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《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

美術修行2012年4月1日(日)-1/第62回記念モダンアート展

2012年04月03日 12時33分43秒 | 美術/絵画
2012年4月3日-2
美術修行2012年4月1日(日)-1

 第62回記念モダンアート展/東京都美術館。
 むろん、一押しは、風間虹樹作品。



 閃光撮影しなかったためか、写真が良くないが、この上下の両者はともに映えるし、この配列組み合わせによる展示が一つのシステムとしても良い。(展示者あるいは展示設計者は、モダンアート協会の人々であろう。)

 

 風間虹樹〈斥力ゆえに世界は切り、裂き、張り、在り、いのち。いのち、、〉












 


 
 図録によれば、受賞作品は上方に展示された菱形の『斥力ゆえに世界は切り、裂き、張り、在り、いのち。いのち、、』である。なお、二点展示は27名26名とのこと。
 色彩の侵入と出っ張りとはみ出し。
 画布が基準となって示す、 空間の捻れと捩れ。

 S50という画布の大きさ canvas size は、正方形展示ならば縦の長さは116.7cmで横の長さは116.7cmとなるが、菱形展示の場合は縦160.0cmで横160.0cmとなる。面積比例的ではないにしろ、見えの大きさはかなり稼げるという展示方法である。
  地球上に生きるわれわれの視覚は、重力作用方向という上下方向が基軸である。そして菱形という形態的輪郭または(三次元世界ゆえに)接面 interfaceは、上下方向に沿うためか、直角三角形という尖りゆえに、四隅は上に下に左に右に(心理的に)拡がる。てなわけで、水平と垂直に、拡がり、拡がる。水平と垂直、それは十字形となって交わる。
 十字は、この地球上の(さらには、生活しているとすればだが、他の惑星の)類としての、また個としての、〈人間〉を象徴する。人間は、水平と垂直の交点に位置している。
 1909年に神智学協会に入会したピエト・モンドリアン Piet Mondrian(1872- 1944)は、『進化』三部作(1910-1911年)を描き[抽象絵画は何かを「描く」のかという問題があるが、『進化』は狭い意味でも描いている]、晩年は菱形の作品をいくつか描いた。

 では、画面切り裂きは、何をもたらすのか? ルチオ・フォンタナ Lucio Fontana(1899-1968)の「空間概念」シリーズに見られる細い切り裂きは、画布の張力の具合で凹なんだ割れ目状になる。それは、異なる空間次元、あるいはむしろ物体化された空間をもたらす。画布を切り裂いた行為の跡を見ていることになるが、結果として平面に作られた曲線をともなう凹みは、ほぼ上下方向または垂直方向(=重力方向)の切り裂き(線)である場合は、人間の高みをめざす運動、存在的には虚であるゆえに空しい努力を暗示する。しかし、苦悩を通じて歓喜へ、である。
 フォンタナは裏に布を貼っていて、切り裂き部分の空虚は暗く沈む。そのことで、異様な暗がりをもたらしている。
 本作品では、中央の一つだけは、逆に、膨らみ出っ張っていて、荒くて透ける麻布が袋状に覗き、あるいはあたかも土から産出されてくるといったふうに、正方形の(全ての波長の光を投げかける)白い(プラトン的)正六面体が、果実の如く孕まれている。そのようなものが結晶として析出しているのが、上に挟まれた、白い突出する正六面体である。分泌される白い液体様のもの。それは、結晶は生きていることを示す。
 正面の色は墨色(彩度が無い)と裏面は銀の混ざる青。両面を繋ぐ側面は一部が青。作者によれば、青は水甕座の水を象徴する。それは、現代、水甕座の時代 Aquarian Age を導く希望である。

 かくて、この作品は、抽象絵画をモンドリアンとフォンタナが展開した絵画空間を、技法的に総合し、統合したのである。

 よってまた、三隅は、透明集光アクリル板が使われている。たとえば、作用線が通り抜けるように、あるいは逃げるようにして、水平と垂直方向の作用力を妨げないためである。(明るいところでもだが)暗闇で強い光を当てれば、かつ近くで見れば、正面断面が青紫色に光る。透明であるから、その部分から外へと突き抜けていく作用が妨げられない。
 (人間はいかにして、闇から這い上がり、光をめざすことができるのか。)
 基底部の隅は、透明板でなく、不透明に彩色された木板が使われている。意味ありげ。基底が抜けたら、世界は支えられず、無限落下しかない。

 というような、以上の屁理屈、解説みたいなものは蛇足(括弧良く、間違い、恰好良く、無用とは言い切らないところが味噌)、というのが抽象絵画である。

 したがって、絵画全般をまず、抽象絵画と非抽象絵画に分け、非抽象絵画を具象絵画と非具象絵画に分けよう。つまり、
   絵画=抽象絵画と非抽象絵画
           非抽象絵画=具象絵画と非具象絵画
である。
 二分することは、両極を作り、そうして測定軸をつくることによって、より精緻で客観的な議論ができるようになる。
    
  

















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 風間虹樹〈いのち。いのち、、、[秘数七にもとづく、<(。)、>の戯れ]〉




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案内:第62回念モダンアート展

□ 2012年度 第62回記念モダンアート展 □
 会期:2012年4月1日(日)~4月15日(日)
 時間:09:30~17:30(午前9:30~午後5:30)[最終日入場は正午まで]
 会場:東京都美術館(上野)
    地下展示室1から4室、地下ギャラリーA, B 2室
 入場料:大人800円、?大学生400、?高校生以下無料。 
     〔→〕大学生400円、高校生と中学生200円、小学生無料。[確認済]
    

 ワークショップ開催:
  4月7日(土)デカルコマニー
  4月8日(日)モビール彫刻・4次元物体
  4月14日(土)ドリッピングによる共同制作
 詳しくは:
http://modernart-kyokai.com/tenran_shokai/tenshokai01.html
  体験参加は閉め切ったようだが、見学は可能らしい。

□ 第62回念モダンアート展 京都展 □
 会期:2012年4月24日(火)~4月29日(日)
 時間:09:00~17:00(午前9:00~午後5:00)[入館は16:30まで]
 会場:京都市美術館
 入場料:大人700円800円、大学生と高校生350円、中学生と小学生は無料。