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《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

タクソン学事始め/草稿1

2010年05月28日 09時52分19秒 | 生命生物生活哲学
2010年5月28日-2
タクソン学事始め/草稿1

生物学的観測

 たとえば肝臓の機能を調べるとか、雨が降ってきたときにハシボソガラスたちが身を寄せ合って互いの体温低下を防ぐのかどうかを調べるとかなど、いかなる生物学的調査にあっても、まずなされるのは、生物個体や群体という個体的あるいは単位的存在者の検出である(観測対象自身または環境の設定)。その肝臓は、_Homo sapiens_に属する生物個体の(物質的)部分であり、ハシボソガラス生物体は、_Corvus corone_に属する。つまり、生物体について、なんらかのタクソン学的同定が行なわれる。同定とは、或る対象について属員関係 membershipを指定することである。
 (白いカラスもまた、_Corvus corone_というタクソンに属する理由については、Hempelのカラスのパラドックスまたは室内鳥類学の項((後述。簡単に言えば、科学的推論に使う導出関係は、真理値は不明のところを無理に定めたために、対偶が真ならば元の命題も真としたところが不備なのである。Bunge 1999や 三浦俊彦 2000『論理学入門』を見よ))、を参照せよ。むろん、カラスのパラドックスは、一つの論理的体系が科学的推論で使われる導出関係ではないことを示している。簡単に言えば、真理値の与え方が科学的推論の論理として採用するには不適当なのである。タクソン学的理由は、システム的種概念と関係する。)

 1. 生物学的観測における基本的存在者は、生物体である。

 2. 生物体が、どこで[関連学問は、地理学、生物地理学、生態地理学、生態学、など]何をしているか[生態学、行動学、生理学、生体(高)分子学、遺伝学、古生物学、など]、これが、生物学における基本的な問い(の一つ)である。

 3. われわれは、どのような生物体であるのかを記述したり、対象を指定する(たとえば伝達のために)。それらに役立たせるように考案したものが、分類体系である。記述するために、様々な分類体系を使う。言語体系や生物についての分類体系である。ここではタクソン学、形態学、生理学などが関係する。

 4. どのような種類の生物体であるのかを指し示す(伝達したり、直示的に指示したりする)ために、言い換えれば、何について言及しているのかを指定するために、タクソン名が使われる。一つの名称は、なんらかの分類体系に位置づけられている場合に、機能する。

 5. タクソンとは、物体や生物体がどのような種類に属するかを指定するためのカテゴリーである。すなわち、名義尺度の測定結果を表現するためのものであり、排他的に設定すると便利である。

 〔某書でのユウコリンとは、(固有名詞であると解釈して、)竹内結子氏を指示するのであろうか? 映像としては、ランチの女王でのものを指定したい。という言明は、複雑か。同定装置が(知らずと)複雑ならば、世界記述は単純になるか? アルゴリズムの実装における、一つの命令文(計算)の複雑性(たとえば命令文=ステップ数として、入れ子構造の場合)を比較できるか。単位化の問題。〕