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失業保険「特定理由離職者」って?

2009年06月29日 12時53分26秒 | 労働相談

「特定理由離職者」って?

 「特定受給資格者」の誤り?―雇用保険の失業給付受給要件のひとつ「特定受給資格者」は、もはや”おなじみ”の域に達したのかもしれません。会社の倒産、解雇、勧奨退職、長時間労働等過酷な労働条件や賃金未払いによる退職など「非自発的な離職」を余儀なくされたときに、より有利な条件(加入期間が通常1年以上のところ6か月でOK、所定給付日数の上乗せなど)で失業給付が受けられるシステムです。この他受給条件緩和措置として今般の雇用保険法改正により新たに設けられたのが「特定理由離職者」。受給の緩和要件は特定受給資格者ほぼ同じ(ただし、所定給付日数の面で異なる場合があります)。特定受給資格者に寸でのところで至らない離職者のためのいうなれば、セーフティーネットとでも申しましょうか。つまり、”仲間入り”というよりは、特定受給資格制度の”再編成”と言ったほうが分かりやすいと思います。

  「特定理由離職者」制度最大のポイントは、派遣労働者、契約社員、パートタイマー、アルバイトといったいわゆる「非正規労働者」の雇い止め(会社が労働契約の期間満了を理由に引き続いての更新や延長を拒否すること)に配慮を加えたということ。厚生労働省発行の「特定理由離職者の範囲と判断基準」にいわく「期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る)」(ただし、有期雇用労働者で3年以上引き続き雇用された場合であって更新がされなかったときは、特定受給資格者に該当します)。砕いていえば、6か月以上雇用されていて(雇用保険に加入していて)、勤続1年にならないうち契約が満了してしまい、会社から更新を拒否された結果退職を余儀なくされた場合などが当てはまりますね(従前であれば特定受給資格者になれなかったため、加入期間が最低1年間必要なパターンでした)。 

さらに、これまで特定受給資格者として遇されていた、体力減退、病気、負傷、五感の衰えなどで、あるいは親族の介護・看護などで退職せざるを得なかった「正当な理由のある自己都合により離職した者(ただし雇用保険加入期間が6か月以上12か月未満の場合に限る)」が特定理由離職者として”再定義”されたことも注目点です。これは従前からも、自己都合退職ではあるが「給付制限3ヶ月間」を受けないものとして運用されてきたところですが、今回改めて「特定理由離職者」として位置づけられています。

使い勝手は大いにありそうですね。  

以上の法改正のポイントを把握され、特定受給資格者及び特定理由離職者各制度をどうか有効に使いこなしてください。

*特定受給資格者の主な事例 
  ①倒産
  ②会社移転による通勤困難
  ③解雇
  ④勧奨退職
  ⑤契約締結時における労働条件との著しい相違
  ⑥賃金未払いや著しい賃金減額
  ⑦1月45時間を超過する長時間労働
  ⑧有期労働契約で3年以上継続雇用された場合における雇い止め
  ⑨パワハラ

*特定理由離職者の主な事例
  ①有期労働契約での雇い止め(特定受給資格者の要件⑧以外)
  ②体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、五感の減退等
  ③父又は母の死亡、疾病、負傷、扶養、看護など家庭の事情の急変
  ④婚姻、育児、住居移転、配偶者の転勤等家庭の事情による通勤困難
  ⑤人員整理等に伴う希望退職への応募
 (ただし、②~⑤において「特定受給資格者」並みの所定給付日数を確保するには、雇用保険の加入期間が12月未満である必要があります) 

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30 コメント

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派遣の場合の「特定理由退職者」 (シングルマザー)
2009-08-01 04:11:55
同一の派遣先に8月末で丸3年(平成18年9月1日派遣開始・3ヶ月更新)になるのですが、昨日、「次回の更新は無し」と突如打ち切りを派遣先から言い渡されました。
この場合、「特定受給資格」の⑧有期労働契約で3年以上継続雇用~に該当するのでしょうか?3年「以上」には当たらないですか?
すると、「特定理由離職者」の①に該当すると考えて良いのでしょうか?
今までは、派遣元が次の派遣先を探しても見つからない場合に初めて、1ヶ月程度経ってから
離職票が出、それからの手続きで初めて「会社都合扱いになる」と言われていますが、
この「特定理由離職者」等は上記のような段階を踏まずとも良いのでしょうか?
長くてすみません。教えていただけると助かります。
返信する
「シングルマザー」さんへのお答え (労働相談スタッフ)
2009-08-03 09:12:21
 今月(8月)末で3年継続勤務したことになりますので、一般的外形的には「特定受給資格者の範囲」のうち「⑦期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者」に該当する可能性は濃厚ではありますが、念のため住所地を管轄するハローワークにお問い合わせになってみることをお勧めいたします。
返信する
ありがとうございました (シングルマザー)
2009-08-08 04:26:48
早速ご回答いただき、ありがとうございました。
「特定受給資格者」に該当するのは確認できました。あとは派遣会社が旧来のやり方で1ヶ月待機、もしくは、会社都合ではなく「自己都合」へ持って行こうとするのと、真っ向勝負するのみです。色々調べて実態もわかりましたし、相談できるユニオンも見つかりました。頑張ります。
ありがとうございました。
返信する
特定理由離職者 について (シングルマザー2)
2009-10-16 20:25:25
はじめまして、標記の件にてご相談申し上げます。
宜しくお願い致します。

