春さんのレアトラ、ニセトラ、レアイージーリスニング三昧

レアなサントラやニセトラ、そしてイージーリスニングをご紹介するブログです✨

『赤いブーツの女』la Femme Aux Bottes Rouges(‘74仏伊)

2019-04-29 19:13:59 | 日記
監督=ホアン・ルイス・ブニュエル
音楽=フランク・セザール、ガイ・ルコブスキ

出演=カトリーヌ・ドヌーブ、ジャック・ウェベール、ラウラ・ベッティ、フェルナンド・レイ、アダル・マリア・メルリ

フランソワーズ(ドヌーブ)は若いが才能のある作家だった。だが、誰も彼女を作家だとは思わないだろう。金髪の美人で、そのセクシーな肢体は女優といってもおかしくないくらいだ。
彼女は若い画家の卵リシャール(ウェーベル) と、友人とも恋人ともつかない曖昧な状態で同棲していた。ある冬の日、町の書店に立ち寄ったフランソワーズは、その書店で見知らぬ男が自分の小説の事を問合せている状況を目撃した
。「秘密」という小説は内容が難解なためあまり売れず、出版社もそれほど積極的な姿勢を示さなかったものだった。フランソワーズは自分の著書に興味を示した男に関心をもった。その男は、雑誌社を経営するマルク・ビリエ(メルリ)だった。さらにこの状景をじっと車の中から見つめている一人の初老の男があった。株式仲買人のペルー(レイ)である。彼は以前、偶然に街のカフェでフランソワーズを見ているとき、おかしなことがあったのだ。コーヒーを飲もうとしているペルーの前にフランソワーズが現れた。「お金をちょうだい、いいものをあげるわ」というなりマントを開けると、その下は何もつけていなかったのだ。・・・・・ひょっとするとあれは幻想だったのかも知れないが、以来ペルーはフランソワーズの魔術にかかったように彼女を尾けまわしているのである。そのペルーという男は、芸術にコンプレックスをもっている男で、芸術を憎悪し嫉妬しているが、逆に激しい憧れももっていた。その病的なコンプレックスの裏返しとして彼は芸術家を金で支配できると考えていて、それを実践していた。今、ペルーはフランソワーズにそのような倒錯した愛を抱きはじめたのである。彼はフランソワーズがマルクに興味を持ったことを知り、自分の運転手を使って次々に手を打たせる。その結果、マルクはフランソワーズと強引に結びつけられ、そのゴシップは彼を破滅させる。つまり、錯覚から自分の妻を射殺し、さらに出版社主の立場を追われたのである。やがて、ペルーによってフランソワーズ、マルク、リシャールの三人が彼の別荘に集められ、奇妙な同居生活を始めることになった。実はこの別荘は、ペルーが数人の芸術家を集めて創造させたあげく、殺害してしまったという凄惨な秘密をもっている場所だった。フランソワーズも次の被害者になるはずだったのだが、彼女の超能力がそれを見抜いていたため、ペルーはついに自滅してしまう。今、二人の男を偉物立場に立たされたフランソワーズはクジを二本作り、それによって決めた。彼女はリシャールを選ぶと、リシャールの描いた絵画の中に手をとって消えて行った・・・・・。

監督のホアン・ルイスのブニュエルは、セザール・フランクのクラシック曲をじみに使ったが、本邦公開に伴い、配給会社はベルギーのギター奏者、ガイ・ルコブスキのA Wark in Spanish Gardenを効果的に挿入した。ガイ・ルコブスキは日本ではお馴染みではないが、亡きアストル・ピアソラとも共演したこともある。ヨーロッパでは人気のアーティストである。この曲はのちに再録に伴い、Melody for My Ladyと改題された。おそらく日本のニセトラ史上、一番素晴らしいレコードといっても過言ではなかろう。

Melody for My Lady
こちらがベルギー原盤





なかなか入手できないCD




サントラ盤としてリリースされた日本盤

『チャンピオンズ』CHANPIONS(1984米)

2019-04-28 23:31:15 | 日記
監督 ジョン・アーヴィン
音楽 カール・デイヴィス

出演 ジョン・ハート、ジュリア・アダムス、ベン・ジョンソン、アリソン・ステッドマン

またも難病ものです。実際にあった話で、イギリスでは知らない人が誰もいない位有名な話
。主役のボブ・チャンピオンは癌を克服し、再び相棒の愛馬にまたがり、レースで優勝するという、まあシンプルなストーリーですが、ボブ・チャンピオンの実人生ほど人々の心を熱い衝撃で貫き、揺さぶった実はもないといわれています。クライマックスのグランド・ナショナル大障害レースは、まさに映画史に残る名シーン。

音楽は『フランス軍中尉の女』などのカール・デイヴィス。フィルハーモニア・オーケストラを指揮しておりますが、このエレーン・ペイジの歌う「愛の奇跡」は、テーマ曲に歌詞をつけたイメージソングで、ニセトラとはニュアンスが違うかも。これもなかなか良質なPOPSですな。同じようなカバーリング・イメージソングには、テレサ・マツクスウェルの『殺しのドレス』の「愛のテーマ」などがありますが、この曲もエレーン・ペイジのやや女性の色気を感じる、そして力強い曲に仕上がりをみせてますね。この曲のアレンジはトニー・ヴィスコンティ。

