やさしい家で やさしい暮らし

めざすは一生暮らせる木のおうち。建て主と建築業者を結び、安心を与えるのが私の仕事なのです。

ローコスト住宅を斬る!

2007-03-08 14:20:57 | 建築裏話
この「ローコスト住宅研究会」たどっていくと「ナック」という会社にぶつかる。
地元密着の工務店を指導する会社と言っていいだろう。

実はあたしも、この「ナック」の会員になっているという会社と仕事をした。
この会社(以下N社とする)の社長が言うには
「ナックからシステムを買う」んだそうだ。
???な話である。
会員になるには500万円投資しなければならない。
で、会員になるとセミナー等があり、仕事の進め方を勉強するようだ。
「ナックのシステムを使うと、坪単価を入れて建物の角の数をいれると、見積もりができる」と、仕切に言っていた。
まぁ、要するに住宅メーカーでよく使う手法である。

で、今日も新聞にあるナック会員の会社のオープンハウスのチラシがはいっていた。
チラシの作り方もナックで指導しているらしく
どこも似たような作り方をしている。
職人さんの写真、「家はまだ建てるな」「後悔は一生、見学会は一時間」などというこころを揺さぶる言葉、そして、写真にある価格の比較。

この価格についてだが、笑ってしまう。
通常はモデルプランがあって、価格の比較をするものだ。
(正式には、細かい納まりや仕様など全部決めてからなのだが。)
プランもなにもなく、このように書いてある。

○一般メーカーの場合
本体価格 1,620万円 + オプション 120万円 + 照明器具 60万円
+ 経費 200万円 = 見積もり金額 2,000万円
○ABCホーム(仮称)の場合
本体価格 1,450万円 + オプション なし + 照明器具 標準装備
+ 経費 50万円 = 見積もり金額 1,500万円
○その差はなんと 500万円! 

よくもまぁ、こんな恥ずかしいことを・・・

まず本体価格
プランも仕様も異なるものを比較してもなんにもなりません!
オプションなし
そんなことないでしょ?
こういう見積もりの仕方の場合、標準仕様書なるものが必ずあります。
たとえばキッチン、大きさを変えたい、L字にしたい、ガスからIHにしたい、などなど、標準仕様からの変更を住宅メーカーではオプションと言っているのです。
騙されないでください。
照明器具
どんな立派な器具を仮定しているのかわかりませんが
一般メーカー60万円はないでしょ!
35坪程度の住宅では、20万円から30万円が妥当な数字です。(ローコストの場合)
さてそれでは、ABCホームさんでは、照明器具をいくらで見積もっているのでしょうか?
最後に経費
これは、お客さんが支払う諸経費のことなのか、現場経費のことなのか、あやふやですが。
諸経費のことだったら、地盤調査に係る費用、水道加入金、申請費用、登記に係る費用等ですので、どこで見積もっても同じくらいの金額がでるはずです。
現場経費のことだったら、これほどあやしいものはありません。
要するに工務店が係る費用、言い換えれば、材料や職人さんに支払う以外のお金です。「儲け」とは少し違いますが、似たようなもんです。
さも、一般メーカーでは200万円も儲けている。みたいにもみえます。
しかし、この現場経費がなければどうなるでしょう?
現場監督さんが現場に向う時に係るガソリン代や電話代、事務所で施工図を書く手間に支払われるお金、そういったものを削ることが果たしてよいことなのでしょうか?
N社の現場監督さんは、自分の車で現場に向かい、ガソリン代も給料で決まった金額しか支給されません。
長距離になれば有料道路を使うこともあるし、ジュースだって飲みたくなります。
会社の中にいれば会社のお茶を飲めば会社経費ですが
外でジュースを飲むときは、経費が認められないそうです。
携帯電話代だって、自分で支払っているそうです。

そして何よりあたしが許せないことは
「下請け業者の協力」というもっともらしい言葉です。
通常なら50万円かかる仕事を「40万円でしてくれ」と、毎回頼み込む。
これは、下請け業者を泣かせているにすぎません!
基礎やさんから10万円、大工さんから20万円、クロスやさんから5万円などなど
自分達が安く契約してきたからといって、下請け業者に安く請け負わせる。
これは、絶対間違いです。
仮に年間10棟の工事があり、1回だけ、というのなら納得できますが。
適正な価格で仕事を請け負うことによって、
要望以上の仕事をするのが職人さんの心意気なんです。
決して、適正価格より高くしろ!というのではありません。

本当のローコスト住宅というのは、他社が高い!と批判することではなく
社員や下請け業者を安くこき使うことでもありません。
お客様の要望を、お客様の予算内でどこまでかなえてあげられるか、
ローコストであろうと、セレブな高級住宅であろうと
いきつくところは同じだと、あたしは思っています。 

ローコストにご用心

2006-02-11 10:05:39 | 建築裏話
Kさんは、(仮称)ニャンコホームにプランをつくってもらったが、契約まで進まなかった。

Kさん「ここに壁一面の作りつけ収納が欲しいんですけど」
ニャン「そういったものは、インターネットで購入するのがいいですよ。
    今は、常識ですよ」
(何が常識じゃ?だいたい、ネットで購入したとして、そんなでかい家具を誰が組み立てるのじゃ?)

Kさん「ダイニングは出窓にして下を収納にしてください」
ニャン「出窓はできません、ですから収納もできません」
(なんでできなんじゃ?在庫がないからできなんかい?)

