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2021.10.10 『滝ノ上』(751m)  空知の片隅で長い林道歩き

 樺戸山地から東の方向に目をやると、

空知平野を挟んで『美唄山』を主峰とした、

南北に走る一連の山並みが目に付く。

そして更に目を凝らすと、

その山並みの手前にうっすらと見える影、

それが「滝ノ上」だ。

奥の山々の陰に隠れ、

ひっそりとたたずむこの山が、

ずいぶん前から気になっていた。

そしてその登路について調べてみると、

長い林道を利用することによって、

ピークのそばまで行けることがわかった。

そんな地形図も以前から用意していた。

それで今回思い切って、

長い林道を歩いてみることにした。

 土曜の『鳥越山』敗退後、

最寄りの「つるぬま温泉」で汗を流し、

奈井江町に移動して車中泊とした。

もう夜は寒いくらいになり、

車中泊もしやすくなった。

今夏はエンジンを切り網戸を4枚にしても、

夜も暑くて眠れず車中泊の回数が減ったものだ。

そんな暑さが今は懐かしい。

 日曜日の朝、道々「奈井江~上砂川線」の、

「上砂川トンメル」奈井江側手前で、

右手の「奈江川林道」に入った。

そして1kmほど走った地点の、

広い土場を駐車地とした。

ここには先月も訪れており、

この土場を駐車地として、

「中ノ峯」(三等・386m)に登っている。

 6時05分、駐車地をスタート。

すぐに「奈江川林道」のチェーンゲートが現れる。

ここには車両での侵入は禁止とあるが、

徒歩での入山を妨げる文面はない。

それどころか「入林名簿」が備えられている。

山菜やきのこ採りが多く訪れるのだろう。

当別町の林道に「人の歩行も禁止」、

とあったことを思い出し、

なんだかこっけいに思える。

 ゲートを越えて歩いて行くと、

左手に広い伐採地が現れる。

伐採地の風景は何度見ても飽きない。

長い林道のこの部分は約1kmに渡ってほぼ直線が続く。

そして直線が曲がり出す頃「奈江沢川」に架かる、

林道唯一の「紅葉橋」を渡る。

すると間もなく広い土場が現れ、

その先が伐採した木材の集積場となっていた。

そこには「危険なため立ち入り禁止」、

の立札があったが幸いこの日は日曜日で、

全ての作業が休止して重機も眠っていた。

この木材集積場はどういうわけか、

木を切った時に発生する、

独特の香りがしない。

その匂いはHiromiが大好きなので、

すぐそのことに気がついた。

 その後も林道はほぼ「奈江沢川」に沿って奥へと伸びて行く。

紅葉が徐々に進んできており、

美しい風景も多くなった。

そんな風景を眺めるのにこの林道は広くていい。

それに林道が美しく感じられる。

と、突然「奈江沢川」の中に、

レンガ造りの人工建造物が現れた。

何かと思い目を凝らすと、

それは炭鉱の塞がれた坑口だった。

明らかにコンクリートで塞がれている。

思えばここは美唄市(三菱)と、

上砂川町(三井)という旧産炭地に挟まれたところで、

確かにこの奈井江町でも石炭の採掘が盛んであった。

思いがけないところで、

懐かしいものを目にしたものだ。

 地形図の「304m標高点」で林道は「奈江沢川」から離れ、

山側に高度を上げて行く。

すると突然「バーン!!」

銃声だ!

ハンターが入っている。

我々が歩く林道からではない、

山を南側に一つ越えた辺りから入ったのだろう。

ハンターの入林を想定して、

この日は赤いシャツを着て入山した。

しかし怖い!

鈴をたからかに鳴らし、時々大声を出して進む。

まあま、落ち着かないわぁ~

銃声は一発だけでその後耳にすることはなかった。

おそらくエゾシカを一発で仕留めて、

解体作業に入ったのだろう。

 その後林道は蛇行を続け奥へ奥へと入って行く。

途中で「あれが目指す峰か?」、

と思ったピークなぞどんどん後ろに下がっていく。

Hiromiは前日の沢登りで筋肉痛だとか言っていたが、

歩けばやはり速くて着いて行くのが辛い。

途中610で突然西側の樹木が切れ、

空知平野とその向こうに樺戸山地の風景が広がった。

これには感動し、二人して感嘆の声を上げた。

そんな感動をあとにしばらく進むと、

ようやく目指すピークが姿を現した。

しかしまだけっこう距離があり、

先を急ぐことに。

そしてCo.600でピークの直下に達した。

これを直登すればピークだが、

標高差150mの植生が読めない。

薮が濃ければきついアルバイトとなる。

そこでそのまま林道を進み、

逆の東側に回り込んで高度を稼ぐことにした。

林道はだんだん荒れだし、

前を行くHiromiの姿が見えなくなることも。

そして700まで高度を上げて最後の藪に突入した。

笹はうるさいが茎が細い。

途中北側の風景がまるごと望めるポイントがあった。

見事な眺めを楽しみ、

更に笹を漕いで、

9時30分、三等三角点「滝ノ上」

「滝ノ上」とはこの南側を流れる、

「奈井江川」の名所「不老の滝」の、

地形図上では上にあることから付けられた点名か?

「不老の滝」とは直線距離で1.5kmしか離れていない。

また、HiromiのGPSによると、

駐車地よりこのピークまでは9.5kmだった。

ずいぶん山奥まで歩いたものだ。

バウムの儀式を済ませて下山開始。

ピークから林道へは西側に下ったが、

やはりこれを登路で利用しなくてよかった。

けっこう薮が濃かった。

 林道に下るとまた長い歩行だ。

ただ、おおよそ下る一方なので楽チン!

また紅葉を楽しみながらスタスタ下る。

楽しく下って、

11時55分、駐車地。

久しぶりに長い距離を歩きHiromiも満足そうだ。

予定ではもう一泊するところだったが、

この後雨が降り出す予報なので、

ここで切り上げて帰宅することにした。

そして締めくくりはもちろん「反省会」。

あっ、今年ヘビを目にしたのはこれで12度目だ。

 

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