「愛の奇跡」

『ジョーイ』JOEY(1977米)

2019-04-27 17:05:27 | 日記
監督 ルー・アントニオ
音楽 デヴィッド・シャイア

出演 ジェフリー・ライナス、マーク・シンガー、ジェラルディン・S・オルーリン

1973年12月、プロ野球の三冠王など比べることも出来ない程の栄誉だという全米大学フットボール界の最高賞ハイズマン・トロフィーの授賞式が、ニューヨークからTV中継された。受賞者は、ペンシルバニア州立大学のジョン・キャパレッティ。彼のスピーチは副大統領をはじめとする列席者に、自分の父母、兄弟、姉妹を感謝の意を込めて紹介することで終わろうとしていたが、11才の末弟ジョーイを紹介する瞬間に至って、不意に激情にかられた彼は、ジョーイが不治の白血病と戦う身であり、その想像を絶した苦しみに比べれば、自分のフットボールにおける苦しみはなにほどのこともない、トロフィーは弟のものだと叫ぶ。青春の栄誉をたたえる最高の舞台で、ドラマチックに明かされた若者のスポーツに賭ける情熱の動機が最愛の肉親の生命に対する限りない激励であり、その運命の苛酷さに対する怒りの挑戦であったかという事実、その事実が全米を感動させた、泣かせた。

監督はTVの『警部マクロード』『ロックフォードの氏の事件メモ』などで注目を浴びたルー・アントニオ。
音楽はデヴィッド・シャイアが担当。公開当時、日本ではサントラはリリースされなかった。代わりにキャニオンのシネ・ディスクレコードからサントラ・スコア盤がドーナツ盤でリリースされ、関光夫氏の映画音楽番組でたびたびオンエアされたのを覚えている人も多いであろう。キャニオンおかかえのシー・バレンツ楽団の演奏ではないと思われるが、国内録音とはいえ、実によく出来ている。『ジョーイ』愛のテーマと「ジョン・キャパレッティのテーマ」の二曲収録。最近になり、サントラがリリースされた。

『ジョーイ』愛のテーマ

『ザ・カンニング』THE CUNNING(1982フランス)

2019-04-27 14:11:51 | 日記
監督 クロード・ジディ
音楽 ボブ・ブローリー、トニー・レッドフィールド(日本版)

フランスには私立大学がないため、独特の国際バカロレア試験を実施している。この試験に合格しないと、フランスでは大学には入れない
。フランスに限らず、どこの国の大学入学資格取得の試験だという。
舞台はフランスのバカロレア国家試験のための、とある予備校。頭を使わずに楽をして難関を突破しようと、あれこれとアッと驚くカンニングのマル秘テクニックの数々を駆使する若者たちの青春喜劇。

音楽はフランス版ではボブ・ブローが担当しているが、日本公開版のみボブ・ブローリーの音楽と総入れ替えして、トニー・レッドフィールドが書いた主題歌二曲を含むすべての音楽を使っている。トニー・レッドフィールドは、数々の歌謡曲を世に送った赤野立夫氏で、日曜洋楽劇場のテーマ音楽もこの人が書いている。字幕版は日本公開されず、ジャニーズのタレントがほとんどのセリフを日本語に吹き替えている、何ともニセトラをそのまんまにしたような映画。
キャサリンなる得体の知れない女性歌手が歌う「ザ・カンニング・メイン・テーマ」と「ザ・カンニング・サブ・テーマ」は、ウラジミール・コスマを思わす、どこか間の抜けた爽やかさの感じる曲。実際、続編の『ザ・カンニング2』は、ウラジミール・コスマが音楽担当である。

『ザ・カンニング・メイン・テーマ』
『ザ・カンニング・サブ・テーマ』






『天使のともしび』HUGO & JOSEPHIN(1968)

2019-04-27 13:36:35 | 日記
監督 ヒエール・グレーテ
音楽 トルビェルン・ルングクライスト
いずみたく(日本版主題曲)

出演 フレドリク・ベクレン
マリー・エーマン

緑したたるスウェーデンの田園を背景に、優しさと哀しみにみちた子どもたちのさながら一編の詩のように美しく描いた作品。
物質的には恵まれ、何不自由ない生活の中にいても、つねに孤独な寂しさしか味わえない少女と、たった一人で生きなければならないたくましい少年、子どもの頃の純真な心をそのまま持って大人になってしまった男の三人が織りなすさわやかな友情は、大人たちが常に心の片隅に抱いている幼き日のノスタルジー。

音楽はトルビェルン・ルングクライストが担当しているが、この時期はニセトラがブレイクし始めた頃。ここではプロデューサーのイェラン・リンドグレンが、日本公開にあたり、二曲の主題曲をいずみたくに依頼したという。和風ヨーロッパらしい音楽で、セリフも収録されている。「庭番のテーマ」は、この主題曲の同じ旋律のヴァリエーション。
リリースしているのは、フォークやニューミュージック(死語?)を数多く出している東芝エキスプレスレーベル。

こちらはトルビェルン・ルングクライストによるオリジナル・サウンドトラック


『天使のともしび』映画本編



このいずみたく作曲のニセトラ盤は、大柿隆編曲、演奏はY&Oという楽団が演奏していて、曲の冒頭に子供たちのセリフが収録されているが、残念ながらYouTubeにはないので、紹介できずで残念。