ブログ仙岩

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大石邦子の「夏の終わり」を読んで

2017-10-20 08:20:32 | エッセイ
暑い日の午後だった。一台の車が家の前に止まった。二人連れの小名浜のサクヤマさんが我が家でマジックショーをやりに来たという。

「私も年だから何時まで出来るかわからないから一度見せてやりたかった」と一間幅の廊下で、音楽を流しショーが始まると、それまでの戸惑いが楽しさに変わり、目を凝らして見ても見抜けない。手の中から生きたハトが二羽飛び出した時には、開いた口がふさがらなかった。年だからというが、リズムに乗って手先起用に振る舞える彼女を見て示久しぶりで笑った。

また、その数日後「富士山頂」のスタンプが押された絵ハガキが届いた。高校時代からの友人福島のタケちゃんからだった。

「バンザ~イ!3776m日本一の富士山頂に着きました。感動です。一行7名。明日帰ります。詳しいことは改めて・・・」
昔からやると決めたらやり遂げる人だったが、老いなどど言ってはいられない彼女の覚悟に、背を叩かれる。登山は2泊3日、トイレ・水は有料。お風呂は?と聞いて「何言ってんの、あるわけないじゃない!」と一喝された。毎日信夫山に登って体を鍛えていたことも知った。田部井さんが命がけの挑戦の著書を思い出す。

空が高くなり、山を極め、手品を極めようとする友人たちのひたむきな努力に、深い感動を覚えた私の夏も終わる。車いす生活でも、友人らの体験を知り、沢山の元気を頂いた大石さんの笑顔が目に見えるようだ。


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