大石邦子のリフォームの部屋

エッセイスト大石邦子「リフォームの部屋」の窓際に立つと、子どもの頃の遊び場だった白鳳山公園の山なみが一望できる。観音山、羽黒山、岩崎山。

現在では全国屈指の規模を誇る向羽黒山城跡ともなっているが、私には目をつぶっても走り回れるほどの懐かしい遊びには変わりはない。

この部屋は高校卒業まで使い、進学上京から父母が使用、しかし、23年前に母が亡くなり、「改装してお前が住め」と兄が言ったが、私にはバリアフリーの離れがあった。5年前の震災で、天井が落下、きしむ床、壁が落ち始めるようになり怖くなった。

昭和46年築の離れも耐震補強をと、思案の末、兄が言った母の部屋をリフォームし、自分の力でできるようにトイレやベットは隣り合わせの仕切りなしで、戸はすべて引き戸にした。

わずか一室の改装なのに、基礎、壁、塗装、電気、水道、建具などの大工さん等々の多さに驚き、工員の礼儀正しさにも感動、そして爽やかな挨拶をする方は久しぶりと・・・。もうすぐ出来上がるという。自分の部屋を持つ嬉しさは格別である。長生きしてくださいと。