先日6ヶ月勤めた会社を退職しました。
理由は持病があ6り欠勤が多い為、退職しなければならない状況だった為です。
知人に、特定理由離職者にあたるのでは?と指摘をうけました。
出勤日数の一ヶ月単位での細かい設定があるとのことで、それについてお伺いしたいのですが、
「退職の日から遡ってての一ヶ月ごとの区切りでそれぞれ11日以上の出勤が通算して6ヶ月なければ対象にならない」
とハローワークでいわれました。
私の場合は、上記の区切りだと、8区切りになり、その内11日以上の出勤を満たしている区切りは、6回でした。
普通の暦の月毎の区切りでの換算でないので、非常にわかりずらく、果たして私の場合はこちらの制度が活用できるものか悩み、お伺いさせていただきます。
因みに、6回の内の最終回(最終月)は有給休暇消化日も含みます。
どうぞ宜しくお願い致します。
返信する
シングルマザーさんへ お答え (労働相談スタッフ)
2009-10-20 17:35:09
 シングルマザーさんの場合、「特定理由離職者」の定義に該当すれば、ギリギリではありますが、受給資格は得られるものと思われます。

 正確を期して、再度住所地のハローワークで確認されることをお勧めいたします。
返信する
特定理由離職者について (mama)
2010-01-28 13:48:45
1月末で退職しますが、上記の件で教えてください。
年末に顔面麻痺になってしまい、治るのに時間がかかること、外回りの営業のため、また車の運転に支障があるため退職する事になりました。会社から辞めてくれと、言われたわけではありません。
契約社員で雇用保険も6年間入っています。
このような場合は対象になるのでしょうか?
今後は在宅か、中でする仕事を探そうとかんがえています。 お答えいただけると助かります。  
返信する
特定理由離職者について (シングルマザー3 )
2010-05-20 14:24:28
はじめまして。
現在、派遣社員として2年間働いていますが、子供が小学校入学にあたり行事関係や病気などで休みがちなので学校が落ち着くまでは家にいようと、次回更新をやめようかと考えています。
この場合、自己都合になるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
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シングルマザー3さんへ お答え (労働相談スタッフ)
2010-05-21 10:12:57
結論から申し上げれば、シングルマザー3さんの場合、「特定理由離職者」に該当する可能性はあると考えます。ただ、最終的な判断をくだすのは、お住まいを管轄するハローワークですので、直接確認されることをお勧めいたします。お子さんの人数、その病状、学校行事の頻度、契約更新回数等々、さまざまな事情が考慮されたうえで判断されますので、あなたにとって、より有利となる条件をメモなどにまとめて相談に臨まれたもうがよろしいでしょう。
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退職理由 (すみれ。)
2010-06-11 10:10:42
はじめまして。
9年間勤めた会社を退職します。

去年の夏から円形脱毛がひどく
検査の結果、びまん性脱毛症でした。
ただ、膠原病の疑いもあるとのことでした。
脱毛と日光を避ける以外はいたって元気です。

離職票の発行時、
退職理由は療養のためと自己都合の為と
どちらが良いのでしょうか?

また、ワタシの場合だと特定理由離職者には
ならないですよね?
宜しくお願い致します。

返信する
すみれさんへ お答え (労働相談スタッフ)
2010-06-11 13:13:34
離職理由に関しては「自己都合」ではありますが、療養につきということですから、正当な理由があると判断されます。したがって、失業給付受給時における3箇月間の給付制限は免れるものと思われます。さて、「特定理由離職者」に該当するか否かですが、該当する可能性は残されているのではないでしょうか。詳細は、お住まいを管轄するハローワークにお問い合わせください。
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