つれづれすけっち

ワタシらしく。 ワタシなりに。

クライマーズ・ハイ

2008-07-10 21:43:42 | 映画・ドラマ
観てまいりました。
(少々ネタバレします。ご注意を)

堤真一さん演じる悠木を取り巻く、新聞社内での人間関係、利害関係や
社員達の葛藤、報道マンとしてのありかたなどを
日航ジャンボ機墜落事故にからめながら克明に描いた佳作でした。

新聞社内での出来事が、ものすごく緻密に、かつリアルに描かれていたので
観ている側としては、かなりしんどかった、
というが正直な感想です。

でもこれは決して「つまらない」という意味でなく、
あまりにリアルなために、スクリーンの中でのこととして観られず、
あたかも目の前で繰り広げられているかのような錯覚に陥ってしまったため
感じたことなのです。
ここまで描き出す原田監督、スゴいです!
パンフを見たら「金融腐触列島 呪縛」や
「突入!「浅間山荘」事件」も監督されていたことを知り、納得。

で、我らが堺雅人さんですが、
さすがです!!!!!
我ながらボキャブラリの貧弱さには閉口しますが(涙)
この方の演技は観客の期待を裏切りませんね。
というかそれ以上のものを見せてくれます。

堺さん演じる佐山は県警担当のキャップなのですが、
内面に報道マンとしての闘志を静かに、かつメラメラと燃やしている男なのです。
長年の県警担当で培われた経験と取材力を武器に
佐山は事故現場の山に登ります。
疲労と現場の壮絶さを体感した極限状態の中、
ようやく借りられた電話で(当時は携帯なんてない時代だったんですよね・・・)
しぼりだすように現場雑感を伝える様子は、
鬼気迫るものがありました。

結局は、輪転機のトラブルで締切に間に合わず、
佐山の記事は載らなかったのですが、
その怒りが爆発する場面は迫力ありました!

私の予想ではもっとキレまくるシーンが多いと踏んでいましたが、
かなり冷静なキャラでしたね。お得意の賢い雰囲気満載な演技を
堪能させていただきました。

堺さんは何をやってもカッコイイですなぁ。
自転車に乗る姿、颯爽と降りる姿、さまになりすぎ!!
たまりません!!!
事故調査委員会のメンバーと接触するために、張り込み、
隙を見て旅館に忍び込み、猫のようなすばやさで
委員に忍び寄るところなど男の色気が漂います!!
セクスィーです!!
しかし、そんな爽やか佐山なのにズボンのポケットは
小銭がジャラジャラ・・・始終音がしてます。
ちょっと違和感ありますが、昔ってそういうオジサン多かったですよね。
ちょっと懐かしくなりました。

ラストで新聞社を去ろうとする悠木の前で
ジャンボ機に乗っていた男性の遺書を静かに読む佐山・・・
淡々と読み上げることで、絶望の淵での最後のメッセージが叫び声がとなり、
より胸にひびいてきました。
とても印象的なシーンです。

この映画を観て感じたことは
みんな「命がけで生きている」、ということ。
ケンカしてぶつかって、いざというときには
抜群のチームワークで紙面を作り上げていく。
これぞ「生きている」証し。
のらりくらりと生きている自分を恥ずかしく感じてしまいました。
私も、もっとしっかりしなくては。