はる日記

「人間万事塞翁が馬」

日々の出来事を綴ってます。

『九つの、物語』

2014-10-31 13:12:47 | テレビ・映画・本
橋本 紡 著

あらすじ。

大学生のゆきなの前に、長く会っていなかった兄がいきなり現れた。女性と料理と本を愛し、奔放に振舞う兄に惑わされつつ、ゆきなは日常として受け入れていく。いつまでもいつまでも幸せな日々が続くと思えたが…。ゆきなはやがて、兄が長く不在だった理由を思い出す。人生は痛みと喪失に満ちていた。生きるとは、なんと愚かで、なんと尊いのか。そのことを丁寧に描いた、やさしく強い物語。

(「BOOK」データベースより)


第一話から第九話まであるのですが、必ず本と料理について描かれています。

話の中に出てくる本のほとんどを読んでいないので、引用された文の意味や登場人物の本音というものが分からず、『九つの、物語』をちゃんと読めたかというと…読めなかったように思います。作中で簡単なあらすじは説明してくれているのですが、読んだことがあるのとないのとでは大違いだなと感じました。読んだことのある本が出てくる話とそうではない話では気持ちが違ったので。

もっと本を読まないとなぁとは思いましたが、泉鏡花や永井荷風か…。今更な気もします。学生時代に読んでおけば良かった。

(; ̄ー ̄A

料理の方は、本に比べて分かりやすかったです。どれもこれも美味しそうでした。美味しい料理やデザートを食べると満たされます。それだけで、人生が豊かになるような。食べることは生きることですからね。

(* ̄∇ ̄*)

読み終わって感じたのは、綺麗な話だなでした。

今から書くことはネタバレを含んでいますので気を付けて下さい。




私としては、間違いとか死とか許しとかが絡んでいるのなら、もっとモヤモヤというかやりきれない感じの方が好きです。哀しみの闇が深ければ深いほど、希望の光の尊さが分かると思うので。

失った命は取り戻すことが出来ません。そして、その方の想いを聞くことも二度と出来ません。遺された人達の多くが、その哀しみを抱えながら生きていきます。生きる為に壊れる人もいるし、自分なりに解釈(泣いていたら天国で悲しんでしまうみたいな)したりする人もいます。その生きる為の人間の本能というか強かさというか、それが希望だったりするのかなと。

(。>д<)

でも、現実はゆきなの方が良いんですよね。ゆきなは幸せだと思います。亡くなったお兄ちゃんから直接言葉を貰えたので。苦しいのは物語の世界だけで十分。

大学生ぐらいの子が読むといいかもしれないです。出てくる本を一緒に読むのもいいかも。

(* ̄ー ̄)