根津美術館の帰り、表参道のスパイラルへふらりと。ほこっと楽しい展示。
NSK100周年記念展示イベント「SENSE OF MOTION あたらしい動きの展覧会」
2016.11.09~11.20
http://www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_2065.html
NSKとは、日本精工(株)という会社で、ベアリングなどを中心に製造しているらしい。
ベアリングとは「軸受」。軸受ってとこからわからない文系人間なのですが(いや文系関係ないか)、もらったチラシによると、「ものの回転や直線運動をコントロールする部品」。さらに、「人間の歴史は「動きの歴史」だ。人は何かを動かしたいと思い、動かすことであたらしい世界を切り開いてきました。」とある。
主催者の”部品”に対する思いが、熱い。
”部品”というと、レオレオーニの絵本の「ぶぶんひん」を思い出す(レオレオーニ「ペツェッティーノ―じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし」) 。 メインじゃない、小さなパーツに人格といとおしさを感じるおはなしなのだ。
展示に戻ると、いくつかの作品がスパイラルの空間に点在。
(申し訳ないことに作者と作品名を忘れてしまった。)
これは固そうですが、押してみるとちょうどいい弾力。そば生地とか粘土生地くらい。
このかるたは、「運ぶ」「動かす」「動く」とかそういったことで構成されている。初めて知ることが多くて面白い。
「リニアの元祖は、ロシアの巨石運搬装置」、「丸太の上に 重いものを乗せてゴロゴロ運んだアッシリア人」とか。
「頑丈な要塞を打ち砕く槌をスムーズに動かした古代ギリシャ人」、図解で見ると、古代ギリシャ人賢い!
人類の原初の「動かしたい」「運びたい」という思いに、思わずぐぐっと力が入る。
これはアートではありませんが、軸受の「あり」と「なし」を、回し較べで体感できる。
「あり」の軽いこと!。ひとしれず頑張ってたのか。妙に感動しました。
人の動きを感知して、横棒が動きます。(奥の人影は足がないけれど、もともとの映像です。)
回転木馬は、自分で回します。木調っぽいかわいいBGMが、タタタ タタ タタタン♪。
そのBGMを聞きながら、いつものらせんの階段のあるホールへ。今日はこんなふうに。
一すじ一すじちがいます。
このあたりは秋だろうか。
らせんスロープをのぼり
上から見るとこんなかんじ
わずかに動いています。
きれいで、嬉しくなってしまった。
他には、阿部公房の「箱男」をイメージしたという段ボール箱があった。かぶるとなにか映像が見えるらしく、大学生らしい男女が、すげ~っとかきゃ~とか大喜びしていた。やってみたかったのだけど、一人で箱かぶってきゃ~とかしてたら恥ずかしいので、勇気が出なかった。
スパイラルの階段踊り場に置かれた椅子。
ここに座って通りを眺めていると、時間忘れます。高層階じゃないのが逆にいいのかな?
槇文彦さんの設計の中でも、ここは素晴らしいと思う。1985年の開館からもう30年。ちっとも古さを感じず、来るたびに心地よい空間だと思う。中で時間を過ごす人の体内的なものを大切にしている建築だと思う。
新国立競技場のザハハディド案がまだ撤回の何のという騒ぎになる前から意見を申し述べた槇先生に対し、それをモーツアルトとサリエリに例えた関西のアナウンサーがいたっけ。開いた口がふさがらなかったけれど、それも過去のことになってしまった。
今日はイベントだったので、館内が騒がしかった。
ふだんは中二階にもいすが置かれているのだけど、今日は椅子が撤去されて、花が咲いていた。
ホールで上から下がっていた花のパーツだ。種がこぼれて、下から芽を出したよう。
かわいいなあ。