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タブロー性、絵画性、オブジェ性、ミニマル・アート

2010年02月25日 00時00分57秒 | 美術/絵画
タブロー性、絵画性、オブジェ性、ミニマル・アート

 絵画性。つまり、絵画的であることの種類と程度。それをも鑑賞者への効果との関わりにおいて(精確には相互作用として)どう測るか。
 単なる(!?)物として見ることと、作品として見ること。制度や約束事に依存した鑑賞。

 愛知県美術館に常設展示されている桑山忠明の《茶白青》(1968)について、ギャラリーヤマグチ クンストバウが論じている。
 「宮川淳は、「ミニマル・アートは美術を“それ自体以外のなにものも意味しない物体”にまで還元したのだろうか。むしろ、作品からあらゆる形而上的な意味をとり去ったとき、ミニマル・アートは美術を、物体と、それとは本質的に異質な意味(芸術)との関係にまで、いいかえれば、 “芸術”を意味する意味作用にまで還元したように思える」と語っている。」(http://www.g-yamaguchi.com/artists/kuwayama/2006nagoya.html)。桑山忠明という名前は聞き覚えあり。愛知県美術館で見たと思うが、覚えていない。
 ミニマル・アートでは、「絵画も彫刻も目的ではなく方法であって、絵画であればその絵画性を解体し、最小限にすること、すなわちみずからの絵画性を否定してゆくことで絵画を超えたところに「芸術」を指向する。」(http://www.g-yamaguchi.com/artists/kuwayama/2006nagoya.html)。
 宮川淳の引用は、『美術史とその言説(ディスクール)』(新版 水声社 2002年)からか?
 桑山忠明は、ミニマル絵画の作品を発表し続けているらしい(http://www.g-yamaguchi.com/tokyo/tokyo_exhibition/kuwayama0809.html)。その主張(考え方)と実作を照合せよ。

 すべての具体展に出品した正延正俊(1911-1995)という作家がいる。

 タブロー(仏語 tableau)は、デジタル大辞泉などによれば、
  1 習作やデッサンに対して、完成された絵画作品、
を言う場合と、
  2 壁画や天井画や彫刻に対して、カンバスとか板に描かれた絵、
を言う場合とがあるとのことである。2は運搬性における対比ということだろうか。帆布を使って軽くし、建物とは独立して「作品」が持ち運びできるようになったキャンバスは、一つの発明である。
 タブロー→オブジェ→インスタレーション、と概念が展開したのか? 
 オブジェという意味は? 百科事典マイペディアの解説では、「20世紀美術では特殊な意味をもち,日常的に担わされている意味や用途が取り去られたときに現〔わ〕れる事物の物体的な側面をいい,特にその詩的・造形的価値に注目する。」とある。物体的な側面の(?)造形的価値とはなんだろう?
 馬場駿吉による「オブジェとは?」という解説がある(http://www.art-museum.city.nagoya.jp/Artpaper/56/htm/sekkinhou.htm)。
 ダダイスムとシュルレアリスムで特別の意味を持たされ、「自然物、工業製品、廃品、日用品など、またはそれを使用して作られた作品をさす」らしい(ウィキペディア「オブジェ」)。

[M]
*宮川淳.2002.11.美術史とその言説(ディスクール).373pp.水声社.[ISBN 9784891764647 / 2,000円+税]