Kさん「寝室はこんなに広く(14帖)いらないので、子供部屋を広くしてください」
ニャン「できません。このプランしかできません」
(んなわけないだろ!!!あんた、考えるのが面倒になったんかい!)
これがハッピーホームですかぁ???

(仮称)コンコンホーム で家を建ててしまったMさん

Mさん「ここにコンセントを追加してください」
コンコン「追加工事になりますので、1万円になります」

Mさん「寝室にもTVジャックをつけてください」
コンコン「はい、3万円」

Mさん「チャイムをインターホンに変えてください」
コンコン「はい、10万円」

(あのねぇ、いまどき、コンセント一部屋に1箇所、TV一軒に一箇所、ってことないでしょう???でも、きまりですから~っていうんだよねぇ~)
雨降るホ~ム~~~♪
雨漏りしなきゃいい。ってもんじゃないんだよ!

ローコストを売り物にしている住宅メーカーのほとんどは「メーターモジュール」というものを使っています。
大工さんは、「3尺」=「約91cm」という寸法を使うことがほとんどです。
つまり、基準となる寸法が「91cm」か「1m」かという違い。
たった9cmですが、この9cmが貯まると大きな数字になる。
「1坪」というのは「約3.3m2」
これは91cmの2倍、182cmを1間(いっけんと読む)としたときの1間*1間の面積からきたもの。
1mの2倍は、もち2m
2m*2m=4m2 ってことは1.212・・・坪ってなるわけ。
(あたしなんかは、4m2で1坪なんじゃないかい?って思っているんだけど。)
でね、工事費は1.212倍になるかっていうと、そこがミソで
ほとんど同じなんだよ。

たとえば、4コマ*4コマの和室を作ってみよう。
柱の数、窓の数、畳の数、みんな同じなんよ。
面積はっていうと、91cm基準だと8帖
1m基準だと9.6帖になっちゃう。1.2倍。
工事費は・・・さぁみんなで考えよう。

メーターモジュールは、安くて広い家ができる利点もあります。
坪単価が安いからといって、ごまかされないように☆


どこまでが悪い?

2005-12-16 15:47:45 | 建築裏話
報道を見ていると、「?」なところが多々あります。

総合研究所のメモ。
総合研究所では、構造に詳しい人間がいないという社長の発言
それを裏返すこととなった「メモ」
だが、メモの存在が「違法建築を促すものだったかどうか?」というと
わ・か・ら・な・い のではないだろうか?
構造に、とてもとても詳しい人が「これはデタラメだ!」と言ったのなら別だが。
四ヶ所メモが「正しい計算」だったら・・・

総合研究所のビデオの存在。
設計も構造計算も施工も、基本は自社で行う。
設計事務所には清書をしてもらう。といった内容のビデオ。
基本計画、スケッチプランは総合研究所で行う。
それを法に合うかどうかをチェックしながら、実際に工事に使う図面を設計事務所で作るという話だったら、よくある話し。
住宅のプランを自分で考え、工事をお願いするのと
同じ発想だったら・・・

あの人は「黒幕」だという前置きがなければ
ごくごく、当たり前の話しでもあるんだなぁ・・・これが・・・

誰が悪い?

2005-12-15 12:01:55 | 建築裏話
昨日の姉歯さんとその他の人。
誰が悪いか?って、姉歯さんが悪いのは間違いない。
でもねぇ、言った言わないの世界じゃ、誰が悪いかってねぇ・・・
日本語の持つ「あいまいな表現」
こういうつもりで言ったの世界。
いい年したおっさんが、やだねぇ・・・

この問題、ふと気がついたんですがね、
設計者として悪いのは姉歯さんだけ?
違うでしょ???
建築確認を出したのは、姉歯さんの名義じゃないでしょ?
頭になっている設計者、そして、監理者が問われないのはなぜ???
(自殺した方もいらっしゃいますが)
構造に詳しくないとしても、「これ違うんじゃない?」って疑問を持つのが当然の構造なんですよ。ったく!
10階建てのマンションの柱が、3~4階建ての柱と同じなんですのよ。

もっともっとね、監理者の責任を追及してもらいたいもんです。
そうすることによって「監理とはなんぞや。」と
一般市民にわかってもらいたいです!

久々のイライラ

2005-09-29 16:32:13 | 建築裏話
ホント、久しぶりです。
何が?ってね、申請関係には自身があったんですがね
今回は、降りないのよね~~~トホホ
っていってもね、私にできる範囲じゃないのよ。
なのに、あぁ、なのに・・・

設計評価の申請なんだけれど
「構造等級3」で、ひっかっかっているのよねぇ。
なにしろプランがすでにできあがっていて
平面、立面だけ作って「構造等級3で申請お願いします。」
っていう仕事の発注のされかたなもんでね。
「これ、無理なんじゃ・・・」ってプランなもんだから
構造計算を専門家に依頼したわけよ。

地震に強い建物を作るには、作り方があるんだ!つうの!
っていうと「間取りに制約がある」なんて思うかもしんないけど
そうじゃなくってね。
どこに、どれだけの壁が必要なのかを
間取りを決めるうちから計画しないといけない!
ってことなの。
この間取りなら、どんな方法で施工したらよいか?を
最初から考えて計画しましょうってことなの。

なんか、イライラすんのよね~~~