暗闇に慣れてきた深夜のベットで、私は込み上げてくる笑いを抑えがたく、また、ふふふと笑った。
今でも信じられないおまじないだが、本当に嬉しかった。
この二日間探し物に明け暮れた。大切な手帳がどこかに消えてしまった。
今年度の予定,マイナバーカードやキャッシュカードの暗証番号など、この手帳にメモして、大切なことはすべて書いてある。
机の下や引き出し、本だな、タンスや古新聞の束も調べたがどこにもなかった。
そんな時、友人の祐ちゃんから電話が来た。
元気がないと言われ、手帳をなくした話をしたら、「そういう時は、この言葉を二度唱えると出てくるから」と、呂律の回らない意味不明の言葉を教えてくれた。
むろん信じられず笑ってしまったが、何と出て来たではないか。
古い日記帳に挟まって、焼却用の段ボールに入っていた。
彼女とは10年ほど前、病院の待合室で出会った。まさかの癌の宣告を受け、ふらつく想いで診察室を出ると、一人の若い女性が駆け寄り「大石さんですよね、ここに、凛と生きると書いて下さいと手帳を広げてきた。
今日はダメという気持ちでも、こういう人たちによって生かされてきた人生で、書いたことへの責任から、震える手で「凛と生きる」と書いた。
あれから十余年、彼女は大切な友人で、どうしたらよいかわからない私への励ましだったのだろう。ハイ!みんぽう7月号。画像はその表紙。
子どものおまじないは「ちちんぷいぷい、痛いの痛いの飛んでいけ!」など。
大人のおまじないは殆どなく、地震雷で「くわばら!くわばら!」と。
私もメガネをなくして、未だに出てこない。仕方なく買って使用しているが、探し物は毎日のようにやっている。
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