つれづれすけっち

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「MOZART!(中川バージョン)」観劇記(ネタバレあり)

2005-06-12 14:58:57 | 感激!観劇!
6月7日 梅田芸術劇場 12:30開演
モーツァルト:中川晃教 レオポルト:市村正親
コロレド大司教:山口祐一郎 
ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳 ナンネール:高橋由美子 
コンスタンツェ:西田ひかる シカネーダー:吉野圭吾 
セシリア:阿知波悟美 アルコ伯爵:花王おさむ
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待ちに待った「モーツァルト!」。
初演は観ていないので、今回が初鑑賞。初演の時はスケジュールが合わず観られなかった。仕事帰り、開演中のドラマシティの前を通って「あぁ、観たかったなぁ」なんてため息をついていたっけ。「モーツァルト!」CD(井上バージョン)は持っていたので、歌はバッチリ頭に入っての鑑賞。
ドクトルとコンスタンツェが登場するオープニングは、下手側での演技で結構さらっと流していた。上手側は少し観づらかったし、もうちょっとじっくり観せてほしかった。そして西田ひかるさんの台詞回しがかなりあっさりしすぎなような気がした。
「神の~申し子~♪」からはもう一気にモーツァルトの世界へ!衣装が豪華で観ているだけでも楽しい。劇中の貴婦人のカツラは圧巻!頭に船を載せてたりするからスゴイ・・・(船のカツラは2幕でしたが。あれが当時は流行だったらしい。)シンプルな舞台セットとの組合せがこれまた面白い。
このミュージカルは「エリザベート」と似通った部分を多く含んではいるが、テーマが現実的で非常に分かりやすい。親子、主従、男女、「自らの意志」と「逃れられない運命」という対極した関係が複雑に交錯していくのだ。約250年前の話だが、現代の私達にも通じるテーマで、同じ目線で見られるのがいい。
●中川晃教さん
「SHIROH」で彼の歌声を聴いて以来、中川さんにかなり注目している私。モーツァルトはまさに適役!あの伸びやかで、澄み切った声。ず~っと聴いていたいと思わせる声。天才肌の中川さんとモーツァルトが同化して見えてしまうほどだ・・・2幕後半で見せたあの体を震わせながら半泣き状態になっての演技は、見ているこちらまで引き込まれていた。
●市村正親さん
さすが、市村さんは巧い!!子を思うがあまり過剰なまでに守りの姿勢を貫く姿や、自分の果たせなかった夢を才能あるモーツァルトに託す親バカぶりは現代にも通じるもので、観ていて説得力のある演技だった。「心を鉄に閉じ込め」は聴いていて思わず涙が・・・
●山口祐一郎さん
コロレド大司教、合ってますね。楽曲がすこし単調なので山口さんの声の良さが生かせ切れてないような気もしたが、厳格で迫力あるコロレドを好演。でもトイレの場面って・・・!あんな場面があるとはビックリ。お腹の調子が悪くなった時の演技では観客の笑いをしっかり取っていた。それと召使(愛人?)達といちゃつく「お取り込み中」の場面は、かなり色っぽかった山口さん。モーツァルトに邪魔され、イラついている背中にはけだるい色気が漂っていてこれまたステキ。でも大司教がこんなことしていいの?!あの時代は何でも有りだったのだろうな。私はコロレドが一番人間臭く描かれているような気がした。
●久世星佳さん
CDを聴いていたときも正直「う~ん・・・」だったのだが、生で聴いても微妙だった。さすが宝塚の男役トップだっただけに存在感はあるし、低音は美しいのだが高音が。CDでもかなり危なっかしいところがあったのだが、再演では歌い方を変えていた。「星から降る金」のさびの部分「よーぞーらーの星から降―る」のところなど「よ~ぞ~ら~の」の歌い方が、何だかヘンに放物線を描くような音の下げ方をしていた。これってちょっと・・・それと曲の最後「旅に~出~~る~」のところ。一つ前の歌詞「(険しい道を)超~え~て」から高音になるのだが、CDではここがかなりヤバかった。何と今回は音を下げて(違う音にして)歌っていたのだ!これって歌えないからこう変えたの?俳優の力量に合わせて、曲を変えてしまうというのは納得いかない。ナンバーをしっかり歌える俳優を起用してほしいものだ。
●その他のキャスト
ナンネールの高橋由美子さんはかわいらしいし、歌声もしっかりしていていい。安心して聴いていられる。コンスタンツェの西田ひかるさん。歌は上手いが声が小さく迫力に欠ける。マイクなのでボリュームを調整しているはずだが、聞き取りにくい。全体的に声がこもった感じだったので、パンチがあればもっと良かった。演技はあっさりめ。もう少ししっかり演技をしても良かったのでは。
一番観ていて楽しかったのはシカネーダーの吉野圭吾さん。どうしても「SHIROH」の重ちゃんを思い出してしまうのだが、重ちゃんに起用されたのもシカネーダーがあってのことだし。踊りが素晴らしく、身のこなしも美しい。まさにエンターテイナーを地でいっていて適役だった!