

進行方向、のはずですが、機関車が接続されません。

 
 

と、思っていると、そのまま動き出しました。
つまり客車を先頭に逆走するようです。
それにしても、線路上はゴミだらけ。

 
 

本線に入ろうとしているのに、速度は相変わらず自転車並です。

 
 

先頭には、赤いベストを着た女性の係員が来ていて、手にしたトランシーバーで後方の運転手に前方の様子を知らせています。
その間、警笛は鳴らされ続けています。

 
 
線路の敷地内には多くの人びとが居を構えているようで、人や物が行き交います。
時おり犬や鶏が線路上に立ち止まっていることもあり、見ていてハラハラします。
 
 
 
 
車線のあるような道路にはさすがに踏切があり、係員がロープで遮断機を下ろしています。が、列車が50m程に近づくまで降ろさないところもあり、スリル満点です。
 
 
 
 
こうなると列車はストップし、警笛だけでなく、女性係員が前方に向かって怒鳴ります。
 
 
 
 
車窓からは、このような水上住宅も見えます。
 
 
 
このように普段から水に浸かっている場所もあり、スコールでもくれば、たちまち冠水して不通となってしまうことでしょう。
 
 
 
 
このポイントから、今度は機関車を先頭に空港方面へ折り返して行きます。
 
 
 
 
線路は道路と合流し、ここからは路面電車ならぬ路面機関車へと変わります。
 
 
 
 
 
空港前の国道4号線を横切りますが、さすがに遮断機は使えず、信号機と係員で交通整理をしています。
 
 
 
 
無事にプノンペン国際空港へ到着しました。
正面の青い建物が切符売り場で、空港は左側。出口はそちら側しかありません。
 
 
 
 
外への出口はないので、空港が目的でない人達はホームから線路に降りて外へ出て行きます。
 
 
 
 
ホームから見たプノンペン国際空港

ここまでの約7kmで所要時間は約40分。停車時間の5分を加えると往復1時間25分ですから、「1時間に1本ずつ発車する」ことすら難しそうです。車を使うと道路の渋滞時にはこの距離に2時間近くもかかってしまうことを考えれば、この列車は一見利用価値はありそうですが、スコールの後などでは不通となったり道路から離れた場所で車両が動けなくなることも考えられますので、安心してこの路線を利用できるのはまだまだ先のことになりそうです。私は好きですが。
 
 
 
 

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